石原さとみ 純粋さと狂気の狭間に、吉田鋼太郎演出の主演舞台開幕

映画・舞台 公開日:2019/09/06 10
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吉田鋼太郎が演出・出演し、石原さとみが主演する舞台『アジアの女』の最終舞台稽古が、5日夜に行われた。

劇作・演出家の長塚圭史が2006年に書き下ろしご自身の演出で上演されて話題となった本作。今回演出を手掛けるのは、俳優としての活躍に加え、故蜷川幸雄の後任として彩の国シェイクスピア・シリーズの芸術監督を担う吉田鋼太郎。これまで俳優として長塚圭史の作品に数多く出演してきた吉田が、満を持して盟友の戯曲に演出家として挑み、演出と兼ねて出演もしている。石原さとみの舞台出演は1年半ぶり。(前回は2018年2月-3月『密やかな結晶』)

大災害の起きた東京で、壊滅した家に住み続ける兄妹と、兄妹の生活に介入してくる人間たちを描いた物語。2019年現在の日本を予見したような鋭い視点を内包し、今を生きる私たちの胸に刺さる、普遍的なテーマを扱っている。登場人物は、かつて心の病を患っていた女性・麻希子(石原さとみ)、麻希子を見守りながら共に暮らす元編集者の兄・晃郎(山内圭哉)、麻希子に想いを寄せる警官・村田(矢本悠馬)、麻希子を外の世界に連れ出す女性・鳥居(水口早香)、そして兄妹に変化を与えることになる作家の一ノ瀬(吉田鋼太郎)の5人。

石原さとみはテレビドラマの溌溂とした役のイメージとは違い、純粋さと狂気のはざまで生きている、これまでにない役柄に挑戦。微妙な精神のバランスの中、あることをきっかけに変化していく様を、繊細かつ力強い感情表現で演じている。




吉田鋼太郎は俳優としても重要な役どころを演じており、兄妹の静かな生活をかき乱す強烈なパワーと、その実、闇を抱え苦しんでいるという多面的な人間像を見せる。

深刻な状況の中で、それとは関係なく人間的な弱さや狡さをさらけ出しながら生きる人間たち。2006年の初演時とは大きく情勢が変わる「アジア」という概念。愚かでも生きていくことで見えるかもしれない光。答えのない物語に、観劇後、観客それぞれが異なる感想を持ち誰かと意見を交わしたくなるような、深く考えさせられる作品となっている。

本日6日夜、渋谷区のBunkamuraシアターコクーンで開幕する。


<コメント>
■吉田鋼太郎
稽古をしていく中で、長塚圭史の戯曲が持つ奥深さ、世の中を見る目の鋭さを改めて噛みしめる日々でした。この作品は、石原さとみという稀有な女優の存在無しには完成しません。彼女の繊細で、その内に閃光のような強さを持った煌めきと、山内君、矢本君、水口さんの個性的かつ確かな芝居が交差したときに何が起こるか、自分も舞台の上で体感するのを楽しみにしています。


■石原さとみ
毎日が本当に充実した、密度の濃い稽古期間でした。鋼太郎さんの演出は役者に伝える言葉が繊細で、戯曲の解釈が広く深く、とても多くの発見を頂ける日々でした。一か月間、常にこの作品のこと、芝居のことを考えていましたし、きっと千穐楽までずっと考え続けると思います。お客様にも、この物語からたくさんのことを感じて考えて頂けるような作品にできるよう、5人力を合わせて頑張ります。


<あらすじ>
大災害によって壊滅した町で半壊した家に住み続ける兄と妹。兄、晃郎(山内圭哉)は酒浸りとなったが、かつて精神を病んでいた妹、麻希子(石原さとみ)はむしろ回復しつつある。書けない作家一ノ瀬(吉田鋼太郎)が現れ、元編集者の晃郎に「物語を書かせろ」と迫る。麻希子に想いを寄せる巡査の村田(矢本悠馬)は、家を出ない兄妹の世話を焼き見守っている。純粋さと狂気のハザマにいる麻希子。一ノ瀬のために外出した麻希子は鳥居(水口早香)と出会い、生活のため「ボランティア」と称した仕事を始める。
ついに家を出る麻希子、出る事が出来ない晃郎、麻希子をモデルにした物語を書き出す一ノ瀬・・・


■『アジアの女』
作:長塚圭史
演出:吉田鋼太郎
出演:石原さとみ 山内圭哉 矢本悠馬 水口早香 吉田鋼太郎
日程:2019年9月6日~9月29日    
会場:Bunkamuraシアターコクーン(東京・渋谷)


提供:ホリプロ
撮影:宮川舞子

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