三池崇史監督×窪田正孝主演の映画『初恋』が東映配給にて2月28日(金)より公開となる。カンヌ国際映画祭 監督週間やトロント国際映画祭 ミッドナイト・マッドネス部門での上映は映画ファンを大いに沸かせ、異例の全米先行公開。世界30以上の映画祭から招待され、米批評家サイトRotten Tomatoesでは【97%フレッシュ】という高評価を獲得(2月26日時点)している本作。世界中の映画ファンを虜にする三池監督“初”のラブストーリーがいよいよ日本に凱旋だ。
2月25日には、外国特派員協会での上映会後に、本作の主演・窪田正孝と監督・三池崇史が記者会見に登壇した。窪田と三池監督は会場いっぱいに集まった日本外国特派員協会に所属する記者たちからの質疑応答に応え、撮影時のエピソードや出会った当時の10年前を振り返ったり、共演した小西桜子について語るなど、公開間近の本作に込めた熱い思いを語った。
上映後、会場では大きな拍手が巻き起こり熱気に包まれるなか登場した、主演の窪田正孝と三池崇史監督。まず、司会のキャレン・セバンズより、テレビドラマ『ケータイ捜査官7』以来、約10年ぶりにタッグを組んだことについて質問が及ぶと、三池監督は「10年経ちましたが、常に何かの映画を作る現場にいる人間からすると止まる間もなく動き続けている。たしかに鏡を見ると10年経って歳をとったなと感じますが、窪田君はずいぶん出世したな、と。神様って冷たいなと思います(笑)。」、窪田は「当時19歳で、右も左もわからない状態でカメラの前でひたすらに芝居をして、監督に届けという思いで演じていました。10年経って三池さんと会ってみると、サングラスも丸みを帯びたもので柔らかくなっていて(笑)。昔のピリッとした鋭利なものが丸くなっていて、緊張も解けたのか話しやすくなったことが一番10年の変化を感じました。錚々たる役者さんが、三池監督とやりたいと思う魅力が三池さんの現場にはあって、そんなワクワクする環境を右も左もわからない状態の一番初めに与えてもらったことは大きかったです。」と回答。その後、協会員である記者たちからの質疑応答に応えた。
Q.撮影中の印象的なエピソードを教えてください。
窪田:アクションシーンを一番覚えています。日にも当たらず、夜行性のように夜だけ働いていました。車の中の撮影では監督もカメラに映らない場所にちゃんと乗っていて、カーアクションの方がアクセルを全開に踏んで運転する中で何度もガラスに頭をぶつけそうになりながら、体で体験して巻き込まれていくことってすごく大変だけど、後になって良い思い出になりました。
Q.今回はインターナショナルのプロデューサー(ジェレミー・トーマス)が付いているということで、海外の方と組むとどういった違いがありますか?
窪田:色々な映画祭に行って“世界の三池監督”だと思ったし、この映画を撮っているときは、海外のマーケティングを意識したことはなかったけど、実際に現場で汗水たらして作った役が三池監督の手によって編集されたものが海を渡って、カンヌやマカオにも行かせてもらって、今日もそうですが、三池監督に連れてきてもらったという感覚でしかなくて。一役者としてこの作品に携われて、監督と主役として出来たこの喜びが全てであり、感謝です。
三池監督:ハリウッドのプロデューサーと組むということは明確に違います。ジェレミー・トーマスというプロデューサーは日本の映画をとてもよく理解してくれているし、日本人が撮るに相応しい撮り方で映画に取り組んでいくことを後押ししてくれて、それで出来上がった作品を世界に持って出ていこうという基本姿勢で、かなり特殊なプロデューサーだと思います。そういう方と出会えて、一緒に映画を作れることは自分にとっては幸せで、ありがたい仲間という感じです。だからいつもと同じ環境で作れるし、いつも以上に自由を与えてくれる。意見も、あぁなるほど!という提案をいつも出してくれるけど、最後に判断するのはあなただからねと委ねてくれました。
Q.車が飛ぶシーンをアニメのシークエンスにした理由を教えてください。
三池監督:正直に言いますと、クリエイティブな行為というと少し語弊があります。日本映画は皆さんご存じのようにソフトで、毒にも薬にもならない、みんなが安心して見られるものが多い。そして、最も海外と違うのは撮影時の危険なリスクを避ける。いまの日本は若い子がスタントマンに憧れるような環境ではなくなってしまっているので、日本のスタントマンはとても高齢になってしまいました。ベテランばかりで、腕のいい人たちは60歳を超えてしまっているので、あの高さから落ちたら腰にかなり負担が来る。(笑)だからといって、脚本はチャレンジしなくてはならない。ひとつの方法として、アニメーションを使いました。危険なことを脚本から削ろうという行為に対する反抗でもあります。