SKE48を愛で支え続けた、大矢真那を振り返る
9月24日、AKB48グループにとって大きなイベントが、愛知県名古屋市の日本ガイシホールにて開催される。 一つ目は「じゃんけん大会」。昨年まで個人戦で行われていたお祭り行事は、今年ユニット制を導入。メンバー同士の絆や新たな繋がりを感じさせるユニットが大挙。ここから新たなドラマと未来が生まれる、そんな予感を漂わせている。 そしてもう一つ、SKE48チームS大矢真那(おおや・まさな)の卒業コンサート「みんなみんなありがとう!」が開催される。 切れ長の目、スッと通った鼻筋、シャープな輪郭が涼やかな印象を与える和風美少女…大矢がSKE48の門戸を叩いたのは17歳の頃。それからSKE48一筋9年、一期生としてSKE48の立ち上げから今に至るまでグループを支えてきた彼女も、ついに花道を飾る時が来たのだ。寂しさが募るが、ここはあえて笑顔を交えて、大矢真那を改めて振り返っていきたい。 汗を感じさせる力強いガムシャラなステージが持ち味のSKE48内において、大矢は新体操経験者らしく一人しなやかな動きで魅了してきた。決して端のポジションであろうと手は抜かない。常に全力、常に笑顔を絶やさない。そのパフォーマンスと姿勢から滲む品の良さは、性格からも伺える。下ネタは大の苦手、天然な性格ゆえにメンバーからおちょくられることもしばしば。しかし自らは悪口を決して言わない(天然故に無自覚な毒がチラホラと出現するが…)。口を開けばホンワカムードを漂わす。学業との両立も見事成功させ、今にいたるまでスキャンダルもゼロ。生真面目を絵に書いたような活動の展開、誰が呼んだか「SKE48の良心」。 彼女の真面目さを物語るエピソードが一つ。過去に4月1日のエイプリルフールということで、木下有希子(現:木下ミシェル)からウソをつかれた際には見事だまされた挙句、「なんで4月1日にウソつかなあかんのだ!」と一喝したことがあるほど。冗談が通じないほどの生真面目さ。こうした真っ直ぐさが大矢本人としては一時期、重荷に感じていたという。 だが、ドが付くほどの直球な心根だからこそ、大矢の言葉は胸を打つ…特に素が垣間見えるブログにおいて。素晴らしい表現を用い長文にしたためるのは、衒いのない自分の気持ち、大好きなSKE48とメンバーへの愛、そして応援するファンへの真摯なまでの感謝。しかも毎日のように、その想いを長文にしたためる。ブログを1日更新できなかっただけで、ファンが心配の声でどよめく。そんなアイドル、普通はいない。「365日SKE48の大矢真那としてありがとうが言える、活動を通してありがとうを伝えられるようにこれからも日々精進していきます」という精神を持って活動している大矢、だからこそ感謝を忘れたことは一度たりともない。だからこそ、彼女のファンはグループ一とも言える熱烈な応援を繰り広げた。 「ラーメンはデザート」と語るほどの大食漢である上、食のことになると「たが」は簡単に外れてしまい暴走することもしばしば。「愛でる」という言葉を越え、クレイジーの域にまで達する、幼少メンバーへの愛情表現っぷり=KD(キッズ大好き)は、ファンはおろかメンバーする畏怖の念を抱かせた。 アート思考の画伯ぷりも素晴らしく、数々の傑作を残した。オリジナリティ溢れ、かつ深い味わいを残すイラストが堂々とデザインされた生誕Tシャツは、熱心なファンをして「踏み絵」と呼ばせるほど強烈(小嶋陽菜いわく「やばい…」)。自他共に認める世間知らずでもあり、「Google+」通称:ぐぐたすの「た」はどこからきたの?なんていう疑問を浮かべる…など、深堀するほど泉の如く湧き出るエピソード。 本人は「なんの魅力があるんだろう?と、今でも思っています」と昨年の生誕祭で語ったことがあるが、優しく真面目で楽しく一途、融通が利かずちょっと(大分?)変わった性格。まさに唯一無二の存在であった。 一度もブレることなくアイドルを全うしてきた大矢の姿にファンは一度たりとも不安を感じたことはなかっただろう…いや、一度だけあった。昨年4月に負った腰のケガだ。ケガ以降も、相変わらずしなやかなダンスを見せてはいたものの、痛みからか時には完全に動きが止まることすらあった。あの品格ある動きに影が射しこみ始めた、腰に巻かれたガチガチのテーピング姿には痛々しさを感じずにはいられなかった。筆者ですらそう思ったのだ、長年彼女を知るファンにしたら、胸がつぶれるような想いであったはず。それでも、一切腰のせいと言い訳もせず、懸命に踊りいつもどおりクシャクシャの笑顔を見せる大矢の姿を見たら、一層の声援を届ける以外、他はなかった。最後まで大矢は大矢らしく、自分の信じた真っ直ぐなアイドルを貫き通した。 「立候補をしない選択は卒業を決めたときだけ」と過去、ブログに綴ったこともあるように、昨年の総選挙辞退は「卒業を意識したからこそ」だ。だから、今年の総選挙出馬は彼女なりの、ファンへの恩返しだったのだろう。結果は見事22位。目標としていた16位には届かなかったが、最高の置き土産となった。発表の際、松井珠理奈と共に抱きしめ合い喜びを分かち合う姿は何よりも美しい光景であった。 時置かずして、後進に向けての言葉が一層増してきたのは、自らの与えられた最後の役目として、大好きなSKE48の未来を託したいという考えがあってのことだろう。 青春を捧げてきたSKE48としての時間の針は止まろうとしている。同時に、大矢の新たな未来への時計の針は今動き出そうとしている。9月24日のガイシホール、いずれ来る最後のステージで大矢はどんな先をみせてくれるのだろうか? 今わかっていることは一つ、大矢はその日まで笑顔で突っ走ってくれること、それだけだ。 「私は私の未来を疑わない」。過去のブログからの引用になるが、そう綴った大矢のこれからには美しき道がまっていることだろう。真実一路の彼女がそう言うのだから。(田口俊輔) 写真(C)AKS