「ももち」嗣永桃子が貫き続けたアイドルの美学を徹底検証

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が2月8日に5枚目のシングル『Good Boy Bad Girl/ピーナッツバタージェリーラブ』を発売した。『Good Boy~』はデビュー2周年を迎え、牧歌的イメージの強かったカンガルにハードな一面をもたらした意欲作。新たなステージへと押し上げた。そして『ピーナッツバタージェリーラブ』は今作で最後の参加となるを大々的にフィーチャー、「アイドル・」の魅力が最大限にパッケージされた王道感溢れる楽曲になった。

卒業が目前に迫った嗣永。彼女が歩んだこの15年は、まさにアイドルとはどうあるべきか?の美学を体現し貫き続けた日々だった。は、どんな時でも常に全力でアイドルであった。

10歳という若さで、ハロー!プロジェクトの門を叩いた嗣永。彼女は最初からアイドルとしてかくあるべきの心構えが確立されていた。デビューしたばかりの彼女は、とあるインタビューでアイドルとしてどうありたいか?の質問にこう答えている。

「歌で人の気持ち明るくできるようになりたい。きっと人生にくじけている人が、いっぱいいると思うから」

嗣永は、アイドルとは人に夢、希望を与えるべき存在であることが絶対だと、活動当初から自覚していたのだ。こうした哲学を持った嗣永だ、ステージ上では常に全力、存在感は圧巻の一言。身長「ヒール込みで158センチ」、体重・桃29個分という小さな体のどこから出るのかわからない、力強さと繊細さの双方を兼ね備えた歌声、アイドルとして完璧とも言える可愛らしさを体現したダンス。決して絶やさない笑顔。そして口を開けば達者すぎるトークで周囲をかき乱し、笑いを生み出していく。徹底して彼女はアイドルとして、人が笑顔になるためのツボを刺激し続けている。それは今でも変わらない。熱狂的なハロプロ、Berryz工房ファンとして知られるHKT48指原莉乃は「私の中ではずっとパフォーマンス最高の完璧なアイドル」との声を送っている。

そのツボを10年以上に渡り刺激し続けるのは並大抵のことではない。裏では相当な努力を重ねたはず。しかし、決して“努力した”という言葉を口にしない。アイドルとは嗣永卒業発表の際、カンガルのスーパーバイザーにして大先輩の里田まいはこうコメントを残した。

「どんな事にも真摯に取り組み、努力し、アイドルとしての自分を全うする彼女のプロフェッショナルな姿に、私は彼女より8歳も年上ですが、学ぶ事は多く、いつも尊敬していました」

この言葉が何よりという存在の全てを語っていると言ってもいい。「嗣永プロ」という呼称は今なお有効だ。

とかく「ぶっちゃける」ことが一つの命題となった10年代以降のアイドルシーンにおいて、嗣永は徹底して誰からも愛され、元気を与える王道のザ・アイドルの在り方を示した。かつて音楽家・前山田健一とのラジオ番組『ヒャダインのガルポプ』に出演した際に「アイドルは天職」と語ったのは印象的であった。

バラエティにおける、(あざと)カワイイ「」キャラからも彼女のアイドルとしての矜持を強く感じる。一度画面に映れば「自分カワイイ」と、グイグイと前面に出ていき周囲をかき乱せば「ゆるしてニャン」の一言で全部をひっくり返す。「ぶりっ子」と叩かれてもどこ吹く風、一切隙も見せずブレることもなく、カワイイを振りまき続ける。

最初は顔を顰めていた人ですら、次第に顔をほころばせてしまう。誰も傷つけず笑顔を生み出し、陽の空気をもたらす。アイドルとは人を笑顔にするもの。この姿勢を貫くからこそ彼女がファンの間だけでなく、お茶の間へと届いた理由だろう。嗣永と共にハロプロのバラエティ進出を支えた道重さゆみは、かつて嗣永との対談で「『テレビにハロプロが出るなんて有り得ない』みたいな空気だったのが、全然変わった。それは桃子ちゃんのお陰だったりもすると思います」と称えている。

そのテレビで見せるエンターテイナーぶりも嗣永の努力があってのもの。盟友・夏焼雅は、ある番組にて「キャラのために努力している」と内情を暴露、さらには夜通しかけて反省会を行うなどの、生真面目な裏の顔を曝した。かつては「は常にステージ上だから」と、常在戦場のような言葉をもらしたことがある。ここまで徹底したアイドル像を作り上げた彼女に、明石家さんまを始め、共演した多くの関係者そして多くのアイドルが嗣永の「プロのアイドル」としての姿勢に讃辞を送り続けたのも頷ける。

「ずっとアイドルでいたいのっ!!」と『ヒャダインのガルポプ』に出演した際にこう語ったことがある。彼女のアイドル生活は残り4ヶ月。最後の最後までアイドルであり続ける、彼女が15年走り続けてきた“最高のアイドル人生”が、文字通り最高の形でゴールを切るまで、その一瞬を、その姿をシッカリと目に焼き付けていきたい。(田口俊輔)