総選挙でも活躍「なこみく」の魅力に迫る
未来を担うメンバーたちの躍進が進むAKB48グループ。中でもHKT48の矢吹奈子、田中美久…「なこみく」が成長著しい。デビュー以来、大々的にフィーチャーされてきた二人。しかし、それは裏返せばプレッシャーに苛まれる日々であったと言える。事実、昨年の総選挙でのスピーチは共にこれまでかかる期待とは裏腹に、結果がついてこず苦難の日々を過ごしていたと吐露。NMB48市川美織が生放送で総選挙裏話、丸秘プレゼントも! だが今回の総選挙でも矢吹が37位、田中が28位と揃ってランクインを果たし、勢いはさらに加速の予感。昨年夏にファッション誌「LOVE Berry」のモデルに選ばれ、昨年末の紅白歌合戦「夢の紅白選抜」にも選出されるなど、その人気はフロックではないことを証明している。 今年に入っても勢いは止まらず、AKB48の新作『願いごとの持ち腐れ』のカップリングにも揃って抜擢(矢吹は『イマパラ』、田中は『前触れ』)。さらには田中が熊本県芦北町の親善大使、町にある芦北高校の新制服のモデルを務めることになれば、矢吹は5月より放送開始の番組「この指と〜まれ!」のサブMCに選出されるなど、個人活動の幅も広げ始めている。 そんな、かかる期待を知ってか知らずか、矢吹、田中、共にすくすくと、着実な一歩を踏みしめている。 ニコニコと常に笑顔を絶やさない矢吹はデビュー当初から変わらぬ「無邪気」そのもの。特に、SHOWROOM配信は天真爛漫極まりない彼女が顕著に表れている。しかし、その中で大きな変化も見せている。ステージ上での立ち振る舞いだ。今春2月~4月にかけて開催した関東ツアー「本気のアイドルを見せてやる」は、兒玉遥が療養のために最終日まで列を離れるという事態に。支柱を欠いてのスタートは、メンバーたちにとって不安なことだっただろう。しかし、その中で矢吹はフロントメンバーの一角に立ち、暗雲を吹き飛ばすようなパフォーマンスを各地で披露し続けてきた(『バグっていいじゃん』では兒玉のポジションに入ることも)。中でも白眉はさいたまスーパーアリーナでの単独公演。昼には多田愛佳のラストコンサート、夜はセットリストを大幅に変更の計6時間の長丁場、さらには全曲生歌での披露に加えお馴染のド派手な演出は殆ど無し。メンバーが身一つで作り上げるライブとなった。その中で矢吹は『大人列車』『今、Happy』のセンターを務め、『夢でKiss me!』をソロで披露と大車輪の活躍。大らかで元気いっぱいのダンスはもちろん、クセも荒さもない澄みきったトーン、なのに「矢吹奈子の声」だと一聴してわかるほどの歌声を響か大観衆を沸かせ続けた。その姿は「頼もしい」の一言。かねてより「HKT48で一番努力しているのは奈子」と指原が語っているように、ステージにかける想いはストイック。それは自身も大のアイドル好きだからこそ楽しんでもらいたい!という気持ちの表れによるものだろう。その想いを見事形にした今春ツアー。矢吹にとっての「本気のアイドル」像を見た気がした。ただ、やはりMCになると、未だにあどけなさ残るやりとりを見せる。舞台での凄味と素の緩急がまた、矢吹の魅力なのだと実感。 ここしばらく「大人みくりん」という呼称を強調するようになった田中。Google+や、年初に「週刊アクション」にて披露したグラビアでは、それまでになかった儚げな印象を与えてえる。田中は成長というものを素直に受け入れ、それまでの「幼さ」というイメージから、変ろうと意識を強めているのだろう。 その成長への想いや、魅せ方へのこだわりは表現力へと繋がる。つい先日の劇場公演ではバラード曲『夜風の仕業』を久々に披露。昨年9月の自身の生誕祭で披露した際には、まだ「背伸び感」溢れたステージングだったが、劇場公演にて半年ぶりに披露した際には憂いを帯びた表情とシットリとした歌唱で、見事楽曲に寄り添った淑やかな世界観を生み出していた。SSAにて指原、矢吹と共に披露した『ジッパー』も、ニッコリとした表情の矢吹の隣で、田中は小悪魔的表情を浮かべていたのも非常に印象深い。曲の意図やイメージを掴むのが元より上手かった田中に女優性の高さを垣間見た気がした。 また田中はエモーショナルな一面を隠さないようになってきたようだ。元より自分を「負けず嫌い」だと称する田中は、喜怒哀楽をSNSなど公の場でシッカリと発信するようになった。それまで己の気持ちをストレートに伝えられず悶々としていたと、昨年の生誕祭で語ったことがウソのよう。自身の置かれた立場に満足することなく、向上心や悔しさを素直に記せるようになったのも成長の証だろう。3月27日、今年の選挙に対しての想いを綴った投稿は、「“火の国の女”らしさが出てきている」とスタッフが称したのも納得の、田中の芯の強さが顕著に現れた素晴らしい内容だ。 近頃は、地元熊本でライブを実施したい!とスタッフに進言するなど、積極性も出てきたようだ。グイグイと突き進む田中の姿を、これから多く目の当たりにしていくことになりそう。 愛らしいHKT48のマスコットから、HKT48の未来を託すべき存在へと歩みを進み続ける矢吹と田中。「二人でひとつ」という見方をされがちだった過去から、それぞれが自らの個を高めて各々で成長を遂げている。別のベクトルを持った、最大のライバル、そして最良の友。そんな「なこみく」の切磋琢磨ぶりが、HKT48、ひいては48グループの未来へと繋がっているはずだ。(田口俊輔) ※写真(C)AKS