”送る視線はレーザービーム” SKE48末永桜花、メンバーに希望を与える努力のひと

アイドル 公開日:2018/07/29 63
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選抜総選挙での見事な結果、最新シングル『いきなりパンチライン』のヒットと、10月の10周年記念日に向け、俄然勢いが増すSKE48。その中でも、総選挙で初戴冠にして45位という高順位を記録し、『いきなり~』で初選抜入りを果たすなど、破竹の勢いで駆け上がるチームE所属の末永桜花(すえなが・おうか/愛称:おーちゃん)について今稿では追いたい。

切れ長の大きな眼の奥に宿る強い意思を感じさせる瞳。キラキラとした笑みを常に携えて、物腰の柔らかく品性のある佇まいとトレードマークである腰まで伸びた黒髪のロングヘアーをなびかせる様は、何かと“色”がつきやすいSKE48において異質とでも称すべき、王道の輝きを放つ。

舞台上でもその王道ぶりを発揮。手足の先までスッと伸ばしたキレイな体捌きと、基本に忠実でありながら身体性の高さが光るパフォーマンスは所作一つひとつから華を感じさせる。また開演から舞台袖にはけるまで、常に場内を見据えては“レーザービーム”と称されるほどの熱視線を場内の一人ひとりに送る。彼女の瞳に焼き尽くされた人は後を絶たない。




同期の盟友・太田彩夏も「みんなから愛されていて、凄い頼りになれる存在」と述べるように活動への真摯な取り組み方は先輩、後輩関わらずメンバーも称賛。末永の心の師でありSKE48きっての努力家として名を刻んだ柴田阿弥ですら「マジメやなぁ」と絶賛したほどだ。その実直な姿勢の表れとも言うべき、丁寧かつ愛らしい握手対応は超選抜クラスの人気を誇る。

何より彼女の人気を不動のものとしたのは、公式ブログ初期から行う、SKE48にゆかりある土地を全国津々浦々訪ね、写真におさめるという「聖地巡礼」だ。羽豆岬といった定番から、バラエティ番組で一度しか訪れていないロケ地まで巡るというハードコアぶりは、熱心なオタクすら戦々恐々とさせた。しかも現在に至るまで継続中という生真面目ぶり。始めた理由も「SKE48のPRを自分からできたらいいなと思って」というもの。こうした姿勢も彼女がファンの心を掴んで離さない大きな要因となっている。

元メンバーの佐藤すみれは「アイドルとしてのポテンシャルはSKE48で一番高いと思う」と評したのは決して大げさではない。

末永のアイドル力の高さは、一朝一夕で成り立ったものではない。血の滲む思いの上に築かれたものだ。

1stシングル『強き者よ』よりSKE48ファンである末永は2015年に7期生として加入。しかし、「カワイイわけでも、ダンスや歌が上手いわけでもない」とインタビューで語るほど、この頃の末永には「自信」のカケラが、他のメンバーより足りていない印象があった。

待ちに待ったお披露目の日。末永のポジションは…最後列端。緊張と嬉しさの中に、悔しさも滲みながらのスタートを切った。その後も研究生公演の初日メンバーとして名を連ねるも二回に一回の割合での出演と、コンスタントな出演は適わず。出張公演や数々のイベント、『AKB48 SHOW!』(NHK)への出演など、研究生に用意された様々な機会でも、末永の名前を見つけることはなかった。弱音を吐くことはなかったものの、その心中は察するに余りある。

さらに彼女に大きな影を落とす出来事が起こる。『SKE48 観覧車へようこそ!!』を放送するCBCラジオ主催のイベント「CBCラジオ夏まつり」に、ほぼ毎年のように参加するSKE48は2015年度の出演メンバーとして研究生をチョイス。いよいよひのき舞台に立てると期待に胸をふくらませていた末永を待っていたのは、すでに夏祭りのための練習を終えたという同期の報告。末永(と、一色嶺奈、相川暖花、和田愛菜の4人)は一報もないまま、不参加が決定していたのだ。

自信以外、同期と比べ見劣りするものはなかった、からこその衝撃。その時を振り返り「悲しくて悔しくて、毎日が辛かった」と、ブログやオフィシャルモバイルサイト内の取材にて述べている。この躓きは13歳の少女の心を砕いた。だが末永はその躓きを、先へ進む一歩を踏みしめる力に変えた。

休日を返上し自主練習を重ねた。時間があれば日課となった「聖地巡礼」も行い、握手会は常に全力で来るファンをもてなした。

「不器用な私には運純根!」と、ある日のブログに自分の好きな言葉を「運鈍根」を交えて想いを綴る。成功のためには幸運と根気と、鈍いくらいの粘り強さの三つが必要だと。自分のやれることを必死に研ぎ澄ました末永。夢のために、「自分を支えてくれる」と、ことあるごとに感謝を述べる先輩、同期、ファンのために。

その「運鈍根」は徐々に結実していく。2016年1月9日、チームK2「ラムネの飲み方」公演にて初のアンダーデビューを飾る。満面の笑みと全力ダンスとレーザービーム…末永の魅力を余すことなく伝えたこの公演で、多くのSKE48ファンは末永桜花を“見つけた”のだ。

追い風が徐々に吹き始める。公演の度に彼女の注目はグッと増し、握手会人気は止まることを知らない。グッズも爆発的な売り上げを記録。聖地巡礼をはじめとしたSNS活動も活発に行い続けた。2016年が終わる頃には、末永待望論が熱心なファンの間で持ちあがるまでになった。それでも驕ることなく、着実な一歩を踏み続ける末永。慢心は一切ない。この頃の末永について大矢真那は「これから素敵なお花をたくさん咲かせていくんだろうな」と ブログに綴る。予言のごとく、末永の蕾は徐々にほころび始めていた。

その蕾は2017年半ば頃、さらに色づく。2年前に、悔しい想いをした「CBCラジオ夏まつり」に7期生唯一の参加を果し、積年の想いを晴らした。年末にはシングル『無意識の色』のC/W『触らぬロマンス』のセンターに選出。さらに年明け間もなくAKB48シングル『ジャーバージャ』のSKE48C/W『愛の喪明け』で初の選抜入りも果たした。

勢いを、本人が感じていたかはわからない。ただ、今年3月に行われた16歳の生誕祭にて、三つの夢―「握手会にたくさんの人が来てくれるように」「SKE48のシングル選抜入り」「総選挙にランクイン」―を掲げ、「去年よりもっともっと良い年にします!」と豪語。自信ありますか?の問いに逡巡することなく「あります!」と真っ直ぐな瞳を持って答えた。あれだけ自信がなかった末永が大見得を切ったのだ。いよいよ機は熟した。

見事、彼女はその夢を自らの手で手繰り寄せる。握手会は常に大入り、その勢いのままに『いきなり~』で初選抜入りを飾り、総選挙では念願のガラスの盾を得て、ナゴヤドームを桜色のサイリウム一色に染めた。

総選挙8位に輝いた大場美奈は壇上にて「努力すれば絶対に夢を叶えられる。諦めなければここまでこれる!」と力強く語った。まさにその言葉通り、努力の先に待つ結果の素晴らしさを末永は自身の歩みをもって示した。それでも総選挙翌日のブログに、まだ桜は満開ではないと綴った。大輪の花を結ぶために、末永は今もストイックに己を磨き続けている。

アイドル全員が順調な道を歩むわけではない。7期生も選抜経験者は片手で数えられるほど。その多くは葛藤の繰り返しだ。時に折れても良い。それでも腐らず、ただ前を向き続ける。そうすればいつかは花開く…末永の存在と歩み方は未来のSKE48に大きな希望を与えたはずだ。

文:田口俊輔