ボイメン一の演技派・田中俊介、映画館でのこだわりルーティン「全身で映画の光を浴びる」

映画・舞台 公開日:2019/02/15 16
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名古屋発のエンターテイメントグループBOYS AND MEN。個性派ぞろいのメンバーの中でも“ボイメン一の演技派”という異名をとる逸材がいる。田中俊介。2018年には『DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW』、『恋のクレイジーロード』、『ゼニガタ』という3本の映画が公開されるという露出ぶり。よしもとばなな原作の日韓合作映画『デッドエンドの思い出』(2月16日公開)では、少女時代のスヨンとW主演する。

「デビューして9年目に突入しますが、昨年は個人活動として今までで一番充実していた年でした。今やボイメンはエンターテイメントグループと認識されていますが、もともとは俳優活動からスタートしたグループ。『演じたい』という思いが徐々に形になりつつある」と実感を込める。




現在28歳。年齢を考えると“遅咲き”と言われそうだが「年齢的には30代手前。僕よりも若い俳優たちが活躍していく姿に羨ましさはありました。でもそれは、僕が作品に呼んでいただける実力にまで達していなかったということ」と冷静に俯瞰し「ようやく声をかけていただける段階になった現在、ここからどう花開いていくかは自分次第。全力で作品を愛して向き合っていくしかない」と愚直を選ぶ。

その愚直ぶりは役作りにも表れている。例えばBLをテーマにした2017年の主演映画『ダブルミンツ』では、名優ロバート・デ・ニーロもかくやの14キロの減量を敢行。熱のこもった役作りのインパクトは絶大で「以降は殺人鬼、元ボクサーの用心棒などエッジの効いた役柄のオファーが増えた」といい「俳優として、インパクトのある個性派という認識を持たれるのは嬉しい」と俳優・田中俊介の特徴なウリとして大歓迎。しかし一方で「枠に捕らわれず幅広くやっていきたい」という思いもある。

日韓合作映画『デッドエンドの思い出』は、田中の思いに応えるような作品になった。婚約者に裏切られたソウルに住むユミ(スヨン)が、名古屋のとあるカフェにたどり着き、カフェを営む若い男性・西山(田中)や周囲の人々に癒され、立ち直る姿を描くヒューマンドラマだ。田中が演じた西山は、癒し系の気のいいお兄さん的キャラで、しかも舞台はボイメンのホームである名古屋だ。

「このタイミングで刺々しさのない、優しい役柄は純粋に嬉しかった。しかもチェ・ヒョンヨン監督は『ダブルミンツ』を観てくれてのオファー。今までやってきた作品にはない表情を撮っていただけた」と外見ではなく、芝居の本質を見極めてもらえたような気がした。一映画ファンとして韓国映画好きだけに「韓国との合作という喜びと、あの少女時代のスヨンさんとの共演という驚き。もうワクワクだらけ」と声は弾むばかりだ。

釜山国際映画祭では俳優・田中俊介として初めてレッドカーペットを歩いたが「韓国の観客の皆さんの映画に対する熱量は凄かった。その熱がそのまま韓国映画に宿っているんだという刺激を受けた。その熱狂ぶりに興奮してしまい、レッドカーペットはあっという間。気持ち的には2往復くらいしたかった」と笑う。

傷心のユミや地元の人々にとって、西山が切り盛りするカフェは心のよりどころになっている。映画好きである田中の心のよりどころは映画館だ。しかも視聴環境にもこだわりアリ。「10代の頃は後ろの真ん中くらいの席がお気に入りでしたが、20代になってからはどんどん前の方に移行。28歳の現在は、前から3列目の真ん中が指定席です。外国映画だと字幕が読みづらいという難があるけれど、それ以上にスクリーンからの光を浴びたいという気持ちが勝る」と熱弁。もはや「映画館は全身で映画の光を浴びる場所」というスタンスになっている。

『デッドエンドの思い出』を皮切りに、2019年も俳優として全力疾走を誓う。「映画の中で役を演じることに対して、カッコよく見られたいというナルシズムはありません。そんなおごりが芽生えたら僕は終わり」と宣言し「映画の中の一つの道具となり、作品にすべてを捧げたい。僕でよければ捧げます、どうぞお好きに扱ってください、という境地」。“全身全霊俳優”として何色にも染まる覚悟が、田中にはある。

文:石井隼人

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