いよいよ『映画刀剣乱舞』が公開。
原案の「刀剣乱舞-ONLINE-」は、名立たる刀剣が戦士へと姿を変えた“刀剣男士”となって歴史を守るために戦う刀剣育成シミュレーションゲーム。 “刀剣女子”を生み出したこのゲームは、舞台やミュージカルとして2.5次元舞台にも進出。またアニメも放送されるなど、人気コンテンツとして覇道ともいえる道を突き進んでいる。しかも、今回の映画版では舞台『刀剣乱舞』に出演する鈴木拡樹らが集結。
日本史最大のミステリーとも言われる本能寺の変を舞台に、刀剣男士たちが見事なアクションと物語を紡いでいる。などと説明的になってしまったが、この映画、観てみると、とんでもなく格好良くて面白いのだ。舞台『刀剣乱舞』のファンは当然分かっているだろうが、その予想を上回る出来栄え。舞台と妄想にリアルが入ってくると、数倍以上の効果があることを、見た人ならきっと実感できるはず。また、刀が人の姿に…!? と「刀剣乱舞」の世界観に馴染めない人も、観れば必ずハマってしまうだろう。そこで主演の鈴木拡樹に映画の見どころを直撃してきた!
――最初に映画化されると聞いたときは?
「これまで、いろいろな分野に展開をしてきた作品だったので、ちょっと麻痺してたところもあったんです。だから映画版をやりますって聞いたときも、そういえばまだ実写映画化はしてなかったな…って思ったぐらい(笑)。でも、舞台版やミュージカル版でも、それぞれのキャストがいるので、改めて映画に出られるって考えたとき、とてもうれしくなりました」
――映画を撮っているとき、舞台『刀剣乱舞』のことは意識していましたか?
「最初は、まったく違うものにしようと意気込んでいたんです。舞台キャストって、そっちの思考になりがちなので(笑)。でも、それをギリギリつなぎとめてくれたのが、耶雲(哉治)監督でした」
――耶雲哉治監督といえば、映画『MARS~ただ、君を愛してる~』('16年)『暗黒女子』('17年)のほか、映画館で上映されるマナーCM「NO MORE 映画泥棒」の監督としても知られる方ですよね。
「はい。監督が“舞台で培ってきたものや世界観も映画版で反映させてほしい”って言ってくださって。そのひと言が僕たちの気持ちを変え、映画だからっていう構えをふりほどいてくれたんです」
――周りのメンバーも同じ気持ちだったんですか?
「そういう空気になったら、統一出来るのが、このメンバーのすごいところ。最初は映画版だから、映画っぽくいこうぜってノリだったんですけど、舞台で培ってきたものをノセていこうっていうテーマが決まった瞬間、みんながひとつの方向に向きました。」
――そんな鈴木さんが演じるのが、三日月宗近。
「最初に監督とじっくり話し合いました。監督から“ここがポイントだね”って言われたことは、最終的に感情をあらわにするということ。三日月宗近は、これまで舞台版ではあまり表に感情を出さないキャラクターとして描かれてきたので、そこが一番違うところでしたね。まぁ、舞台版だったら、山姥切国広をいつも気にしていたのに、今回の関係性ではそういったところがないところもありますけど(笑)。あと新鮮に感じたのは審神者(さにわ)との関係性。審神者と三日月宗近の絆も描かれているので、とても面白く感じました」
――山姥切国広との関係性も入れ込んでほしかったですか?
「いや、おそらくお客さんも、舞台ではこうだったのに、映画ではこうなんだっていうほうが、観て喜んでいただけるんじゃないかなって」
――これまで舞台でも三日月宗近を演じてきて、自分の中で変わったことってありますか?
「柔軟じゃなきゃいけないってことですかね。確かに彼の役どころをとらえるには時間がかかりました。最初の舞台が終わったとき、次はこういう感じの流れになるだろうって言われていたのが、実際に稽古が始まると、どんどん設定が変わっていたりして。長い期間、演じさせてもらえているがゆえの悩みだともいえます。でも、三日月宗近の最大の魅力って、最後まで何を考えているか分からないところだと自分では感じていますね。」
――では、共演者の方たちについても聞きたいと思います。みなさんのことを教えてください。まずは山姥国広役の荒牧慶彦さん。
「マッキーは一番最初に会ったときが、もう5~6年前になるのかな。それから人間性は変わっていないんですけど、やっぱり彼も先輩になっているんだなぁって最近すごく感じていて(笑)。そういう大人の空気をまとってることがあるんです。舞台『刀剣乱舞』を牽引してきた1人でもあるからかもしれませんけど」
――薬研藤四郎役の北村諒さんは?
「キタムはとにかく自然体。その自然体が美しくて、ある意味、僕の理想の姿だと思います。何かあったら、すぐ言葉にしてくれますし、だからといって気づかいがないわけじゃない。そのスタンスがとにかくカッコイイ人」
――へし切長谷部役の和田雅成さんは?
「雅成くんはとにかく分かりやすい関西人。サービス精神がスゴイですね。お客さんたちに対してはもちろん、僕たちにもその心意気は感じます」
――日本号役の岩永洋昭さんは?
「岩永さんは先輩なんですけど、男がほれる男って感じですね。だからと言って先輩先輩しているわけじゃなく、僕たちにも寄り添ってくださって。ちょっとコワモテに見えるかもしれませんが、とっても優しい人ですよ」
――骨喰藤四郎役の定本楓馬くんは?
「楓馬くんは今回、初めて共演したんですよ。こちらから話しかけないと無口なタイプかもしれないって思っていたら、一度打ち解けると、とてもよくしゃべります。きれいな笑顔をよく見せてくれる人ですね」
――不動行光役の椎名鯛造さんは?
「タイちゃんは一番、付き合いが長いんじゃないかな。彼がいると安心できます。僕の相棒ともいえる人! 」
――鶯丸役の廣瀬智紀さんは?
「嫌われることのない才能を持つって、彼のことを言うんじゃないですかね」
――ちなみに廣瀬さんは天然なところは計算だとおっしゃってましたが…。
「じゃぁ、そうなんじゃないですか(笑)。そう、ドライな感じで答えておきます。どんなことを言っても彼は必ず許してくれるので。人を幸せに出来る人っていいですよね」
――ちなみに脚本を手掛けられた小林靖子さんは?
「もちろん、以前から知っていました。小林さんの作品って、登場人物がつらい目にあうんですよね(笑)。でも、そこも今作のみどころとなっています。それに今回の映画は『刀剣乱舞』の世界観じゃないと謎が解けないストーリーになっていて。さすがだなって思いました。この映画は『刀剣乱舞』じゃないと描けない歴史物語になっていますので、ぜひ劇場まで足を運んでご覧になってください」
文:今 泉