「紅白歌合戦に出る」と言い続けるアーティスト
「紅白に出る」とファンに公約し続けるアーティストがいることをご存じだろうか。サザンオールスターズ、TUBEなどを輩出した湘南エリアにて産まれ育った実の兄弟ユニット「逗子三兄弟」である。 出演を辞退するアーティストもいる紅白歌合戦にこだわるのか。「両親を紅白に連れていきたい。」「現状の僕らではかなり困難な道のりであるのは分かっているが、だからこそ口に出してチャレンジしたい。」多くのファンの前で、そして多くのインタビュー時に彼らは答える。プロミュージシャンであった父親が家族との時間を優先する為に諦めたいう、音楽家としての夢を「紅白出場」という結果で親孝行したいという姿勢が彼らのファンは、言葉にすると気恥ずかしさすら感じる家族への想いを代弁してもらっているかのような錯覚を起こし、共感しているのかもしれない。 彼らは自身のファンを「家族」と表現する。血縁、地縁、家族の範囲は人それぞれ違うと思うが、何故、何の縁も無いファンを家族と呼ぶのだろうか。「音で繋がったファミリー(家族)」彼ら流に言うと自分たちの曲を愛してくれる人々は、全て「家族」ということになるのであろう。そんな彼らの姿勢が熱狂的なファンを産み出し、ライブ会場は常に温かい雰囲気に包まれているのは自然な光景なのかもしれない。 彼らが「家族」と表現する中には、彼らの志に共感し、並走し続けるスタッフも含まれている。常にライブを共にするバックバンドは幼馴染、同級生を含む、同じ湘南エリアで育った仲間で構成されている。「第一に僕らは逗子三兄弟の大ファンなんです。」「彼らと共にいつまでも同じ夢を一緒に歩みたい。」バンドメンバーも彼らへの想いをストレートに表現する。そこにはアーティスト、バックバンドといった隔たりはなく、同じ家族、地元への愛が存在している。 そんな稀有な存在である逗子三兄弟に共感し、記録映像を撮り続けた映像クリエイター・佐々木晃太氏が完成させた映画「湘南の三兄弟」が4月16日(日)に渋谷UP LINKにて上映される。この映画では、彼らが「もう隠すところが無くなった(笑)」と表現する程、今までファンにも見せることのなかった内面、紅白、家族、兄弟、そして仲間への想いを主題歌『This is my life』と共に表現されている。彼らの幼馴染でもあり、一昨年惜しまれながら亡くなった今井洋介氏への彼ら、バンドメンバーのコメントは、観る者の心を揺さぶる。 実直に、武骨に、不器用に「紅白へ行く」と宣誓する気持ちは、彼らの真骨頂でもあるライブツアーのタイトルにも込められ、先日終了した全国ツアータイトルは、「ROAD TO 紅白2017」。ツアーファイナルでは、夏にオリジナルアルバム、冬にはLOVE SONG アルバムがリリースされることが発表され、ファンを喜ばせた。この時代にここまでストレートに家族、兄弟、仲間、地元への愛を歌い、夢にチャレンジする彼らを観て、多くのファンは忙しい毎日の中で忘れがちなこと、いつの間にか置いてきてしまったものを思い出し、共鳴してくのかもしれない。彼ら曰く、「簡単でない道」と表現する紅白歌合戦への挑戦を見続けてみようと思う。