新ミューズ誕生を見逃すな!新作「女優×恋愛映画」秀作4選

映画・舞台 公開日:2020/01/17 8
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アッといわせるストーリーラインや、派手なアクション、圧倒的な映像美など、映画の楽しみ方はさまざまだが、スクリーンに映し出される女優の美しさや儚さ、ドキっとさせられる表情を堪能するもの醍醐味の一つ。2020年新春、そんな瑞々しい女優たちが物語を彩る作品がそろった。


『ラストレター』(全国東宝系にて公開中)

■岩井俊二監督の新ミューズ!?広瀬すず、森七菜が魅せる切ない恋の物語




ドラマ「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」(93年)の奥菜恵や『Love Letter』(95年)の中山美穂、『スワロウテイル』(96年)の伊藤歩、『四月物語』(98年)の松たか子など、若手女優を瑞々しくスクリーンに活写してきた岩井監督。


本作は、松たか子演じる岸辺野裕里が、突然亡くなった姉・未咲の面影を残す未咲の娘・鮎美(広瀬すず)から、未咲宛ての同窓会の手紙を受け取ったところから物語はスタートする。裕里は、未咲の死を知らせるために同窓会に行ったものの、姉と間違われ何も言い出せないまま、初恋の相手・鏡史郎(福山雅治)と再会。そこから未咲のふりをした裕里と鏡史郎の文通が始まり、さらには鮎美や、裕里の娘・颯香(森七菜)も“手紙”を通して、互いの思いを理解していく……。


岩井監督と手紙といえば、1995年公開の『Love Letter』が思い浮かぶが、当時とは情報伝達手段の形態はまったく違う。以前、ドラマ「あすなろ白書」をはじめ長きに渡り恋愛作品を手がけてきた新城毅彦監督が、「携帯電話の普及によって物語の作り方が大きく変わった」と話していたが、ザ・アナログともいえる“文通”をキーワードにどこまで現代的な物語を紡ぐのだろうかと思っていたが、ほぼ全編に渡り行われた仙台ロケでの風景の切り取り方や、広瀬や森といった平成生まれで、現代的な佇まいを備えながらも、ノスタルジックな雰囲気を併せ持つ若手女優たちが、違和感ない作品の世界観を作り上げた。




なかでも特筆すべき点は、やはり広瀬と森のツーショットのシーン。劇中、いとこの関係性にあるこの二人は、夏休みの間だけ、衣食住を共にするが、“夏”を背景に絶妙な距離感で佇む二人の姿は、まさに“岩井映画”の真骨頂ともいえるほど映像に力がある。大人と若者の恋模様が、見事なまでに融合した秀作だ。


『ロマンスドール』(1月24日公開)

■名優・蒼井優の“静”の芝居に酔いしれる




映画監督タナダユキが初めて書き下ろしたオリジナル小説を、監督自ら脚本を書きメガホンをとった本作。


美大の彫刻家を卒業したものの、フリーター生活をしていた哲雄(高橋一生)は、大学時代の先輩から「久保田商会」というラブドール制作工場を紹介される。戸惑う哲雄だったが、お金が必要だったため、ラブドール職人として働くことを決意する。試行錯誤しながらも、本物の女性に近いラブドール作りに情熱を注ぐ師匠の相川(きたろう)らの姿を見た哲雄は、徐々に仕事にのめりこんでいくなか、乳房の型取りのためにやってきたモデルの園子(蒼井優)に出会い、一目で恋に落ちる――。


恋愛物語に感情移入できるかどうかは、それぞれのキャラクターが好みかどうかということは重要なファクターではあるが、個人的には男女がそろったときに醸し出される色に違和感がないことが作品にのっていける条件だと考える。その意味で、本作で高橋と蒼井が演じた哲雄と園子は、同じ喜び、悲しみ、憂いを持つ同系色に感じられたため、物語序盤から目が離せなくなった。


なかでも、蒼井の“静”の芝居は「圧倒的」だ。蒼井といえば、説明の必要がないほど実績を持つ女優であり、昨年公開された『宮本から君へ』の中野靖子や、一昨年公開の『斬、』で演じたゆうなど、激情型のキャラクターを全身全霊で演じる姿は、「蒼井優でなければできない演技」と称賛された。そんななか、本作では愛し合って結婚したにも関わらず、さまざまなすれ違いから、少しずつ心が離れていくさまを、非常に繊細な芝居で表現。園子を見ているだけで、哲雄に感情移入してしまうほど物語を支配していた。


昨年、お笑い芸人の山里亮太と電撃結婚を果たすなどプライベートでも大きな変化があった蒼井。『宮本から君へ』や『斬、』でタッグを組んだ池松壮亮は、蒼井の女優としての能力を“化け物”と評していたが、本作を見ていると、30代も半ばに突入した今後、さらなる驚きを見せてくれるのではないかと大いに期待してしまうほど、印象に残る演技を披露している。

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