井上尚弥がライバル「ロマゴン」の防衛戦を予想

階級を超えたボクサーの総合的な実力ランキング「パウンド・フォー・パウンド」で現役最強の評価が定着しているWBC世界スーパー・フライ級王者、“ロマゴン”ことローマン・ゴンサレス(29=ニカラグア/帝拳)が3月18日(日本時間19日)、アメリカのニューヨーク、マディソン・スクエア・ガーデンで元王者のシーサケット・ソールンビサイ(30=タイ)の挑戦を受ける。

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すでに4階級制覇を成し遂げ、46戦全勝(38KO)の戦績を誇るゴンサレス有利とみられているカードだが、5月に次戦が計画されている同じ階級のWBO王者、井上尚弥(23=大橋)は「ゴンサレスにとってリスクの高い試合。何が起こるか分からない」と話す。

年内にもゴンサレスとの頂上決戦が期待される井上選手に、WOWOWが独占インタビューを行い、目前に迫ったライバル王者の防衛戦をどう予想しているのか聞いている。なお、ゴンサレス対シーサケット、ダブルメインのゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)対ダニエル・ジェイコブス(アメリカ)の3団体統一世界ミドル級タイトルマッチは19日(日)午前10時からWOWOWライブで生中継。ゴンサレスとの対戦を目指す井上尚弥と、ミドル級で世界挑戦を狙う村田諒太(帝拳)がゲスト解説を務める。

―昨年、5月、9月、12月と3度の防衛を果たしましたね。

9月の試合は腰痛の影響もあって納得いかない内容でしたが、12月(河野公平戦=6回TKO勝ち)は腰も拳も問題なく戦えたので良かったと思います。

―4月10日で24歳。充実期に入りますね。

中堅クラスになりつつあります(笑)。30代後半がゴールと考えているので、ダメージを残さないように戦うつもりです。

―体が大きくなってきましたね。

2月20日から24日の5日間、熱海(静岡県)で合宿を行ったので。十代のころとは体が全然違うし、自分でも大きくなった実感があります。

―上の階級に上げる計画もありますか。

年内はスーパー・フライ級で戦い、来年はバンタム級に上げるつもりです。そのあと体重増を考えてスーパー・バンタム級まではイメージしています。

―3月19日にゴンサレスとシーサケットが戦います。

最初、ゴンサレスは前王者のカルロス・クアドラス(メキシコ)と戦うのではないかと聞いていましたが、シーサケットになったんですね。シーケットは攻撃型の選手なので楽しみです。

―井上選手は昨年9月、ゴンサレスがクアドラスに判定勝ちを収めた試合をアメリカまで視察に行きましたが、そのときの感想を聞かせてください。
ゴンサレスは確かに強いことは強い。でも、スーパー・フライ級に階級を上げて以前のようなパワーを感じなかったことも事実です。クアドラスが耐えてしまったということもあると思いますが、ライト・フライ級やフライ級時代、相手が耐えきれなくなってしまったことがいっぱいあったのに、それは感じられなかった。改めて驚くということはなかったし、スーパー・フライ級に上げて何かが変わったということは感じませんでした。

―ゴンサレスのストロング・ポイントはどこだと思いますか。

総合的にすべての面でずば抜けていると思うし、欠けているものはないと思います。特に優れているのはコンビネーションを打つ際、すべてのパンチを強く打って的確に当てていく点ですね。

―同じボクサーとして見て、それは難しいことなのでしょうか。

難しいですね。体幹が強くないと全部のパンチを繋げながら強くは打てないんです。下半身と上半身のブレが出てくるとワン、ツー、スリーまでは打ててもそこから先は打てないんです。

―井上選手はどうでしょうか?

自分はゴンサレスほどにはできていないけれど、コンビネーションに関してはタイプが違うので。ああいうコンビネーションの攻撃はしないけれど、でも、やろうとしても難しいでしょうね。

―スーパー・フライ級にしてはゴンサレスは体のサイズ(身長160センチ、リーチ163センチ ※井上は164センチ、172センチ)が小さいのでは。

どうなんでしょうね……でも、小さい選手はたくさんいるし、問題は戦闘スタイルだと思います。パワー型の選手が体重(階級)を上げていくことは難しいんです。テクニック重視の選手は体重を上げてもパワー勝負を避けてテクニックで勝負するけれど、正面衝突のパワー勝負でやってきた選手が3階級、4階級上げるとパワーの点で壁にぶつかる。事実、スーパー・フライ級でクアドラスがゴンサレスのパンチに耐えてしまったわけですから。

―では、シーサケットのことはどう見ていますか。

ずっとスーパー・フライ級で戦っているし、パンチ力もありますね。ファイターに近いタイプだと思います。

―ゴンサレス対シーサケット、どんな試合になりそうですか。

良い意味でも悪い意味でも噛み合うので、スリリングな試合になるでしょう。ふたりとも好戦的なので、倒れる可能性はどちらにもあると思います。7対3ぐらいでゴンサレスが有利だとは思いますが、何が起こるか分からない。ゴンサレスにとってもリスクのある試合だと思います。

―ゴンサレスがKO勝ちするとしたら、どんな展開でしょうか。

ボディを攻めるなどガツガツいって、中盤から終盤に倒すのでは。

―逆に番狂わせが起こるとしたら。

ゴンサレスが負けるとしたら一発を食った場合しかないでしょう。攻めて攻めて、コンビネーションを打っているときに食う不意の一発が怖いですね。

―井上選手自身、近い将来に彼らと戦う可能性があるわけですが、ゴンサレス、シーサケット、そして井上選手の3人を強い順に並べるとしたらどんな順番になりますか。

僕が一番ということはないですね。現時点ではゴンサレスを自分よりも上には見ているけれど、戦うとなったら五分五分と考えます。自分の方が抜きん出ている点も分かっているし、ゴンサレスの方が勝っている部分も分かっているし。そこを見たうえで五分五分だなと。

―井上選手が考える、それぞれのアドバンテージ部分とは。

ゴンサレスが僕よりも上回っているのはキャリア、コンビネーションを強く打てる持続力、それにスタミナもありますね。自分はスピード、一発のパンチ力では上だと思います。実際には戦ってみないと分からないけれど。

―そういう勝負は怖いのでは?

怖さはないですね。むしろ楽しみです。リスクは高いけれど、やる価値があると思います。スーパー・フライ級のチャンピオン同士として勝負したい。勝っても負けても得るものが大きいと思うので。12月に戦えればいいですね。

―海外で戦う可能性もあるのでは?

タイミングが合えば海外でも戦ってみたいですね。どこでもいいですよ。ニカラグアですか? 食事の調整が難しいかな(笑)。

―ゴンサレスは「試合が実現するなら井上選手の自宅でもいい」と言っていました。

僕の家?いいですねぇ、最高じゃないですか(笑)。

―3月19日にはゴロフキン対ジェイコブスもあります。

ゴロフキンはパワーがあるうえ、ポジショニングのチェンジだとかテクニックの面でも優れている選手。この試合も楽しみです。