のん、片渕監督は「危険な領域(笑)」『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』公開直後の心境吐露

映画・舞台 公開日:2020/01/02 27
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2016年に公開された『この世界の片隅に』に、さらに30分強のシーンが追加されて制作された『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が12月20日、公開を迎えた。2010年7月31日に、こうの史代氏の原作を手にした瞬間「映画化したい」と熱望した片渕須直監督が、前作『この世界の片隅に』と合わせて3420日という歳月を費やした渾身作。公開直後の片渕監督と、主人公・すずの声を担当したのんが、熱い胸の内を語った。


■なにより“新作”として扱ってもらえたことが嬉しい!




本作が完成したのは、公開11日前の12月9日。片渕監督は「作品が“こういう形にしてくれ”というものがあるような気がしていて、それに少しでも近づきたいという気持ちで仕事して来ました。今回は、それが二つの別々の形を取ったわけです。よく“構想〇年”という謳い文句がありますが最初から数えて9年4カ月、合間に他の作品も並行していても、常に平行して作業をし続け、掛け値なしに付き合い続けた作品です」とすがすがしい表情で語る。


2016年に公開された作品をベースに、新たなシーンが追加されたということで、いわゆる“ディレクターズカット”という意味合いで捉えられる人も多いかもしれないが、作り手としては、同じ題材による第二の作品、追加されたシーンにより、作品に全く違う顔を見せる不思議な映画体験を味わえる“新作”であるという思いが強かったようだ。


実際、今年行われた第32回東京国際映画祭では特別招待作品として上映され、第74回毎日映画コンクールでも『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が、アニメーション映画賞にノミネートされた。まさしく映画界が“新作”という評価をした証明となる出来事だ。のんも「本当に嬉しい。私自身、期間を置いて同じ役に挑む経験が初めてだったので、どういう風に受け入れてもらえるか気になっていたんです。その意味で“新作”として見てもらえることは、驚きと喜びでいっぱいです」と笑顔を見せる。


■片渕監督との出会いで「ものづくり」に勇気がもらえた(のん)


公開日直前まで制作を続け、こだわりを見せるクリエイターとしての執念にも近い片渕監督の姿勢に、のんも多大なる影響を受けた。「自由にやりたいことをやろうと決めて“のん”になったのですが『この世界の片隅に』で片渕監督とご一緒できたことは、本当に大きな出来事でした」としみじみ語ると「9年に渡って一つの作品に没頭する姿を見て『あーここまでしてもいいんだ』と、ものづくりに対して勇気をもらえました」と感謝を述べる。続けて「危険な領域に足を踏み入れた気がしました」といたずらっぽい笑顔を見せると「私もこんなスタンスで映画に携わっていきたいと思いました」と決意を新たにしていた。


取り組む姿勢だけではなく、さまざまな“表現”を探求するのんにとって、技術的にも“声だけの芝居”を経験できた本作への参加は大きな実りがあった。「声だけの演技はあまり慣れておらず、初めて経験することばかり。今までは、感情が動いたところを監督に切り取ってもらえばいいという感覚で演技をしていたのですが、シーンを身体的に作っていくことができないなかで、声だけで勝負することは、とても刺激的でした。お芝居という部分でも、この経験はすごく勉強になりました」。

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