桜田通、極寒の唐揚げ弁当カチカチ事件で境地「これが人生だ…」

映画・舞台 公開日:2019/04/04 12
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4月5日公開の主演映画『ラ』で桜田通が演じるのは、バンドマンとしての成功を夢見ながら、坂道を転がり落ちていく青年・慎平。赤ちゃんの産声が“ラ”の音階であるという説のもと、慎平という一人の男の再生を描く内容で、役としても俳優としても桜田はリスタートを切った。これまでにない熱量を桜田は『ラ』に込めたからだ。

イケメン俳優の登竜門的特撮ドラマに出演し、人気漫画原作のミュージカルで名前を馳せた。その道のりゆえに“イケメン俳優”にカテゴライズされるのは自然な流れ。しかし俳優として、ときにそのカテゴリー付けが足枷になることもある。だから不運の連鎖に七転八倒する慎平というキャラクターのオファーに桜田の心は燃えた。



「慎平のようなダメな男に僕を当てはめてくれることが嬉しかった。いままで出演したことのないようなアングラ感のある作品を求めていたちょうどいいタイミング。ほかの作品の撮影のスケジュールもあったけれど、どうにかしてでも出演したいという気持ちだった」と撮影前から覚悟を決めていた。

雨降る夜のスクラップ工場では、笠松将演じる元バンドメンバーとずぶ濡れ泥だらけの壮絶な立ち回りを敢行。撮影時期は2月。水たまりが凍る過酷さも「雨が降れば降るほどシーン的に“オイシイ”と感じたし、雨と泥で身も心も殺されなければとさえ思った。入念な事前リハーサルがあったからこそ、現場全員の意思疎通が取れていて、慎平の感情に身を任せて動くことができた」と入魂芝居に手応えを感じている。

モチベーションは撮影終了後の遅い夕食・唐揚げ弁当だったが「体中泥だらけの水浸しで『やっとご飯が食べられる!』とお弁当に箸をつけたら、白米は丸ごとくっ付いてくるし、唐揚げもカッチコチ。あまりの寒さに凍っていました。これが人生だ…とフッと鼻で笑ったときの音階は、確実に“ラ”でした」と悟りの境地だ。

これら苦難を「すべて当たり前だと思って受け止めていた」と言えるのは、作品に対する思い入れが深かったからこそ。「夢を追い、裏切られ、そして軟禁されて…。こんな慎平の人生を背負うならば過酷なシーンや感情をむき出しにするのは当然のこと。その心構えができないのならばやらなければいいだけ」ときっぱり。

福田麻由子が怪演する恋人・ゆかりとの関係性はホラー映画そのもの。桜田は福田がリアルに造形したヤバイ女性ゆかりにゾッコンだそうで「普通とは違うちょっとズレたような女性も面白いのではないかと思えるようになった。もちろん王道的可愛い女性も好きですが、深層心理では個性的な女性に惹かれてしまう素質があるのかも…」と秘密の扉を開きそうな勢いだ。

ちなみに理想の女性を音階orギターコードで表すならば?と聞くと「相手の女性が陽過ぎると、あまりの眩しさに僕がドラキュラみたいに燃え尽きる恐れがあるので、メジャーコードよりもマイナーコードが理想。ということでAmです」と答えてくれた。真剣な表情で熱弁する一方で、こちらの質問内容に合わせてユーモアを交えて積極的に話してくれる。座長として、どんな形であれ『ラ』を広めていきたいからこそ。その愛はしっかりと作品に質として還元されている。


文・写真:石井隼人

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