「冬に咲き誇る桜」SKE48末永桜花が魅せた、アイドルとしての矜持

アイドル 公開日:2020/01/26 24
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「ソロコンサートがしたいです!」

2018年8月、『AKB48 SHOW!』のコント「楽屋にて」の一幕でSKE48チームE、末永桜花が漏らしたセリフだ。およそ1年半後の2020年1月25日、劇中の何気ないセリフが現実となった。

新春恒例のAKB48グループTOKYO DOME CITY HALLコンサート。8日目朝、末永の単独コンサートが開催された。




コンサートタイトルは「あなたが見ていてくれたから…♡」、ここから彼女の想いが滲んでくる。加入直後は最後列端と決して恵まれたスタートをきったわけではない。そこから苦手なパフォーマンスを磨き上げつつ「聖地巡礼」などの独自の道を模索しながら、ガムシャラに前に突き進み続けてきた。そのひたむきな彼女を“見つけ”支えてきたファンがいたから、この大舞台を掴めたのだ。

冬曇りが続く都内、しかし25日朝は日差しが差し込む。末永、セレッソール(末永ファンの呼称)がもたらした力なのか……。

開演前アナウンス。緊張からか注意事項を終始噛みっぱなし。しかし、シッカリ耳を傾け大声で応えるファンたち。「今日は絶対に浮気はできないのでシッカリ見ていてください!」と移り気なファンの気持ちに釘をさしつつ「どこにいても見つけてくれますよね?」という一言。自分を見つけてくれたファンへの期待と信頼の証だ。

暗転と共にファンの手に握られたペンライトがピンク色に灯り、会場中を染める。お馴染の『OVERTURE』、加入間もない頃からの今にいたる写真と共に彼女が歩んできた道のりをカットバックしていく。写真が映し出されるたびにファンの言葉にも熱がこもっていく。


トレードマークのツインテール姿、そして“桜色”とチームEカラーのミントグリーン(正確に言えばグリーン)のファーを身につけた末永が舞台上に登場。オープニングナンバーは『恋よりもDream』。期待を受けず、どれだけの苦労があっても、ガムシャラに前に進み続けることを歌う今曲の歌詞がこれまでの末永の歩みと重なる。最高の自己紹介ソングだ。

「みんなの大好きな私を、もっともっと味わってもらいたいなぁと思います!」の叫びで『桜、みんなで食べた』に続く。名は体を表す。ステージ上に舞う桜以上に、ひらひらと舞い踊る。さらにはチームE楽曲『オレトク』へ繋ぎ、続くは『賛成カワイイ!』。歌詞の通りまさにファンたちが選んだマドンナが、“カワイイ”を振りまき続ける。末永による「ずっと推しメン!浮気、しませ~ん!!」というコール&レスポンスという名の指切りもバッチリ決まり(!?)完全に心を桜色に染めていく。緊張からか笑顔と動きに若干のぎこちなさが散見されたが、それでも冒頭の4曲で、末永桜花の魅力を凝縮させていたのは見事。


「ピンクいっぱいのサイリウムで、出てきた瞬間『こんなに人いて良かった!』と思いました」と安堵と共に笑みをもらし「ホントに、ファンの皆さま温かい。ホントに嬉しい!!」とファンの温かさに嬉しさと感謝を炸裂させる。

2月26日に18歳を迎える今、「その前に17歳でフレッシュな私を見せたいので」と『Seventeen』で始まるは、例えるならアイドルゾーン。末永の宣言の通り『心の羽』というピュアさ光る楽曲を披露。「ブルーベリーより甘い私をお届けします」の一言で始まった「カワイイメドレー」では、「目移りしないでね」と歌う『私はブルーベリーパイ』や、渡辺麻友のソロ曲『軟体恋愛クラゲっ娘』というディープな選曲に(ツインテール繋がり?)、『なめくじハート』という、ザ・アイドルな楽曲を詰め込んでいく。そしてメドレーラストを飾るは『最強ツインテール』、もはや末永のためにあると言ってもいい。

前半戦最大の見所となったのは『微笑みのポジティブシンキング』。ここでサプライズゲスト、同期の盟友“小さな鉄人”片岡成美が登場! 苦難の先に光は待っていると歌う曲は、共に苦難の道を歩みながら、片やソロコンサートを開くまでに成長したメンバー、片や劇場にて八面六臂の活躍を見せる公演番長と、それぞれの場所で咲き誇る二人の姿が歌詞にシンクロする。そして4月をもって卒業する片岡、これからもSKE48の一員として進む末永、曲を通じて二人はエールを送り合う。片岡の登場で一気にこれまでの硬さが取れた末永から、満面の笑みがこぼれた。

片岡のパートが来るたびに、サイリウムがピンクと紫という片岡のメンバーカラーに変えるファンの演出も実に憎い。


片岡による声出し練習でさらに温まった場内。中盤戦は末永が初センターを飾った記念すべき『触らぬロマンス』で始まる。MVでもモチーフになっているラグビーをテーマにしたクールなステージング。上半身のしなやかな動きに目を惹かれる。“カワイイ”からの落差もまた末永のレンジの広さを物語る。続くも『純情フィロソフィー』、『絶滅黒髪少女』という、ハードナンバー。ここでのしかしながら徹底的に、“あなたの末永桜花”であることを訴えてくる選曲にはさすがの一言。『誰かの耳』の流れから、クールパートの最後を締めるは、初選抜入りを果たしたまた重要な一曲『いきなりパンチライン』。同じチームEの先輩である谷真理佳と共に披露。谷もまたHKT48時代はダンス面で相当悩んだ経験がある。それが今曲での細かな腕の振りでは見事なキレの良さを見せる。末永も谷の努力家の一面に尊敬の眼差しを送っているのかもしれない。


舞台は一度暗転、ここからショートムービー「ある一日の少女の儚い夢」が始まる。舞台は千葉県にある里見駅。雨降る中、末永演じる女子高生が愛しの“ヒト”待つという設定だ。電車が到着しおもむろに立ち上がる少女、愛しの人がついに……!と思いきや、おもむろにカメラのシャッターを切る。実は少女が待っていたのは小湊鐵道線(キハ200形気動車)、少女は撮り鉄だった!というオチ。この驚愕の展開には思わず場内が笑いに包まれる。

再び場内灯が点ると『鉄道唱歌』をバックに車掌姿の末永が登場。「おーちゃん鉄道、48番線よりおーちゃんトレインが発車します!」と、「そこまで詳しくないですが、電車がメチャクチャ大好き!」な末永による鉄オタコーナーが始まる。ここで意外な選曲、コーラスグループ、サーカスの名曲『ホームタウン急行』を披露。繊細で透き通る歌声が楽曲の品の良さを際立たせる。歌声も流石だが、合間に挟まれた大好きな500系新幹線(フォルムがカッコイイ!とのこと)、京阪電鉄おなじみのプレミアムカーにダブルデッカー車、下枠交差形パンタグラフ愛を語るコーナーは鉄オタ感涙の一幕。指さし確認を終えると、今度は『センチメンタルトレイン』へ連結。淡い恋心を唄ったこの曲も、先ほどの流れを受け「鉄道愛」の歌に聞こえてくる。そしてここで三人目のゲスト、惣田紗莉渚を迎える。惣田としては久々の選抜入りを果たした今曲を大舞台で自分を慕う後輩と共に披露できたのは感慨深かっただろう。そして谷を再び迎えての『初恋の踏切』へ続く、青春と言う名の青い電車を迎え鉄道パートは終点に到着。

谷と惣田を交えてのMC。ある意味意外とも言える二人を選んだ理由について語る。普段裏で、落ち込んでいる時に真っ先に声をかけて慰めてくれる二人への感謝を込めての人選だったようだ。また末永と惣田は、須田亜香里に振り間違いを指摘される場所が全く一緒という妙なシンクロを経験していたという。「人としても先輩としても尊敬しています!」とべた褒めの末永の言葉に、ニンマリする二人。しかし去り際「じゃあ、バイバーイ」と雑な送りだしには思わずツッコミを入れるざるを得なかった。「でも、大好きです!」の一言でうやむやにしようとする辺り、信頼度の表れなのか、それとも……。


「私のこと、大好きって宣言してくださいね!」と、ファンへの愛を誓わせる『バンジー宣言』からは、末永からのファンへの想いを込めた楽曲が続く。中でも『永遠より続くように』、そしてこの日ゲスト参加したメンバー全員を呼び寄せての『Stand by you』における歌詞は、歌を通じての末永からのラブレターに映る。

この日、MC、曲間の煽りで幾度となく発せられた「私を見つけてくれてありがとう!」、「私を見ていてくださいね」という言葉。この大舞台へと連れて来てくれたファンへの感謝と共に、これからもファンと共に歩み続けるという気持ちが込められている。

本編最後を飾るは、末永が敬愛する元メンバー柴田阿弥がセンターを務めた『愛の意味を考えてみた』。「どんな時でも一人ではない」という言葉が、末永とファンの関係性に映った。この歌を送られ、彼女を応援しない人などいないだろう。

『君と虹と太陽と』で始まったアンコール、「私もみなさんへ沢山の愛を返せるようになりたい」との言葉の通り二階、一階のバルコニーを10分近く駆け回り、大量のサインボールを一つひとつ手渡しの完璧なおもてなし。続く『47の素敵な街へ』で発生したファンからのガチ恋口上での声援はこの日の末永が与えてくれた愛情への恩返しだ。

『アイシテラブル!』での「アイ・ラブ・ユー!」の大合唱で絆を再確認して、ラストは「素敵な想い出がこもった」という、『桜の花びらたち』。全力の「おーちゃん!」コールを全身に浴びつつ間奏パートで、これからも自分をアイドルにしてくれたファンへ恩を返し続けるとの想いを述べる末永、歌が入る寸前まで自分の気持ちを噛みしめるように述べる姿に、彼女の“アイドルであること”の矜持を感じ、大切な時間に幕を閉じた。この日掲げられた「奇跡の桜 朝に咲く」の横断幕の文字通り、冬に満開の桜が咲き誇った。


可愛さ、クールさ、マニアックな面、そしてファンへの感謝……これぞ末永桜花!という、彼女の魅力とらしさが見事にパッケージされた2時間。送りだしの挨拶で「ずっとおーちゃん推しですよね?」の一言。このライブを見て、首を横に振る者はいないだろう。それほどのライブを末永は見せたのだ。


取材・文:田口俊輔

©AKS / 2020 Zest,Inc.


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