アンジュルムが「日本一美しい空間」で見せた進化
ハロー!プロジェクトの9人組アイドルグループ・アンジュルムが、5月15日(月)に全国ツアー「コンサートツアー2017春~変わるもの 変わらないもの~」のファイナル公演を日本武道館にて開催した。 4月9日の埼玉公演を皮切りに計5公演を開催。春先より体調不良で休業中の相川茉穂を欠く、という大事に見舞われているアンジュルム。8人での全国ツアーはメンバーにとっても不安だったはずだ。それでも各メンバーはブログにて、相川と共に「魂は9人」で駆け抜けてきたと口々に語る。不安は一切ない。それどころか、ブログにて和田彩花は「自信しかない」と昨年の武道館公演と同じ決意の言葉を綴り、竹内朱莉にいたっては「ハードルぐんぐん上げて待っててくれていいですよ。それより上に行きますから」と、さらなる強気な発言。それほどまでに、心身共に仕上がっているという表れだろう。 この日、オープニングアクトとして、つばきファクトリーが登場。ここで1曲、『初恋サンライズ』を披露。サビでは場内中が手を上げ大ジャンプ。十分すぎるほどに空気を温めたつばきは、先輩たちへのステージに最高の形でバトンを渡した。 ステージには巨大な紗幕がかかる。そこに投影される「S」と「A」……スマイレージとアンジュルムの二つのイニシャル。その二つが合わさり、幕が落とされると暗闇から8人が登場。オープニングナンバーは今春ツアーで初披露され、ツアーのメインテーマとも言えるライブ用「のみ」披露楽曲『I 無双 Strong!』。スタジアムロック級の豪奢でハードなサウンドと地面が震えるほどの低音、その響きに負けない歌声を轟かせて、勢いに火を点ける。 『愛のため今日まで進化してきた人間 愛のためすべて退化してきた人間』をクールに披露すると、次に披露されたのは、6月21日発売の新曲『愛さえあればなんにもいらない』。もちろんこの日が初披露。イイジマケン×炭竃智弘という『汗かいてカルナバル』コンビによる楽曲は、EDM調のAメロで始まり複雑極まりないフォーメーションダンスを繰り出す。そこからBメロに入るとまさかの3連符…ワルツへと転調。ダンスも先ほどとはうってかわり、ジュテなどバレエを取り入れた華麗なコンテンポラリーダンスへ変貌。そしてサビでは再び激しさを取り戻すなど、二転三転転がる複雑怪奇なアレンジ。アンジュルムには『新・日本のすすめ!』という転調に次ぐ転調を繰り返す楽曲があるが、それをさらに上回る、もはやジャンル分けが不可能な楽曲がここに誕生した。 続くは室田瑞希の華麗なソロダンスが輝く『涙は蝶に変わる』。曲終わり、室田のドヤ顔が大スクリーンに映し出されると場内から大歓声が巻き起こった。激しいステージングが終わると同時に、なぜか学校のチャイムが響き渡る。すると早着替えで、制服調の衣装で登場。ここからは『ぁまのじゃく』『○○がんばらなくてもええねんで!!』と先ほどの熱さからうって変わり、可愛らしいさを全開にした楽曲を披露していく。そして、7曲目にはこの日2曲目の新曲となる、「愛踊祭2017~あいどるまつり~国民的アニメソングカバーコンテスト」の課題曲『魔女っ子メグちゃん』を披露。『メグちゃん』は笠原桃奈を大々的にフィーチャー、楽曲が持つ小悪魔感と、笠原のコケティッシュな愛らしさがみごとにマッチ。約40年前の楽曲を鮮烈な形で甦らせた。MCが終わると『恋ならとっくに始まってる』から『糸島Distance』『乙女の逆襲』『忘れてあげる』と切ない世界観の楽曲を立て続けに披露。このブロックでは勝田の持つアンニュイさが非常に輝いていた。19世紀のヨーロッパを彷彿とさせるゴシック世界に迷い込んだメンバーのショートムービーを挟むと今度は『ミステリーナイト!』『さよなら さよなら さよなら』『嗚呼 すすきの』とクールでセクシーな楽曲が続く。この流れから「武道館行くよ!」の一言で『同じ時給で働く友達の美人ママ』『有頂天LOVE』と懐かしのナンバーが続いた。 『大器晩成』で始まったラストスパート。『次々続々』、エモーショナルな『ドンデンガエシ』、ハロプロ史上最速のナンバーとも言える『出過ぎた杭は打たれない』というアンジュルムの中でも一番コアで攻撃性溢れる楽曲で、最高超の盛り上がりを生み出し、本編は終了した。 大歓声の「アンジュルム!」コールが響きわたると、純白のドレスに身を包んだ8人が再び壇上に現れ『私の心』を披露。ラスト、ここまで駆け抜けた気持ちを各々語り始める。 笠原は「まだ夢みたいな気持ちです。ここまで来るのに、たくさんのスタッフさんに迷惑をかけることがありました。その度にメンバーに助けられて、そしてみなさんの歓声を聞いてここまでこれました……(涙)。本当にアンジュルムに入れてよかった!!この光景を一生忘れません!!」と初の武道館に立てたことの感慨を深く涙ながらに語ると、上國料萌衣もつられて涙。それでも「私はこのツアーを通じて変れたことを今後活かしていきます!」と涙を振りきり強く語った。涙もろすぎる佐々木莉佳子は「このツアーまで泣いてこなかったんですよ!」と大粒の涙を流しながら語りだす。もちろん場内は笑いと共に温かく見守った。続く室田はこの日、参加適わなかった相川について触れ「9人で回ることができませんでしたが、この8人、気持ちは9人でライブを回ることができました!」と、涙をポロポロとこぼしながら満点の笑顔で語った。ここまで涙涙のトークが続く中、さすがは勝田里奈。「私は泣きませんよ」とアッサリ涙を期待する場内に向けて釘を刺して笑いを誘った。竹内は今回チケットの売れ行きについて納得いっていない様子で「このツアー自信あったのに!このメンバーに自信があるから、今度武道館は発売1秒で完売するから、とにかくとっておいた方がいいよ!」と今ツアーで得た充実感を実に竹内らしい言葉で伝えた。中西香菜は予習のために過去の自分の動画を見なおした際「ファンのフリコピをマネしてた」とアッサリ暴露。シッカリ笑いを生み出せる、2期生の胆の強さが光った。 そして最後は和田。「メンバー、スタッフさん、そしてファンのみなさん三つが全部合わさって生み出す空間、それは日本一美しい空間だと思います」と最大限の感謝の気持ちを伝えた。MCが終わり、披露したのは新曲の『ナミダイロノケツイ』。室田、佐々木、上國料の3人を軸にした、バラードナンバー。それぞれの夢を持ち別れてしまった友へ向けて「共に育てたこの場所は私たちがずっと守っていくよ」という、スマイレージ、そしてアンジュルムの歴史を彷彿とさせる感動的な歌詞を力強く、そして情感たっぷりに歌い上げた。 そしてこの日のラストを飾ったのはパンキッシュな『友よ』。白いドレスを脱ぎ捨て、それぞれが自らの最大限の「楽しさ」を全身で表した。フロアも彼女らに応える様に残りの力を全部振り絞り最大限の盛り上がりを見せ、最高の一夜に幕を下ろした。 この日、和田がMCで語ったように、可愛く、カッコよく、楽しく、熱く、そしてちょっと切ないアンジュルムの全ての要素をこれでもかと見せつけるライブとなった。6月にはまた新たな地平を見せる新曲が待っている。今後のアンジュルムは、さらに凄みを増していくだろう。そう感じさせるに十分なライブだった。