木村カエラのライブに込めた想い 最後は生声で

が、アルバム『PUNKY』を引っさげ、年をまたいで開催されていた全国ツアーのファイナルを3月6日大阪フェスティバルホールで迎え、全17公演で約25,000人を動員した「KAELA presents PUNKY TOUR 2016-2017」を完走した。

東京は10月18日、19日の赤坂BLITZ 2DAYS公演と、3月3日に東京国際フォーラム ホールAにて行われ、東京国際フォーラム公演の模様は5月5日(金)PM9:00よりTBS CS「TBSチャンネル1」にて放送されることが決定している。

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3月3日(金)に東京・国際フォーラム ホールAにて開催された全国ホールツアー「DIAMOND TOUR」東京公演。

昨年の10月19日に約2年ぶり9枚目のアルバム『PUNKY』をリリースした彼女は、新作のフラゲ日を皮切りに全国ツアー「KAELA presents PUNKY TOUR 2016-2017」を開催。同日から第1弾として、赤坂BLITZ 2DAYSを含む全国ライブハウスツアー「STUDS TOUR」をスタートさせ、年をまたいだ1月28日からは第2弾となる全国ホールツアー「DIAMOND TOUR」を開始。

“パンク的な”と“自ら光を発するもの”というダブルミーニングを込めた『PUNKY』というアルバムのタイトルと同じく、ライブハウスツアーではパンクロックで会場全体を火照らせ、ホールツアーでは観客一人一人が明日を生きる希望となるような光を彼女自身が発していた。アルバムのレコーディングメンバーであるヒイズミマサユ機(P)、會田茂一(G)、佐藤征史(くるり/Ba)、柏倉隆史(Ds)によるバンドとともに、スタッズとダイヤモンドと名付けた異なる2つのツアーで『PUNKY』の世界観の全貌を見せるかのようなパフォーマンスで各地で熱いステージを繰り広げた。

5000人のファンで埋め尽くされた国際フォーラムに紗幕越しに登場したは、アルバムの1曲目である『There is Love』でライブをスタートさせた。リボン付きの巨大な骨のオブジェを背に、運命に手を伸ばすかのように歌う彼女の姿が見える。やがて、バックライトに照らされ、紗幕に木々の影が映ったと思った瞬間に幕が上がり、妖精のようなグリーンのワンピースに身を包んだカエラが姿を現すと、会場からは割れんばかりの大歓声が巻き起こった。

さらに、『SWINGING LONDON』から『PUNKY』へとロックミュージカルのような展開を見せ、まだ知らない世界へと誘う『SHOW TIME』を経て、新しい今日を迎えた喜びを笑顔で歌う『TODAY IS A NEW DAY』と、楽曲ごとに色彩を変えながら一気に聴き手の内なるパワーを引き出していった。

最初のMCでは、「やっぱりフォーラムはデカイね。私の歌、届いてるかしら?今の私ならマイクなしでも届く気がするね」と胸を張って見せ、「初めての人でも大丈夫。素直な音楽はみんなの心を掴んで離さないし、みんなが楽しめるように準備してきたから」とあいさつ。

観客が大声でカウントをとった『ワニと小鳥』、四季折々の景色が展開されるバラード『向日葵』で聴き手の心を温かく包み込み、『Circle』や「♪WOWOW」の大合唱となった『sonic manic』はテクノ~フレンチエレクトロ寄りのサウンドで深遠なるエコーを響かせ、年齢や性別を問わない、音楽の幅広い楽しさをアピールした。

また、ライブ当日が女の子の健康を願うひま祭りだったこともあり、「健やかに成長したーい!幾つになっても成長したいんですよ」と語った彼女は、NHK「みんなのうた」で知られる童謡『オバケなんてないさ』のカバーから、雑音の中から純粋な音楽への欲求をすくい上げるロックナンバー『THE SIXTH SENSE』で、幼少期には誰もが持っていた想像力を再生させ、ライブではおなじみの『KEKKO』『TREE CLIMBERS』では会場全体が一体となって歌い、踊り、飛び跳ね、手拍子を合わせるなど、大きな盛り上がりを見せた。熱気が最高潮まで達したところで、カエラは一度、観客を座らせ、アコーステイックコーナーへと突入。

ここで、「2010年にYUKIさんのライブを国際フォーラムで観て、なんて素敵なんだろうって思って以来、ここでやるのは夢だったんです。いつかここでライブがしたいなと思っていたら、ようやく、7年越しで夢が叶いました。夢が叶ってとっても嬉しいんです」とフォーラムへの思いを語ると、客席からは大きな拍手が起こった。

さらに、「自分を取り戻せる歌というテーマで選曲しました。みんなきっと、大変な思いをしながら、毎日、生活していると思います。楽しいことも辛いこともあるだろうけど、自分を見失ってしまって、なかなか戻れないときに、この曲を聞いたら、みんなが自分を取り戻せたり、明るい気持ちになればいいなと思って書いた曲たちです。みんなに寄り添う曲になるように歌いたいと思います」と続け、カエラが弾くアコーステックギターとヒイズミのピアノのみの2人編成で歌った『リルラリルハ』から、ドラムのブラシが心を落ち着けてくれる『Sun Shower』、宇宙のような広がりさえを感じた『EGG』の3曲で喪失と再生を表現した。

さらに、「おやすみの日が少しでも楽しくなるといいなと思って書いた曲です」と解説した新曲『HOLIDAYS』を歌う前には、観客が歌うパートを指導。彼女が「みんな最高だね!」と笑顔で歓ぶほどの大合唱となり、英語歌詞のUKロック『Ground Control』からは怒涛の後半戦へ。

『僕たちのうた』『好き』とテンポの速いパンクロックが続くが、前を向いて今を生きることで新しい日々が光るというメッセージが伝わってくる。また音楽が、歌うことがやっぱり大好きなんだという姿勢がまっすぐに伝わるパフォーマンスで、ライブの定番曲『YELLOW』ではフロアにさらなる一体感が生まれ、『BEAT』では拳が上がり、観客それぞれの脈拍が速くなっているのがわかるほどの興奮状態に陥った。

そして、カエラの「とても大切なうたを歌います。みなさん、本当にありがとうございました!」という挨拶を経て、<キラキラ輝くためにも、これからも私らしくありたい>という思いを込めた『BOX』を伸びやかに歌い上げて締めくくった。

ステージ上部からはハート形のミラーボールが降り、会場全体にまさにダイヤモンドのような光の煌めきを反射させながら、カエラは間奏中に「みんないっぱい笑ってね。私が歌で歓ばせるから!!いっぱいいっぱい笑ってね!」と張り裂けんばかりの声でメッセージを届けた。最後はマイクを通さず、生声で「みんな、また明日から頑張ってね」と大きく手を振ってステージを後にした。実際にツアーに足を運んだ人たちはきっと、楽曲のそこかしこに散りばめられていた“光”や“笑顔”というフレーズ、そして、彼女の「笑顔でいてね」という言葉を胸に深く刻んだまま家路に着いたのではないかと思う。

なお、本ツアーは、3月6日(月)に大阪フェスティバルホールで開催された大阪公演を持ってファイナルを迎えたが、大阪フェスティバルホールのみ『Butterfly』が披露され、そしてセットリスト最後の『BOX』に続いて『Magic Music』がパフォーマンスされ幕を閉じた。

また、ツアーで披露されJRAのCMソングとなっている新曲『HOLYDAYS』は、通算23枚目のシングルとして5月10(水)にリリースされることが決定している。

(写真)太田好治