乃木坂46 3期生、キラリと光る山下美月の存在感

2012年PARCO劇場で乃木坂46の初舞台公演となった「16人のプリンシパル」。1幕がオーディション、観客の投票により2幕の出演者が決まるという前代未聞の公演から4年を経て、あの伝説の舞台が“3期生”によって新たな幕を開けた。

3期生12名全員が参加。昨年12月10日に行われた「お見立て会」で初めてファンの前に姿を見せたのが日本武道館と言う、途轍もなく大きな舞台だった。あれから僅か2ヶ月、今度は本格舞台に挑戦となる。それも先輩たちも”ツラい“と漏らした、あの「プリンシパル公演」だ。関係者、報道陣に公開される”ゲネプロ“を前にした囲み取材では、皆表情は硬く、特に大園桃子は、目にいっぱい涙を溜め、今にも逃げ帰ってしまいそうな悲壮な顔をしていた。

今回、2幕の演劇パートは宮沢賢治原作の「銀河鉄道の夜」。配役は「ジョバンニ」「カムパネルラ」「サソリ」の3名のみで「3人のプリンシパル」と言うことになる。1幕のオーディションでは、自己紹介、3人1組によるエチュード(即興劇)、そして希望の役による演技審査と進んで行く。取材で見せていたガチガチの表情はすっかり鳴りを潜め、皆堂々たるアピールと演技を披露。普通の女の子からプロへ意識が切り替わる。緊張のあまり泣いてしまった大園も、笑顔でオーディションに臨んでいた。

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そんな中キラリと輝きを放っていたのがだ。クールな瞳で落ち着いた雰囲気を醸し、いつも冷静、感情が表に出ないタイプだが、癒しのオーラもある。希望役の演技審査では、明るく快活で貧しくとも病気の母を支える心優しい少年「ジョバンニ」を選んだ。先ず立ったまま劇中の実際の台詞を読み演じ、次に舞台を自由に使った動きのある演技、そしてその役に対する意気込みを話す。ほかに3名希望者がいたが、山下だけが意識していたこと、それはこの役が“少年”だということ。地声で演技していたメンバーが大半のなか、彼女は“男の子”を意識した節回しや、立ち振る舞い、間の取り方で、唯一彼女から“男の子”を想像できた。本格的な舞台経験がないなか、すでに備わっている天性の勘というのだろうか。また、役に対する自己アピールでも「この役を演じるために原作を読み込んだ」と語った山下。末恐ろしいなにかを持ち合わせているように感じた。

“ゲネプロ”でも実際に2幕出演者の投票が公正に行われ、結果はやはり山下が「ジョバンニ」役を勝ち取った。「歌が苦手で、劇中で歌いながらお芝居をするシーンが何か所があって、感情を込めながら歌うことにとても苦労しました」と話していたが、山下演じる「ジョバンニ」は表情豊かで、初めてとは思えないほど堂々と、舞台も広く使っていたように思う。

今回の公演に臨むに当たり、メンバーは口々に「自分らしい個性を出すことに苦労している」と言っていた。このことに関しても山下は「3期生は個性がバラバラです。この公演を通して、皆さんにキャラを見つけて頂けたら嬉しいです。」と語っている。まだ産声を上げたばかりの現段階で個性を出し、自分を活かすことは容易ではない。この「3人のプリンシパル」公演中、自分の努力通りに結果が伴わない理不尽さに心をかき乱される状況が続くかもしれないが、彼女たちはめげることなく挑戦し続け、の色を必ず出すだろう。同志であり、ライバルである12名はこの10日間で、プリンシパル史上かつてない急な坂を駆け上がる。そして何段階も上へと成長を遂げてくれるに違いない。