日本語吹替が超豪華「SING/シング」は極上のエンターテインメント作品

ユニバーサル・スタジオが贈る、『ミニオンズ』スタッフの最新作『SING/シング』が3月17日(金)に公開される。SING_sub5_new

舞台は人間社会に似た、動物たちだけが住む世界。街の一角にある劇場は、その昔、華々しいショーで人々に夢と希望を与えていた。しかし、時は流れ今や劇場内は閑古鳥が鳴き、ついには閉館の危機に直面してしまう。劇場支配人であるコアラのバスター・ムーンは、かつての活気を取り戻そうと大々的なオーディションを開催、新たなスターを見つけ出し、一発逆転を図ろうとする。オーディションを見事勝ち上がったのは、超個性的な6名。彼らは自分たちの人生を変えるため、そして夢を叶えるために、大奮闘を繰り広げていく……。

頭からシッポまでドタバタのギャグで笑いの波状攻撃も生みだしながら、それぞれが抱える深い悩みを“歌”の力で解決していく、素晴らしいドラマに仕上がっている。監督/脚本は『リトル・ランボー』(10年)で、映画好きの少年たちの友情譚を、笑いを交えながら温かく描いたガース・ジェニングス。その手腕は今作でも見事発揮されている。今作のカギを握るのは「歌」。フランク・シナトラにザ・ビートルズ、マイケル・ジャクソンからカニエ・ウェストにレディー・ガガ、果てはきゃりーぱみゅぱみゅ(歌うは、5匹組みレッサー・パンダのアイドルグループ)と、世代もジャンルも超えた名曲、その数60曲以上が全編を彩る。世界に息吹を与えるのはマシュー・マコノヒー、スカーレット・ヨハンソン、リース・ウィザースプーン、タロン・エガートンにセス・マクファーレン……と、実力派ぞろい。そして日本語吹替版も負けじと、超が付くほどの豪華な声優陣が集結。物語の主人公である支配人バスター役を務めるのは内村光良。底抜けに明るくポジティブ(&ノー天気)なバスターを、軽快かつ柔和に演じきった。長澤まさみはロックを愛するトガったヤマアラシ少女・アッシュを演じる。近年気風の良い姐御肌な演技で新たな魅力を生み出し続ける長澤の声は、斜に構えながらも情熱は人一倍なアッシュにピタリたりとハマった。ギャングの一人息子、ゴリラのジョニーをスキマスイッチのボーカル・大橋卓弥が担当。心優しい青年であるジョニーと、繊細な大橋の声は見事シンクロ。ド派手にキメまくるダンサンブルなブタ・グンターは、トレンディエンジェルの斎藤司。本作のマスコット的存在であるグンターに相応しくハイテンションで捲し立て、随所で「斎藤さん」節をカマしては、笑いへ誘う。元大スターにして大富豪のヒツジ、ナナを女優・大地真央が熱演。厳しさの中から溢れる気品の高い声は絶品。そして爆発的な歌唱力を誇るゾウの少女・ミーナを演じるのは、日本が誇る実力派シンガー、MISIA。シャイで優しい心の持ち主であるミーナを、穏やかかつ表情豊かに吹き替える。これが声優初挑戦とは思えないほどの表現力を見せる様はさすがの一言。さらには、可愛らしい見た目とは裏腹に態度はデカく金に汚いネズミ・マイクを「七色の声を持つ男」山寺宏一、超子沢山のブタの主婦・ロジータを声優/シンガーソングライターの坂本真綾、とぼけたムードメーカー・トカゲのミス・クローリーを『ONE PIECE』のルフィ役で知られる田中真弓、うだつの上がらないバスターの友人のヒツジ・エディを宮野真守、と実力派が脇を固める。どのキャラクターもオリジナルキャストに負けず劣らずの素晴らしい演技を披露、日本語版ならではの世界観を完全に構築した。

本作の白眉はキャラクターたちの歌唱シーン。全編に流れる名曲を歌うのは、なんと演じた役者本人だ。オリジナル版はもちろん、世界で唯一日本語吹替版のみ歌唱シーンも吹替えた“全編吹替え”になっている。アッシュ役の長澤は『セット・イット・オール・フリー』(本作オリジナル曲)をロックにかつパンキッシュに歌い上げれば、ジョニー役の大橋は『アイム・スティル・スタンディング』(エルトン・ジョン)でウットリとするような美声を響かせ、グンター役の斎藤は『シェイク・イット・オフ』(テイラー・スウィフト)で、コミカルさを兼ね備えた卓越した歌を聴かせる。そしてミーナ役の MISIA は『ドント・ウォーリー・アバウト・ア・シング』(スティーヴィー・ワンダー)で地を揺らすほどの圧倒的ソウルフルボイスを轟かす。ラスト10数分間は、さながらライブ会場にいるかのような錯覚を覚えるほど、素晴らしい音楽体験が堪能できる。なんとも豪華な作りだ。笑えて泣けて、最後は総立ち。子どもだけでなく、大人、そしてポップミュージックファンをも虜にすること間違いなしの極上のエンターテインメント作品。『SING/シング』はこの春、必見の作品だ。

ぜひ、オリジナル版、吹替版共に堪能していただきたい。
写真(C)Universal Studios.