「腐ったら 負け」HKT48 堺萌香、涙もろい少女が踏みしめる一歩

アイドル 公開日:2020/05/15 52
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堺を語る上で欠かせない“涙”。


誰かの生誕祭になれば必ず祝われるメンバーより先にポロポロと感涙。結果舞台上の誰よりも涙を流す。結成7周年を迎えるにあたり「組閣が行われ、大好きなチームがバラバラになるのでは?」との“もしも”に不安になり涙、『仁義なき~』終演の寂しさに涙、大好物のお菓子「蒲焼さん太郎」が売り切れで買えずに涙…etc、弱々しいまでの涙腺決壊エピソードが掘れば掘るほど出てくる。


とめどなく流れる涙、それは情けの厚さの証拠だ。


2018年の総選挙、ランクインを果した運上と小田をまるで自分のことかのように誰よりも祝福し迎え、かつて「栄光のラビリンス」イベント参加の際、どうもイベントを上手く勝ち進めない松本にゲームが特技で趣味の堺は上手な進め方をレクチャーしたという。さらにイベントの際に、てねっぱ同盟、参加したTⅡメンバー全員分の投票も行いバックアップしたことも。他にも不定期配信のラジオ「TⅡラジオ」の宣伝を自分の握手会情報以上に行うなど、利他的エピソードにも枚挙にいとまがない。


「私たちは仲間。切磋琢磨していければいい」とかつて語った言葉が全てだ。


流れる涙は時に悔しさの涙にも変わる。


アイドルが、HKT48が好きな堺にとって選抜とは夢の場所であり「目指さなきゃいけない場所」だ。しかし、活動初期から恵まれたポジションにいたわけではなかった。いち早く魅力を開花し選抜入りしていく仲間たちを横目に、自分が今やれることに全力で向き合う日々。地道な活動が花開き、公演で認められるようになった、握手の部数も増え列も伸びた、「栄光のラビリンス」でも結果を残した。それでも手が届かない。頑張りが結果に結ばないことに歯がゆさを感じる日々が続く。その度に涙を流し、そして冒頭の滂沱の涙へと繋がる。「努力は必ず報われる」――この言葉は誰にでも有効ではない。堺にとっても今はそうだ(そして涙を飲む多くのメンバーも同様に…)


今年3月7日、『3-2』の選抜発表の日。同期が選ばれる中、堺の名前はなかった。SNS上では気丈に振舞うも、翌日のSHOWROOMでは感情を抑えきれず、自分の将来への不安を素直に漏らした。


それでも折れなかった。「悔しいって思えるようになったのはうれしい。何作か前までは(選抜入りは)正直、絶対無理だと思ってた」と755に前向きな姿勢を綴る。今の自分なら選抜に入っても何かを残せると…。辛さの中に心の成長が光った。


4月15日、「栄光のラビリンス」のCMの放送開始。画面の向こうに、満面の笑みを輝かせる堺の姿があった。

最近ではTwitter上に、大好きなRPG『ドラゴンクエスト』シリーズのキャラ・モンスターに自分の似顔絵を合体させたイラストの公開を始めた。マニアックなモンスターをチョイスする「ドラクエ愛」をほとばしらせる、愛らしさと味わい深さが詰まった絵は、少しずつだがファンの間で反響を呼び始めている。


この行動がプラスに転じるかはわからない。ただ、その一歩は無駄にならない。「努力の数だけ魅力的な女性になる」と堺の両親が彼女に送った言葉通り。歩みは遅いのかもしれない、それでも歩み続ける力を堺は持っている。


『腐ったら、負け』を体現する涙もろい彼女の一滴が、いつか喜びの瞬間に流れる日を心待ちにしたい。その気持ちはファンも、メンバーも一緒だろう。


文:田口俊輔

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