NHKマイルカップから読み解く現3歳世代の牡牝格差

先のNHKマイルカップでは牝馬のアエロリットが優勝し、見事3歳の短距離王者に輝いた。その内容が圧巻のひと言で、およそ不利と思われる大外枠から好スタートで先手に付けると、そのまま番手を追走し直線では早々に先頭へ立つ押せ押せの競馬。普通であればここで脚がいっぱいになるのだが、アエロリットは更に後続を突き放す余裕の脚取りで勝ち切るのだから本当に恐れ入った。しかも1600mを1分32秒3という好タイムで走破するのだから、どこから見てもそのレースぶりに文句の付けようが無い。

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が、よく考えてみるとこのアエロリットだが、前走の桜花賞では6番人気で5着とあくまでも伏兵扱いだった馬。それもその筈で、今年の牝馬レベルは相当に高く、ソウルスターリングやファンディーナを始め、リスグラシューにアドマイヤミヤビなど豪華メンバーが揃いに揃った黄金世代なのである。そのソウルスターリングでさえ、桜花賞ではよもやの敗戦を喫する程に各馬が既にGⅠ級のポテンシャルを秘めた一線級ばかり。当然、その中ではアエロリットなど小粒の存在であり、桜花賞でも下馬評では連下候補に入るのが関の山といった感じであった。実際、そのレースでは最後方からジワジワと脚を使って上位争いの一角に迫る掲示板入線という結果に終わり、全体的な印象としては“想像以上に善戦した”という評価に至った程度。

そして、陣営が次に駒を進めた先はNHKマイルカップ。距離適性などを考えても賢明な選択だっただろう。ここには桜花賞で先着を許したカラクレナイや、皐月賞でもダークホースとして注目されていたアウトライアーズ、マイラーのモンドキャンノやボンセルヴィーソなど強豪牡馬陣も集まりそれぞれが虎視眈々とチャンピオンの座を窺っていた。が、蓋を開けてみればアエロリットの圧勝である。加えて2着には13番人気のリエノテソーロが入り、牝馬のワンツーフィニッシュという形で幕を閉じる。…これの意味するものは何か??つまり、今年の牝馬勢は牡馬勢に比べて遥かにレベルが高いという事他ならない。それは昨年末の段階でも口酸っぱく多方で言われていたのであるが、肝心の期待されたファンディーナが皐月賞で惨敗した事から“結局は牡馬の方が強い”という風潮に傾きつつあった。そして、そこに待ったをかけたのがこのアエロリットの快勝劇だった。

過去を振り返れば至極簡単な話だ。アエロリットはクイーンカップでアドマイヤミヤビに負けている。同馬は百日草特別でアウトライアーズやカデナ相手に完封しているのだ。その強いアドマイヤミヤビですら、桜花賞ではレーヌミノル以下、ソウルスターリングやリスグラシューに歯が立たなかった事実をじっくりと相関図的に俯瞰の視点で再度ご確認頂きたい。勿論、競馬は条件や枠、馬場に騎手など多くの要素が絡まり合う為、一概にレースの勝ち負けだけで能力差を推し量るのは早計だという事も理解している。だがそれを鑑みてでも、今回のNHKマイルカップでのアエロリットの強さが異様に際立っており、そのイメージだけで牝馬の層の厚さに益々拍車をかけるのである。

最後にそれを決定的にするのが、5月3~4週に行われる牡牝クラシック第2戦目、オークス&日本ダービーの両レースだ。恐らく、タイムや内容など総合的に前者が後者を圧倒する事だろう。ソウルスターリングがリベンジを果たすのか、リスグラシューやアドマイヤミヤビが巻き返すのか、それともまた別の新星現れるかはさっぱり分からないが、近年稀に見る高レベルの牝馬戦線だという事だけは間違いない。そんな熱き乙女たちの壮絶なる戦いをどうぞお見逃しなく。