キタサンブラックの敗因と今後の展望「宝塚記念」
先の宝塚記念の結果は既にご存知だろう。単勝1.4倍の圧倒的支持を受けたキタサンブラックがよもやの敗戦を喫し、3番人気サトノクラウンがM.デムーロの見事な騎乗による激走で国内のタイトルを初制覇。2着ゴールドアクター、3着にミッキークイーンと、キタサンブラック以外のGⅠ馬による上位独占の単純な力勝負という結果になった。これで3連単が7万円台という配当なのだから馬券的には非常に美味しかったのではないだろうか。それもこれも、絶対的王者と目されていたキタサンブラックの不甲斐ない競馬が招いた産物だ。 では、何故その同馬が負けたのか??GⅠを目下2連勝中で、過去の成績を見ても3歳の日本ダービー以外は全て3着以内というほぼ完璧な成績であり普通に考えれば馬券圏内は間違いないと思われていた。が、着順は9着。しかも11頭立てと各馬真っ向からぶつかる正々堂々の戦いだったのだ。 1つ要因として挙げるのならば、前述した様に向こう正面でのサトノクラウンの押し上げによって道中のペースアップに付き合わされた事か。あそこで脚を無駄に使わされた挙句、力の要る馬場にも脚を取られた影響で最後の直線の失速に繋がったという見方が各サイトでも主に取り上げられている。勿論、デムーロ騎手のあの局面での動きは素晴らしく、サトノクラウンの末脚にも大きく関係した筈。しかし、キタサンブラックがあの程度の流れの変化でこうも大敗するという事とは別問題の様に思えるのである。 ともすると、やはり浮かび上がって来るのは天皇賞春の驚異的なレコードタイムで駆け抜けた疲れから来るパフォーマンスの低下以外に考えられない。そもそもが天皇賞春から宝塚記念の連勝自体、あのディープインパクト以来10年以上達成されていないという負のローテーションに加え、春の古馬3冠がかかった大一番だ。陣営にも見えないプレッシャーがあった筈。中間に坂路を3本こなすなどのハードトレーニングを消化して来たにも関わらず、当日の馬体重は過去最高の+6kgでの出走だったのだ。これは、“あれだけの調教をして来たのに体重が増えているのは順調な証拠”と捉える人もいるだろうが、普通の感覚だと調整不足という考えの方が正しい。事実、パドックでの様子はいつもの素人目でも分かる様な大物の覇気みたいな凄みが一切出ていなかった。返し馬でも武豊騎手が持って行かれるくらいの前向きな走りは見られず、レース前から妙な違和感を抱いたファンの人達も少なからずいたのではないだろうか。 やはりGⅠを3連勝というのは並大抵の馬ではなし得ない偉大な記録の様である。過去に古馬3冠を達成したのはテイエムオペラオーとゼンノロブロイの2頭のみ。今回の結果を受けて、キタサンブラックのオーナーである北島三郎氏は当初予定していた凱旋門賞を断念すると記者陣に発表。その中で、秋の目標はまだ獲得していない天皇賞秋という発言もあったとしている。幸い、レース後も馬体などに異常は見られず夏場は休養に充てまた元気な姿でターフに戻って来るだろう。仮にその天皇賞秋を制覇する様な事があれば、またジャパンカップから有馬記念という秋の古馬3冠ロードを突き進む事になるだろう。その時は、清水久詞調教師に春の失敗を活かし、見事なチームプレーで今回のリベンジを果たして欲しいものである。成功した暁には、歴代獲得賞金ランキングもあのテイエムオペラオーを抜いて1位に躍り出ると共に史上初の20億円ホースが誕生する算段だ。その時は改めて同馬の偉大なる功績を心から祝福したいと思う。 先ずは、この休暇を無事に過ごして頂きたい。