SKE48”ガムシャラの美学”を体現する片岡成美が輝くとき

アイドル 公開日:2018/02/28 67
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結成10周年目のメモリアルイヤーを迎え、今までにないほど活動の幅を増やし続けるSKE48。ベテラン、中堅、若手と、数多くのメンバーの活躍目覚ましい今、今稿では急成長を遂げ続ける7期生メンバーの中で、劇場でとてつもない存在感を発揮し続けているチームKⅡの片岡成美(かたおか・なるみ/愛称:なるぴー)について、記したいと思う。

144センチ(公式ではこうあるが、先日147センチになったそう)という小柄な身体、14歳ながらどこか落ち着いた佇まい、大人びたクールなルックスの持ち主。MCでは毒気満載の言葉を乱射。同期はモチロン、先輩にもサラリと鋭い一言を刺す。特にイジられ体質の内山命、惣田紗莉渚は格好の的に。

何より彼女の、最大の魅力と言えば、泥臭さ、ガムシャラというSKE48の美学を体現する姿にある。「小さい分だけ動きは大きく」というキャッチの通り、激しさとダイナミズムの両方を高いレベルで持ち合わせている。白井琴望は「大きな惹きつけるパフォーマンス」と絶賛。ただ、それだけではない『Bye Bye Bye』のようなアイドル性の高い曲では愛らしさを全開させるなど、と幅広い一面も披露。隙あらばファンへのレスポンスも送ると、あらゆる方法で魅せる。





初期の片岡はステージ巧者とは言い難かった。加入前まで「運動は全くダメ」と彼女の母が語ったように、周りに着いていくのに精一杯だったように映った。しかし、加入から半年も経たずにメキメキと上達、一昨年の半ば頃からはパフォーマンスに一家言持つファンを唸らせるようなダンスを披露していた。彼女の成長の源となったのは、公演への出演であった……あまりにも普通のように記したが、片岡のそれは普通ではない。驚異的な出演数を誇るのだ。

現在地元名古屋を軸に多くのメディア出演をこなすメンバーたち。となれば、劇場に出演適わないこともしばしば。そんな時、不足を埋める存在が「アンダー」と呼ばれる他チームからの補填メンバーだ。基本は研究生が務めることが常とされるアンダー制度、片岡は一時、一週間のうち劇場休館日を除き毎日公演に出演するという無尽蔵ぶりを発揮。

例えどれだけ忙しく準備のための時間が短かろうと、寝る間を惜しみながら、いつ呼ばれもいいように各チームの全体曲はもちろん複数のポジションを染みこませ、自身を高め続けている。休みの日にも劇場で先輩たちの公演を見学するほどの熱心ぶり。朝に連絡をもらい、その日の昼には今まで立ったことがない新ポジションを完璧にこなしたという逸話も残されている。昨年に至っては、あまりの稼働率に“全チーム兼任メンバー”の声があがったほど。その姿に荒井優希は“救世主”と素晴らしい呼び名を送った。

激務ゆえに心配の声がファンから飛んだが、当の本人は出られない方が心配だという。その理由は至ってシンプル「活動が楽しいから」の一つだ。片岡のブログ、SNSなどの発信を読めば一目瞭然だが、劇場に立つことの喜びを常に噛みしめている。それは小学4年の頃SKE48「ラムネの飲み方」公演を観に行き、いつか自分もSKE48のメンバーとして、自分が味わった感動を他の人にも与えたいと強く願ったことに端を発しているからだ。片岡が目標としていたメンバーは、卒業生の阿比留李帆。彼女もまた劇場の鉄人と呼ばれたメンバーだった……。

しかし、その努力は決して報われてきたとは言えない。実に、昇格までに2年半という長きに渡る時間を費やしたのだ。次へのステップを踏む同期の後ろ姿を眺め続けてきた片岡。しかし決して涙を流すことはなかった。むしろ、彼女は昇格したメンバーたちへ素晴らしい言葉でエールを送りつつも、「研究生の方がよかったと思われてしまうくらい“最強研究生”になります」とブログにて啖呵を切った。この意思、並大抵のことではない。彼女のあくなき劇場に懸ける想いと姿勢には、2015年度最多劇場出演数を誇る井田玲音名、同じ成美の名前を持つ公演の鉄人・市野成美らも称賛の声を挙げた。

そして、片岡の躍進を誰よりも心待ちにしていたメンバーがいた、チームKⅡの竹内彩姫だ。片岡のスクランブル出演に際し「一緒に正規メンバーとしてステージに立とうね」という賛辞を送った竹内もまた、加入から長年昇格叶わず辛い想いをしながら公演で自らを研ぎ澄まし続けた人だ。片岡の努力とその姿に自らの過去を重ねたのかもしれない。そして、念願叶い片岡は昨年10月にKⅡへと昇格。片岡のKⅡ公演初日後、竹内はブログに「同じチームメイトとして活動するっていう夢が叶ってとても幸せでした」と綴った。余談だが、昇格後の最初の公演が他チームへのスクランブル出演だったのは実に片岡らしい。

毎年末に開催される「忘れられない大忘年会」にて2017年度のトップ出演回数だったと発表された片岡。その数なんと159回!果ては48グループNo.1の出演回数だったことも明らかに。昨年、小畑優奈がSKE48の主役となったならば、もう一人の主役は片岡で間違いない。それほど偉大な記録を打ち立てたのだ。

昇格後は以前のように狂気的な数をこなすことはなくなったが、それでも今なお突然の要請あらば駆けつける姿勢は変わらない。以前「頼られる人になりたい」とブログに綴ったことがある片岡、間違いなく今SKE48の魂である劇場にて最も頼りになるメンバーへと成長を遂げた。今年初のKⅡ公演では書初めを披露。片岡は「劇場を守る」と堂々と書いた書を披露、小さな鉄人は今守護神へと進化を遂げようとしているようだ。

いつか彼女の劇場にかける熱き想いが、素晴らしい形で昇華してほしいと強く思う。『ジャーバージャ』にて初選抜を飾った東の鉄人・AKB48村山彩希が自ら歩んだ道が正しかったことを証明したように。「あなたも、あなたも、なるぴーがハッピーにさせちゃいます」のキャッチの通り、彼女は観る人を幸せな気持ちにさせ続けている。願わくはより多くの人が彼女の姿に触れ、そして片岡自身もその幸せを噛みしめ続けてほしいと強く思う。

と、ここまでストイックな面を取り上げてきたが、素の彼女は自身が認めるように人見知りではにかみ屋。バラエティ「SKE48むすびのイチバン!」(東海テレビ)に出演した際に平成ノブシコブシ・吉村崇からのイジリに対し緊張からか無言の返答。吉村は思わず「俺のことキライか!?」と慌てツッコミを入れたほどだ。同期の盟友、浅井裕華と相川暖花と一緒にいる時のハシャギぶり、8期生の坂本真凜と野々垣美希と共にお茶漬けを食べるのにハマっているなど、掘れば掘るほど出てくるホンワカエピソードの数々。鉄人もまだまだ十代半ば、あどけない年相応の少女なのだ。

文:田口俊輔
写真:ⓒAKS