NMB48山田寿々 実力と努力がスパーク ”覚醒した大器”の超絶パフォーマンス

アイドル 公開日:2018/06/06 68
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日毎に輝きを増すアイドルを見るのが至福の時だ。「士別れて三日、即ち更に刮目して相待すべし」という故事があるように、現在の48グループは、各グループでメキメキと個を伸ばして頭角を表すメンバーが、ベテラン、中堅、新人と数多く現れている。成長を見守り楽しいアイドルの一人として、今稿ではNMB48チームMの山田寿々(やまだ・すず/愛称:すず)について記していきたい。

2016年6月、5期生にNMB48の1期生にしてレジェンド、山田菜々の実妹が加入するというニュースは衝撃と共に大きな期待を呼んだ。その期待通り、NMB48の姉譲りの歌唱力の高さはすでに抜きんでており、加え未経験ながらも安定感のあるダンスは魅せ方の上手さも相まって、まさに評判通りの実力を誇っていた。“山田菜々の妹”というネームバリューと立ち位置、期待値の高いパフォーマンス、加入当初から「NMB48のセンターになる」という強い意志を持ち、“逸材”との呼び声高い山本彩加と共にこれからのNMB48を背負って立つべきと存在だとの声が、一部では早くも上がっていた。




早くもその流れは形となり、5期生のお披露目の際にはセンターを務め、そのわずか5日後に開催された渡辺美優紀卒業コンサートでは、5期生から唯一『なめくじハート』のユニットに選ばれるなどの活躍ぶり。

この勢いのまま一人抜きんでた形で突き進むと思われた最中、お互いにライバルと目していた山本が、NMB48史上4番目に早いスピードで5期生唯一の昇格を果し、さらに『僕以外の誰か』で初の選抜を飾り、アイドルファンの目は一気に山本へと期待の目を注ぎはじめた。

同時に山田の立ち位置にも変化が訪れる、同期の成長による環境の変化だ。姉である上西恵譲りのグラビア素養を持った上西怜が昨年中頃から大躍進。当初から人気の高かった二人に加え、ニコニコ笑顔と純朴さで癒しを与え、握手対応で急上昇の岩田桃夏。抜群のルックスを誇りパフォーマンス劣等生から驚異の成長を果たした梅山恋和。努力家のツインタワー・小嶋花梨と清水里香、独特の感性を爆発させる水田詩織、幼さの中に生真面目さが光る優等生の中川美音に若くしてキャプテン級の落ち着きを見せる安藤愛璃菜と、メンバーたちが徐々に個を磨き突き上げはじめる。絶対的であった5期生のセンターポジションは、日が経つにつれ目まぐるしく変化。山田の立ち位置も確実ではなくなっていった。誰よりも真っ先に昇格するだろうと目されていた山田は足踏みを強いられることに。

元より粒ぞろいの5期生、誰がスポットを浴びてもおかしくなかった。山田は努力を怠ったなどの瑕疵があったわけでも、歩みが遅いわけでもない。ただ各メンバーの著しいまでの成長スピードは、それをも上回っていたのだ。

同時に握手会でも何もしない時間が多くなるなど芳しくない日が続いた。さらには、いつまでも付きまとう姉との対比、デビュー当初からの期待に対するプレッシャー、優等生であろうとする姿勢が重荷となっただろう。外野からの心無い声も飛ぶこともあり、天真爛漫な笑顔に、翳りが見えるようになっていった。

2017年は悔しさが先行した一年となった。そのことを誰よりも自覚していたのは本人だ。昨年12月に開催された生誕祭にて「特に何を頑張りましたかって聞かれても頑張った事、本気で何かを頑張ることはなくて。凄く無駄にした1年だったなとも思います。(中略)本当に自分が情けない」と、忸怩たる思いを吐露した。なぜ自分がセンターから外れたのか?と姉に問うたところ「自分がサボってたからやで」と手厳しい一言が飛んできたことが何よりの証拠だ。

ただ、彼女は内に燃える炎を絶やすことはなかった。締めの言葉で「山田家の最終兵器はこんなもんだないんじゃぞ」と壮絶に噛みながらも、自身を奮い立たせ、NMB48にさらに必要な人間になると宣言。

その強い言葉は決して大言ではなかった。この半年での山田の成長ぶりには目を見張るものがある。

元々良かった公演のパフォーマンスは、曲ごとに動きや表情を変化させる豊富な表現力がさらに増加。曲アイドル性の高い『フィンランド・ミラクル』では、満面の笑みを咲かせながら持ち前のハイトーン気味の声で甘く歌えば、『残念少女』のようなシリアスな楽曲では、落ち着いたトーンと艶のある声でシットリと聴かせる。すでに歌唱メンバーとしてはNMB48屈指の実力にあるのはもちろん、一聴しただけで山田だとわかるほどの歌声はグループにとって大きな武器となった。「上手いだけじゃない、人を惹きつける魅力がある」と市川美織が太鼓判を押したのも頷ける。

感情に素直ゆえに、喜怒哀楽の怒と哀が際立つことも多々あったが、今ではグッと抑える冷静さが見られるようになるなど、明らかにメンタル面でも成長。イジラレ役も嬉々として(?)こなすまでに。天然ボケの姉と違って自分は頭が良いです!と豪語するも、劇場公演にて「包容力」を「小籠包」と勘違いし吉田朱里にツッコまれ、大舞台では「貢献」を「けんこう」と呼び山本彩を困惑させるなど、超ド級のポンコツぶりの加速も彼女の魅力を後押ししている。

苦手であったSNSも今では毎日のように更新。徐々に握手会も部数を伸ばし、情報バラエティ『土曜はダメよ!』(YTV)の新レギュラーに渋谷凪咲と共に選ばれるなど、着実に自分の活躍の場を広げ続けている。

トピックとしては先月に開催された矢倉楓子卒業コンサートだろう。吉田、“ポスト山田菜々”植村梓を従えて、過去に姉がセンターを張った『心の端のソファー』にて姉と同じポジションに立ったのだ。大舞台で彼女は、姉の面影を感じさせながらも、芯の通った歌声で山田寿々“だからこそ”の楽曲へと昇華させた。「すずちゃんが真中!」と推薦した矢倉の慧眼はモチロン、その期待にシッカリと応えた山田の力量は見事としか言いようがない。常に山田の支えになった卒業生、木下百花の「すずちゃんなら大丈夫」という心強い言葉が彼女の背中を押したのだろう。

最近ではドラフト3期生と積極的な交流を図り、わからない点があれば指導するなど、シッカリと先輩としての背中を見せていると、ドラフト3期生はブログに綴る。未だに川上礼奈、植村、太田夢莉……と先輩たちに加え同期にも甘える末っ子ぶりは抜けてないが、徐々に頼れる先輩としても成長を遂げているようだ。

「本当に頑張り屋さん。ずっと練習している姿を見てるから、もっと報われて欲しい」という大段舞依の言葉の通り。その努力は実を結ぼうとしている

「運はいつだって巡り巡るもの。さあ機は熟した」と歌う、山本、上西、梅山、岩田と共に選抜された『Good Timing』の歌詞通り、一度沈んだ彼女は自らの手でタイミングを手繰り寄せ、もう一度浮かび上がろうとしている。まさに“陽の目、見る時が来た”。

過去ブログにて「お姉ちゃんが大事にしたNMB48を、私が受け継いで大事にしていきたいな」と綴った山田。6期生オーディションも始まり、次代へと向かうNMB48の中心に立つ日は刻一刻と迫っている。

文:田口俊輔

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