逸材・寛 一 郎、令和突入で「目指せ、オスカー!」 父・佐藤浩市との親子共演も希望

映画・舞台 公開日:2019/05/17 9
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経験年数からいえば「新人」と位置付けられる。しかしスクリーンから放たれるただならぬオーラからいえば「逸材」と位置付けたい。俳優の寛 一 郎はそんな稀有な存在だ。祖父は三國連太郎、父親は佐藤浩市。日本を代表する名優の血を引くサラブレッドという先入観を抜きにしても、演技を通しての寛 一 郎の立ち振る舞いは目を引く。ミステリアスなムードを漂わせたかと思いきや、市井の好青年の笑顔を覗かせる。キャメラの前に己として立ち、作品毎に顔つきも変わる。経験を積み、磨かれ、研ぎ澄まされる。俳優生活3年目に突入の令和元年に公開される映画『雪子さんの足音』(5月18日公開)も、俳優としての経験値をアップさせる一本だ。




主演を務めるベテラン女優の吉行和子とは初顔合わせながらも、一歩も引かず。「緊張はするけれど、いざ芝居となると『やるしかない』と腹が括れる。本番に強い、と自分では思いたい」とハニカミながら「吉行さんはチャーミングでありつつも、雪子になる瞬間に寒気を感じさせる怖さもあった。しかもセリフがすべて頭に入っている。ベテラン俳優の方で『歳を重ねるとセリフ覚えが悪くなる』という方もいるけれど、吉行さんには当てはまらない。失礼ながらも“怪物”とさえ思ってしまった」と圧倒させられることばかりだった。


父親で俳優の佐藤浩市も友情出演しているが、同じシーンでの共演場面はない。「親子初共演!」とはやし立てられそうだが「僕の中では、俳優としてのプライドとして共演とは言いたくない。面と向き合ってしっかり演技を通して対峙した時に『親子初共演!』と言われたい」と俳優としての父親に尊敬と畏怖を抱いているからこその反応。親子共演には前向きで「したくないことは絶対にないです。父とはプライベートでは仲がいい分、刑事と犯人で対峙するような、普段とは真逆のバチバチな関係性でやってみたい」と理想像もある。ただ「僕としては幼いころから俳優・佐藤浩市とオヤジの区別は自然とついていたけれど、オヤジはどうかな?自分で言うのも変だけれど、僕は“可愛い息子”ですから。オヤジの方に気恥ずかしさがあるかも」と無邪気に笑う。


劇中では、雪子(吉行)に湯佐薫(寛 一 郎)が飼い慣らされる象徴として様々な料理が登場する。「食べるとか、歩くとか、日常生活の中での些細な行動こそ難しいと感じる。普段当たり前にやっていることが、カメラがあることによって変に難しくなったり。上手い俳優さんは作品の中でも日常動作がナチュラルで嘘がない。今作での僕といえば…食べ方が上手くなかったのではないかと反省」と頭をかく。俳優を始めてからの変化の一つに食生活が挙げられるそうで「体が資本の仕事ですから、健康管理を意識。俳優を始める前は肌荒れも酷かったけれど、ライフスタイルがいい形に変化。俳優業に感謝ですね」と役得に嬉しそうだ。


現在22歳の遊び盛り。ゆえに食にはあまりこだわりはないそうだが「自分自身に対してのご褒美として食べるのは中華そば。シンプル・イズ・ベストが好き。お酒を飲んだ後にシメで食べた西麻布の『かおたんラーメン』の中華そばのあまりの美味しさにショックを受けたのがきっかけ」と明かす。食べ方にもこだわりはないが「まずはスープを一口味わってから麵を食べる。ラーメン評論家は必ずスープからスタートするので、それをマネしているだけですが」とちょっとだけ背伸びをしながらグルメを楽しんでいる。


新時代・令和に突入し、平成が終わりを告げた。平成時代に俳優デビューした寛 一 郎だが「平成でやり残したことはたくさんあります。それを令和で叶えたい」といい「平成では新人賞をいただいたので、令和は全部の映画賞を獲りにいく気持ちで目指せ、オスカー!」と若さを武器に大きな目標を担いで歩く。平成後期からテレビ、映画、ネット配信と表現の場は大きく増え、世界はより近くなった。そんな世の中にあり、寛 一 郎は「海外で活躍するのもいいとは思うけれど、僕は大好きな日本映画の質を上げて、自分が海外に行って挑戦するのではなく、海外に自分が出演した作品を持っていきたい」と抱負を述べて「日本映画の水準を上げられるような俳優になりたい。それが令和一番の目標かもしれない」と力を込めた。(石井隼人)

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