吉川友 無茶な「17分25秒楽曲」をなぜ作ったか?スタッフが明かす

アイドル 公開日:2015/04/06 27
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吉川友が今回、一曲で17分25秒にも及ぶ超大作『花』を完成させた。


今回、この無謀とも思える企画を成立させたスタッフたちに話を聞いた。出席者は、チーフマネージャー (UFC_de_staff)、レコードメーカー担当者(Universal_RM)、サウンドプロデューサー michitomo、聞き手 南波一海。



―そもそも長い曲を作るという発想はどこから来ているんですか?

UFC_de_staff(以下UFC)
「前二作の『URAHARA テンプテーション/いいじゃん』と『あまいメロディー/「すき」の数え方』はこちら側から“こういうのを作ります”という感じで投げさせていただいたんですね。次の作品をどうしようっていう話があった時に、今回はユニバーサルさんからご提案いただいたんですが、そのなかのひとつにそのアイディア(長い曲)があったんですね」

―そこで長い曲というのはピンと来た。

UFC
「今の吉川はむちゃくちゃなことをやってもスッと入るというか。それこそサンバとか狩りの衣装もそうですけど」

RM
「後付けっぽく聞こえちゃうかもしれないですけど、彼女が一般的に抱かれているであろう破天荒な雰囲気を、きっちり受けてくれる曲が必要なんじゃないかと思ったんです。多少ギミックがあるというか、ギミックに寄せたものを作ってもいいんじゃないかと。もしかしたら歌詞を飛ばしてしまうかもしれませんけど(笑)、そういうことも含めて、彼女が格闘しているのを楽しんでもらえたら面白いぞと思って作りました」

―吉川さんのキャラクターがあってこその長い曲というわけですね。ちなみに、そのやりとりの際にはmichitomo さんは参加するんですか?

michitomo
「いえ、やることが決まった後からですね。僕は厨房にいました。“次のオーダーは何来るんだろう”つって(笑)」

―待機していたと。実際にやると聞いた時はいかがでした?

michitomo
「“はい、喜んで”です。話を聞いたのが、アプガの『ハイスパートキングダム』のアフター公演の時で。その時もリミックスの長いやつを作ったんです。それをライヴで確認して、その後の打ち合わせで“長い曲をやります”って言われました(笑)」

―「また!?」みたいな(笑)。いざ長い曲を作ろうと言っても、尺を何分にしようっていうのがありますよね。

UFC
「最初は何分って言ったんでしたっけ?」

RM
「30 分って言いました。具体的に過去の長い曲を聴いたりしてみて。クイーンの〈ボヘミアン・ラプソディ〉だったり、X JAPAN だったり」

michitomo
「X JAPAN は〈ART OF LIFE〉ですね。30 分。本当に長い」

―長い曲ってやっぱりバンド演奏のパートが長く取られたりしていて、歌がない時間があるじゃないですか。でも、吉川さんの曲でそういうわけにもいかないですよね。

michitomo
「そうなんですよ。あくまで主演・吉川友のステージなので。仮に30 分を歌い続けるとしたら、休む時間を入れたりしないといけないと思うので、僕的には無いかなと。そこを圧縮して20 分にしたら、同じ展開でやっていくには長すぎる尺なんですよ。単純にリスナー目線になった時に飽きちゃう。RM さんも20 分だとちょっと長いかなっていう話もしていたので、最終的に今の尺に落ち着いた感じですね」

―17 分半になったと。

michitomo
「長い曲って聞いた時に、ミュージカルっぽいのとか、美輪(明宏)さんの歌会を想像して。もちろん歌もあるけど、伴奏があって喋ってたりするんですよ。紅白の時の不動のまま歌う姿とかもイメージして、そういう動かないパートがあってもいいのかなと。組曲とか交響曲みたいな作りにして、それぞれのパートのカラーがあってもいいのかなと。最初は四部まで考えてたんですけど、長いなと思って、三つの展開にしました。起承転結というか、序破急みたいな感じで」

―最初は四部構成で考えてたんですね。最後にテーマが戻ってくるような?

michitomo
「そうですね。最後で最初のところに戻そうかと。でも“やっぱなげえな”ということで(笑)。頭の部分は“X っぽいことやっちゃおう”って思ったので、結構すぐにできちゃって、そこからどういう風に着地に持っていこうかというところで、つらつらと作って、みなさんに聴かせて、という状況でした。そこまでは特にディスカッションみたいなのもなく」

―大体の形はそこまでの苦労もなくできた。

michitomo
「そうですね。ざっくりと。三部構成なので、それぞれの部分をひとつずつ作っていって。その合間に喋りとか入れようっていう話になって」

―実作業としては三曲分作るような感覚ですか。

michitomo
「作業的にはそうですね。ただ、一本のテーマは先に決めていて。それこそ花とか、女の一生みたいな部分とか。ベースになるコンセプトは曲を作る前の段階からできていました。細かい部分は作詞する方に掘り下げてもらうとして、こっちは三つのパートが作る時点で、最初の部分では人生が始まって、次に自分と向き合うっていうところに持っていって、最後はスケールのでかい感じにしたいな、と。それを“花”に落とし込めればなっていう話をしつつ」

―今回、作詞を三人が担当していますが、どういう経緯があったのでしょうか。

UFC
「一番最初の話に戻るんですけど、RM さんと上の方と話しをしているなかで、キーワードとして新しい吉川は見せていきたいという話をしていて。曲はどういう形がいいんだろうって話してた時に、長い曲の作曲を何人かにお願いすると、しっちゃかめっちゃかになるだろうから、曲はmichitomo さんにしようと。作詞も、吉川のことをわかっている人に新しい吉川を出してもらいたい。とはいえ、一人の方に詞をお願いすると、ともすると単調なものになったりしないかなと思って。一楽章目の明るい女の子がいて、二楽章目の根暗な女の子がいて、三楽章目は全部をひっくるめた女性っていうコンセプトがなんとなくあるなって話をしていた時に、じゃあ思い切って、一番はそういうのが得意なNOBEさん、二番は影のある女性をうまく表現できる大森さん、で、それを全部まとめられる人は一周回って大華奈央香(michitomo の作詞時の変名)さんしかいないなということになって、その三人にお願いすることになりました」

―それぞれのパートを結びつける整合性が必要ですよね。そのあたりはどうしたんですか?

michitomo
「三つ目の僕ところはNOBE と大森さんのができた上でやろうと思っていたんですね。だから、NOBE との整合性がどうなるかなと思っていたんですけど、あがってきた大森さんの詞が、ある意味どぎつかったんです。NOBE のパートと合わないかなと思ってたんですけど、大森さんの詞を曲と合わせて歌ったら、意外としっくりきたんです。それで、NOBE に“これに合わせて歌詞変えて”って言って(笑)」

―NOBE さんの方を変えてもらったんですね。

michitomo
「詞だけ読んだら“重てえな”と思ってたんですけど、歌ってみたらスーッと落ちたんです」

―歌い手ならではの歌詞なんでしょうね。

michitomo
「そうなんですよね。NOBE のやつはキレイにまとめすぎていたというか。あと、小さい頃から時系列を順に追っていってたんです。それだと、かいつまみすぎているなと。もっと時間を絞って、なうな吉川さんというか、今の女性にしてもらおうと。大森さんが、アネモネとかサンタクロースをテーマにしていたので。NOBE の場合は、花っていうのも具体的な花とかではなかったので、そこを直してもらって。それで最終的にこうなった感じです」

―大森さんが話が急すぎたって言ってましたよ。

UFC
「今回、直接話はしていなんですよ。大変だったんだ……」

―ツアーもあるし、アルバムのプロモーションもあった時期だし。期日も短かったんですよね?

RM
「それは本当にそうです」

michitomo
「短かったです。一週間もない(笑)」

UFC
「しかもこういう曲だから、ちょっと直してもらうかもしれないっていう話をして。でも歌を入れてみたらしっくりきたので、変更なしで、台詞だけ書き足してもらって」

―話を聞いていると、「花」は大森さんの歌詞が軸になっているんだなと思いました。

michitomo
「肝だったりします。今、シングルとして出すものとして、歌を聴かせるだけっていうのはないと思うんですよ。だって、6/8 拍子のバラードですよ」

―尾崎豊ですよね。

UFC
「現場のマネージャーがレコーディングに立ち会って“もう尾崎豊にしか聴こえない”って言ってました(笑)」

michitomo
「歌い方も一本調子だと飽きるから変化を出したくて。歌い方を変えようって話になって、吉川に宝塚のこういう感じっていうのを見せて、オペラ風というか、喉を開いて歌ってもらって。その結果が、尾崎(笑)」

RM
「ここはやっぱりチャレンジングですよね」

―ライヴも楽しみなところですよね。三部の歌詞についてはいかがですか?

michitomo
「壮大なスケールの話にしたかったというか。宇宙っぽい感じがいいかなと思ったから音楽の毛色も他と違って。詞の世界観も抽象的ででかい感じにしたんですけど」

―最後が“eternity”ですもんね。

michitomo
「やたらにスケールがでかい(笑)」

―それから、各パートを結ぶ台詞が重要ですよね。

michitomo
「そうですね。ひとつのミュージカルなので、台詞を入れないと、ただみっつの曲を繋げただけになってしまうじゃないですか。もう、美輪さんが間で喋ってるかのように(笑)。イメージは美輪さんと越路吹雪さんと、宝塚」

―歌入れはいかがでした? 一日では終わらないですよね。

michitomo
「終わらなかったです。作曲も同時進行でやっていたので、できた順にやっていってました。時間で言ったら一週間くらいですかね。録ってる日にちだとプリプロ入れて四日で、本録りは二日でした。さすがにプリプロやらないと歌えないので、そこはちゃんとやって」

―ミュージック・ビデオはダンスらしいダンスがほとんど出てこないで、アップとスロウが多用された構成になりました。

UFC
「コンセプト的にはカッチリとした振り付けはいらないなと思っていて。17 分をスローモーで見せるっていうのはハードルが高いですよね。撮られる角度を選ぶ子だと、あれはできなかったかもしれない。だから吉川の撮影の時もやりたくないと嫌がられたんですよね(笑)」

―しかし、それが綺麗に収まっていると。

UFC
「なんでもできちゃうぶん、チャレンジはさせたいっていうのはありました。“きっか歌うまいよね”“かわいいよね”だけで終わって、広がらないっていうことに気づいたので、何かやらなきゃなって。あの子は真面目にやれば、17 分の曲にしても、スローモーのMVにしても、しっかり作品としてはできあがるので。企画だけでダメでしょってことにはならない。でも、MV とは別に、ライヴでの見せ方は考えないといけないなと思って、作っている最中なんですけど。色んな顔が見られる曲なので、最後には壮大なエンディングが見られるんじゃないかと」

michitomo
「最後はお客さんに宇宙で祈ってもらいます(笑)。この曲のイメージはやっぱりステージなんですよね。パッケージとしてまとめますけど、吉川友ショーをライヴで見て欲しい。やるとこ選びますけど(笑)」

―ちなみに、ラジオとかテレビとかで流すことを考えたりは?

UFC
「ぶっちゃけ、、、、どうしましょう(笑)。ただ、そこを考えて作るよりは、面白いものをという思いを優先しました。でも『The Girls Live』の収録は考えないと。ワンハーフってどうするんだろう(笑)。何楽章がイチ押しか聞かれたら困りますね」

michitomo
「ヒラウタ(サビ前のA,B メロ)が第一で、サビが第二で、大サビが第三で、みたいな。繋がないでぶった切って流したりね(笑)。でも、クラシックの交響曲をみんなが知ってるかと言えば、ベートーベンのド頭しか知らねえだろっていうのもありますし。その意味ではサビが聴ければいいのかな。どのパートもサビ部分は花へのスポットの当て方が一緒なので」

UFC
「しかし今回、どう受け取られるんですかね」

michitomo
「間違いなく思われるのは……長い」

RM
「そりゃそうですよ(笑)」

―ちなみに吉川さん本人はどう受け取っているんですか?

UFC
「全体通して好きみたいですね。あと、新しいことをやるのが好きな子じゃないですか。その新しいことをアプガじゃなくて私でやっているっていうのが嬉しいんだと思います」

―それはありそう(笑)。彼女一人がやるから面白いわけだし。

UFC
「アップアップの方がこういうことやりそうですよね」

michitomo
「僕のなかでもアプガとの対比は出したいなと思ってました。勢いでいくんじゃなくて、主軸は一人の歌。歌で緩急をつけたいなと。アプガも吉川さんも振り付けをイメージして作るんですけど、〈花〉は不動のままでも成立するような作りにしたいなと思ってやってます。いずれにしても一人で歌うのが難しい曲なんですけど、そこにチャレンジして欲しいっていうのはありました」

RM
「第三楽章までありますけど、〈花〉というひとつの曲で色んな側面を見せられたらいいなと。決してユーザーフレンドリーな楽曲ではないと思うんですけど、彼女にいい意味で引っ掻き回してほしいなと思ってます」

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