ハロプロ次世代エース候補を探せ「研修生発表会2016」徹底リポート
ハロー!プロジェクト研修生が一堂に会すイベント「Hello! Project 研修生発表会2016 ~春の公開実力診断テスト~」が今年も聖地・中野サンプラザにて開催された。公演タイトルの通り、日ごろのレッスン成果を計るために、研修生自ら衣装と楽曲舞台演出までをもプロデュースしそれを舞台上にてソロで披露。そのパフォーマンスは観客と審査員によって採点され結果によって賞を与えるという、エクストリームなイベントだ。 今回の注目は2014年度ベストパフォーマンス受賞者・段原瑠々、2015年度ベストパフォーマンス受賞者・加賀楓に対抗する人材が表れるかどうか?だ。圧倒的なパフォーマンスを誇る二人はこの1年でさらなる凄味を増してきた、簡単に譲ることはない。 過去に各賞を受賞している一岡伶奈、井上ひかる、橋本渚、堀江葵月、ベテランの域に入りつつある横川夢衣も手をこまねくだけではないはず。小野田紗栞、島野萌々子、高瀬くるみ、小野瑞歩、仲野りおん、前田こころ、秋山眞緒、金津美月、笠原桃奈ら加入から一年経過したメンバーは昨年からの成長ぶりをどう見せるか。加え今年1月に加入した野口胡桃、小野琴己、児玉咲子、米村姫良々、清野桃々姫らにとっては初の挑戦となる。フレッシュな顔ぶれはどんな姿をこの場で披露するか?総勢21名のプライドがぶつかり合う。 ゲストとなるこぶしファクトリー、つばきファクトリーがライブを終え、メインMCのまことの呼びかけで審査員を務める、みつばちまき先生(ダンス指導)、上野まり子先生(歌唱指導)、橋本慎氏(アップフロント)、熊井友理奈、清水佐紀が登壇。いよいよ本番がスタート。 トップバッターを飾ったのは秋山。Juice=Juice『カラダだけが大人になったんじゃない』を、パートごとに声色を使い分けながら、全身を駆使したカッコよさと妖艶さの合間を行きかうダンスでいきなり魅せていく。「緊張しませんでした!」という発言通り、重圧を跳ね除けるかのような堂々たる振る舞いで強い印象を与えた。 続く高瀬は頭にはウサギ耳、白のノースリーブドレスで登場。スポットが当たった瞬間の姿に会場はどよめく。さらに自身が兎年ということで「これしかない!」と選んだ楽曲が『Moonlight night~月夜の晩だよ~』(モーニング娘。)と徹底したウサギ尽くしで攻めるセルフプロデュース力、これには拍手。ただインパクト勝負だけでなく、上野先生も褒める高音は伸びやか、キレあるダンスと三拍子併せ持った超実力派であることも証明。昨年、驚異の新人と謳われたのは嘘ではないと身をもって示した。 小野琴己は終始声の震えが分かるほどの緊張ぶり。それでもスタイルの良さと純白の衣装が似合う清らかさは中々。『赤いフリージア』(メロン記念日)という選曲もピッタリ。衣装を選んだ理由を聞かれ「『赤いフリージア』は“白い”イメージなんです」と答える独特な感性が彼女をどう導くのか楽しみ。 『サヨナラ、ウソつきの私』(Berryz工房)を選んだ昨年の審査員特別賞受賞者・井上は「大人っぽく」を意識したということで、慣れないヒールを履きながらも背筋がピンと伸びた硬質なダンス、グッと腹に来る低音を響かせ、今までにないクールな一面を覗かせた。元より持っていたビューティフェイスの磨かれぶりもプラスになったか。清水も「セクシーだなと思いました」と太鼓判を押した。 児玉はトマト好きの“リコピン星から来た少女”という飛び道具的キャラで飛び出してくるや、「一緒に歌って!」と会場を煽りまくっては巻き込んでいくスタイルで『夢みる15歳』(スマイレージ)を楽しく披露。全身にトマトをあしらった衣装のインパクトもさることながら、濃厚な“ザ・アイドル”ぶりは昨今のハロプロアイドルには珍しいタイプだ。 野口は『時空を超え 宇宙を超え』(モーニング娘。’14)を披露、儚げな表情、Aメロ終わりのクリーンな高音が素晴らしい。それ以上にMCのアラケン氏が静止しなければ延々に話し続けそうなマシンガントークが面白い!関西弁をバリバリ使い切り込んでいく様は中西香菜を彷彿とさせる。 序盤戦も大詰め、本命筆頭の一角・加賀が登場。「苦手な分野」と自分でも言うバラード『恋ING』(モーニング娘。)に挑戦。得意の切れ味鋭いダンスを封印し、歌と表情だけで魅せるという高難度の演出ながら、シルキーな歌声と優しい表情でグッと惹きつけていくという新たな一面を見せ、それだけでなく高次元に昇華させたのはさすがの一言。上野先生の「やわらかかえでぃ」という評の通り、ヒリリとした会場に一瞬の安らぎをもたらした。 加賀の後が相当なプレッシャーだったのか、前田は演目終了後に涙を思わず流す。しかし、ハスキーな歌声と、妖艶さと力強さを兼ね備えたダンスで『SHOCK!』(℃-ute)を見事自分色に染めた。トレンチコート風衣装にスラリと伸びた脚とスタイルの良さが合わさったクールな魅力は、とても13歳とは思えない色気を放っていた。 ノースリーブにデニムのホットパンツという格好で登場した笠原には、誰もが目を見開いた。 ついこの前まで小学生だったとは思えない程のスタイルの良さに場内は熱狂、清水も思わず「うらやましい…」ボヤいたほど。その大人びた姿はステージングにも見事表れていた。歌いだしは不安定ながらも、その後は圧巻の声量で『愛しく苦しいこの夜に』(モーニング娘。)を歌う。タイトなダンスもさることながら、舞台を左右に動くだけで華を感じさせる魅力、これは天性のものでしょう。 小野田は『渡良瀬橋』(松浦亜弥/森高千里)という選曲に加え、白いドレスというまさに清廉な魅力を炸裂させた。ラストはアルトリコーダーでワンフレーズを演奏するおまけ付き。所々ミスタッチが目立つ“ほつれ”も含め、中々の策士ぶり。橋本氏は「度胆抜かれました!」と絶賛の声を送った。 ここでちょうど折り返し地点。小学生メンバーの一人・米村は『The摩天楼ショー』(モーニング娘。)を歌う。あどけなさ残る歌声ながら、複雑なビートをキッチリ乗りこなすリズム感はバッチリ。さらに身長134cmという小柄な身体とは思えないおおらかなダンスと、逸材ぶりを見せた。パフォーマンスもさることながら、衣装コンセプトについて聞かれると「このテストが終わった後も着られる服を選びました!」とサラリと答え、MCや審査員の質問やフリを全て「はい」で答えていくなどバラエティ対応ぶりも見事。「最後にファンの皆さんに一言を」と振られても「はい」と答えるというよく分かった対応…演目、笑いどちらもイケる恐るべき12歳の登場だ。 続いて登場した最右翼の一角・段原。『初恋サイダー』(Buono!)という歌唱力が求められる楽曲で、さすがの歌姫ぶりを見せた。硬軟自在なのはもちろん、エモーショナルさと伸びやかな声を使い分ける変幻自在ぶり。抜群の安定感を誇った。ただ、この安定感が裏目に出たのか、みつばち先生からは「もっとハッチャケてくれると思った」と手厳しい一言。出来る彼女だからこその叱咤激励だ。目を潤ませながらも素直に聞き入る段原の姿は印象的だった。 堀江は『Kiss me 愛してる』(℃-ute)で巧みなステージングを披露する。艶やかな低音ボイス、切なげな顔から一転して挑発的な仕草を見せるなど、表情も豊か、大人びた世界を表現しきるダンスと全てがハイレベル。昨年『シャボン玉』で見せたパワフルさからまた違う面を見せたのは興味深い。上野先生の「ユーティリティプレイヤー」という表現はまさにその通り。 スポットが当たった瞬間に「うぉ~っ!!」の大歓声が響く。そこには胸の赤いリボンがキラめくセーラー服姿の可憐な少女が。仲野は『ヤッタルチャン』(スマイレージ)という、とにかく目まぐるしく動き回る曲に振り切られないようにと、必死で食らいつき全力笑顔で歌う。最後はさすがに疲れからか息が上がって歌えない場面もあったが、スキル面では計りきれない、アイドルが頑張る姿の魅力を最大限にパッケージしていた。 高音アイドルボイスで『桃色片想い』(松浦亜弥)を歌い上げた横川は、まさにこの実力診断テストという舞台の真髄を体現している。デビュー当初はまともに歌えなかった彼女が、約3年という時間をかけて培ってきた研修の成果をこの大舞台で見事披露。過去どのテストで聞かせてきた彼女の歌の中で一番の声を聴かせるという、大切なことを彼女はやり遂げた。なお、口を開けば熊井友理奈もビックリの関西おばちゃんキャラも相当磨きがかかっていた模様。 ここからは終盤戦。「研究生一のセクシーを目指した」という島野は、大胆な黒のシースルー衣装に『Crazy 完全な大人』(℃-ute)という楽曲の選択から勝負に出た模様。長い手足を駆使した滑らかなダンスと、切なげな表情は目標通りのセクシーぶり。ただ、時に歌が沈みがちになる場面も。攻めの姿勢は見せきれていたので、今後も突き詰めていってほしい。 研究生最年長、橋本は『抱いてよ! PLEASE GO ON』(後藤真希)を高水準パフォーマンスで披露、沸かせた。この日随一と言っていいダンスは鋭利。圧が効いた力強い歌唱も迫力満点。セクシーさに加え、溌剌とした印象も与えるという稀有な存在だ。 白ドレスに赤いカチューシャという衣装、丸みを帯びた優しい歌声。小野瑞歩は『ロマンティック 浮かれモード』(藤本美貴)で正統派アイドルぶりを余すことなく披露。ふいに見せる柔らかな笑顔は練習したところで身に着かない、彼女の最大の武器だ。 昨年のおっかなびっくりなステージングから大成長を遂げた金津。『インスピレーション!』(モーニング娘。)を自信たっぷりに歌い上げる。途中息切れしてしまう瞬間もあったが、真っ直ぐな歌を懸命に届け、ファンを積極的に煽る姿まで見受けられた。彼女もまた頑張ることの大切さを見事自らの身体をもって示していた。 多くのメンバーがセクシー戦線に名乗り上げた中、一岡も『ガラスのパンプス』(後藤真希)参戦。ただ、彼女の場合は挑発的なセクシーさとは対照的、みつばち先生が「大人の中に優しさがある」と評したようにまろみを帯びた歌とダンスが非常に良かった。彼女のらしさと成長ぶりが見事溶け合った舞台だった。 そしてこの日、オオトリを務めたのは加入まだ4ヶ月。研修生最年少11歳の清野。ドラマティックに歌い上げる確かな歌唱力と表現力。見ごたえ十分なダンス、曲の展開に合わせコロコロと変わる表情と、まさにアイドルになるべくしてなったというべき存在が現れた印象だ。上野先生の「我が軍ドラフト1位がきた」、まことの「松浦亜弥もデビュー前、ここまで出来てなかった」というコメントは最大級の褒め言葉だ。演目終了後も場内のざわめきが収まることはなかった。 投票時間、それぞれの想いを一票に託すファンたち。投票箱の前で逡巡する人が過去どのテストの時よりも多い印象を受けた。それほど実力が拮抗していたことの表れでしょう。 昨年に続きスペシャルゲストとして登場したカントリー・ガールズ、そしてこぶし、つばき両ファクトリーのライブを経ていよいよ運命の結果発表! まずは特別賞からの発表となった。今年用意されたのは特別賞、ダンス、歌唱の三賞。特別賞に輝いたのは、新たな一面を見せた井上が受賞!発表の瞬間キョトンとした表情を見せた。井上は診断テスト初となる2年連続での受賞となった。続くダンス賞は、一番手ながら印象付けた秋山!彼女もまた発表の瞬間は自分が!?と驚き跳ねた。歌唱賞はこれまた序盤ながら強烈なインパクトを残した高瀬が受賞!高瀬は投票数もトップに次ぐ数字を獲得と、高評価を得た。 そしてベストパフォーマンス賞の発表…。今年はなんと1位が同票で二人選出と言う一大事。選ばれたのは笠原と清野!共に若い二人が受賞と、ハロー!プロジェクトの歴史に新たな瞬間を刻んだ。その後、嗣永桃子も「“桃”って名前が付く子は無敵!」と桃仲間に最大級の賛辞を贈る場面も。 受賞者だけでない、この日この場に立った全員が個々の魅力を思う存分発揮していた。ベテランも新人もこの日を境にまた新たな目標も生まれたはず。これから自らが咲かせた花をどう育てていくのか楽しみだ。そして彼女たちの中から新たなヒロインが生まれる。その時を心待ちにしたい。(田口俊輔)