佐藤健、窪塚洋介、北村匠海…実力派俳優が魅せる「家族の物語」

映画・舞台 公開日:2019/11/18 18
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佐藤と言えば、その華々しいルックスはもちろん、数々の映画やドラマで主演を果たすなど、若くしてスターという位置づけの俳優であるが、一方で主役を引き立たせるような立ち位置からでも物語を引き立てることができる演技派の一面も持つ。本作では、そうした佐藤の特性が非常に良く出ている。


群像劇であるため出演者が多いなか、しっかりストーリーラインの中心に立つ役割を果たしつつ、周囲を立たせる芝居も見せるのだ。そこには鈴木や松岡、佐々木蔵之介、音尾琢真ら芸達者な役者が配置されているという部分も大きいのだろうが、意識することなく明と暗のコントラストを楽しむことができる。


物語は重い。しかし佐藤が東京国際映画祭のレッドカーペットイベントで「一度崩壊してしまった家族がまた再生するには、かなりの勢いでぶつかる必要がある」と話していたように、佐藤の静かな演技のなかに秘めた爆発的な思いは、多くのことを考えさせるほど熱い。


『影踏み』(公開中)

■北村匠海の吸収力はレジェンドミュージシャン相手でも健在!




人気作家・横山秀夫のミステリー小説を、名匠・篠原哲雄監督で映画化。プロの窃盗犯として生きていた真壁修一(山崎まさよし)が、年の離れた弟・啓二(北村匠海)と共に、自らが窃盗に入ったときに遭遇した事件の謎に迫る姿を描く。


映像化は不可能と言われた横山の傑作小説の映像化ということで、作品のカテゴリーとしては犯罪ミステリーと位置づけられるが、注目したいのは、山崎と北村が織り成す兄弟のストーリーだ。


この二人、実年齢では親子ほどの年齢差があるが(映画公開時、山崎は47歳、北村は22歳)、劇中で見せる山崎と北村のシーンでは、本当の兄弟のような佇まいを見せる。


兄弟というのは、顔形が似ていなくても、雰囲気や仕草などが似ることがある。それは長年同じ環境で生活してきたからこそ、醸し出されるもので、芝居の世界では、その乖離を“技術”で埋めることが求められる。前述した『ひとよ』のメガホンをとった白石監督も三兄妹のキャスティングについて「芝居が上手い人」とコメントしていた。


それだけ“技術”が求められるが、山崎は過去、映画への出演があるものの、本職はミュージシャンだ。ある意味で“技術”を求めての起用ではないだろう。しかもこの二人は本作が「はじめまして」だったという。互いにコミュニケーションをしっかり取り、食事に行ったり、一緒に帰ったりということはしていたというが、それでも兄弟としてまったく気にならないところまで持っていくのは非常に難易度の高い作業のように思われる。


それを可能にしたのが、北村の吸収力ではないだろうか。『君の膵臓をたべたい』『勝手にふるえてろ』『春待つ僕ら』『君は月夜に光り輝く』など、これまでの作品で北村は圧倒的な吸収力で相手の芝居を包み込んできた。共演者も北村の受けの芝居を絶賛していた。


本作で演じた啓二は、寡黙な修一を導くような立ち位置の芝居だったが、自ら仕掛け、山崎のアクションを引き出し、それを包み込んだ。時に啓二が修一の兄のような錯覚に陥るほどだ。


山崎、北村共にミュージシャンという共通点がある。「ミュージシャンの芝居には独特の間がある」と話す演出家は多い。ある意味で、二人の持つミュージシャンとしての共通の“間”が、見ている側に「他人ではない関係性」を想起させるのかもしれない。


ミステリーとしての謎解きはもちろん、二人の醸し出す“兄弟”も堪能してもらいたい。


兄弟役演じた山崎まさよしさん&北村匠海さんインタビュー▼

https://news.dwango.jp/moviestage/42970-1911


文:磯部正和


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