ムロツヨシ 俳優人生25周年の“現在地”と“これまで”、役者としてためになる知識も明かす

アニメ・声優 公開日:2021/04/13 19
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――ナレーションということで、事前に何か準備はされたんですか?


「職業は役者なんですが、NHKさんでは意外とナレーションをする機会をいただくことが多くて。うまいナレーションではないんですけど“ムロさんのナレーションっていいですね”ってNHKの方に言っていただけたので、多少なりとも自信と経験値を持って現場に臨んだわけです。事前に今作の動画もいただいて、そこにあてる練習もして。でも、現場に着いて早々、監督、スタッフさんからは“上手くやらないで欲しい”と言われました。つまり、僕の準備はすべて空振りに終わったんです。なぜかというと、台本には“なんちゃってナレーション”と書いてありまして。この“なんちゃって感”をムロさんには出してほしいと言われたんです。しかも“なんちゃって風”じゃダメで。最初、“なんちゃって風”でテストしたんですが、やっぱりそうじゃないと。そこから準備したものを捨て、どんどん削ぎ落とされていった感じですね(笑)。また、多少のおふざけも入れてほしいと言われました」




――「おふざけ」というと、アドリブですか?


「アドリブというよりは、言い方のイントネーションが変になってもいいので、遊んでいただきたいと監督がおっしゃられて」


――とてもハードルが高くなったような気がしますが…。


「そうですね(笑)。4話目ぐらいから、もう引き出しがなくなりました(笑)。よく考えたら、すごく難しいことを要求されてるなってことに途中から気づいたんです。いろいろと試行錯誤しながら、“なんちゃって風”にならないよう頑張りました。もう福田雄一さん以来ですよ、ト書きに“面白い言い方で”なんて書いてある台本は(笑)。プレッシャーにはなりますけど、“こういう書き方はやめてくれ”なんて言う人間にはなりたくないですし、期待にも応えたくて。この作品を見た子どもたちにも面白いと思われたかったので、アフレコはまさに闘いの場となりました(笑)」


――これまでも声優のお仕事をされていますが、もっと声優の仕事をやりたいと思ったことは?


「僕は職業として役者でご飯を食べられるまで、17~8年かかった人間でございます。最初は“本当の自分はこんな感じです”“こんな男なんです”ってことを伝えず、役者だけをやることが最大の理想形でした。でも、しばらくして、僕にそれは無理だと気づいたんです。多少なりとも僕の人間性をみなさんにお届けしたほうが、いい意味で親しみを持っていただき、“この人はどんな人なんだろう?”“どんな芝居をするんだろう?”と興味を持っていただけるようになって。だから20代後半からはテレビ番組に出させていただいたり、舞台を作る側だったりと演出なども手掛けるようになりました。逆に言うと、お芝居だけでみなさんに興味を持っていただけるほど、役者としての才能が足りてなかったんでしょう。その中で声優の仕事もやりたいと思ったことはありますが、声優に関してはやればやるほど難しさを痛感させられて。声優を目指し、学校を卒業された方たちと同じ力で僕はまだ提供することはできません。演劇をやってきた経験値の中から、アニメのアフレコで自分にやれることを探している状態です」


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