アイドルの限界を超える、ももクロLIVEの魅力
ももいろクローバーZがドームツアー「MOMOIRO CLOVER Z DOME TREK 2016 “AMARANTHUS/白金の夜明け”」を終了させた。 各ドームで大きな盛り上がりを見せたこのツアー。なぜ?ももクロのLIVEはどこも満員御礼なのか? まず、熱心なアイドルファンでも無ければ「ももクロのLIVEってそんなに人気があるの?」というのが素直な感想だろう。同じくドームツアーを成功させるジャニーズグループ、EXILEファミリーやAKB48などに比べると、テレビを含めた露出やタイアップは少ない。 しかし、紛れも無くドームツアーを成功させられる数少ないグループとして、ももクロは人気が高いのだ。この謎を解き明かすのに、「会場に足を運ぶ」と正解が見えてくる。 会場に行ってみてまず驚くのが、他のアイドルの会場では信じられないくらいに、家族連れ、カップルの数が非常に多い。なぜ多いのか?いくつも理由はあるのだろうが、「誰でも楽しめる」というキーワードが見えてくる。この「誰でも楽しめる」は、エンタメ業界では最強のキーワードであり、なかなか実現できないのが現状だ。男性寄りにすれば女性ファンや子供連れは遠のく、女性へのアプローチが強ければ男性は引いいてしまう。男女に受けようとすると中途半端なものになる…そんな越えられない壁を、ももクロはすでに超えてしまっている。 なぜ超えられたのか? 一つは楽曲。初期にはライバルだった他の新人アイドルグループたちと同じく、キャッチーないわゆる「アイドルソング」がメインだった。そこから、アルバム単位で実験をするようになり、時には難解な楽曲をアイドルであるももクロが披露することで持ち歌に深みが増す。今回のツアータイトルにもなっている『AMARANTHUS』『白金の夜明け』も、タイアップ楽曲などキャッチーな楽曲も幾つか存在するが、方向性としてはアイドルのアルバムとしてはかなりアーティスト寄りの実験的な作品だ。アーティスティックな曲を歌うことで、LIVEにメリハリが出来、『行くぜっ!怪盗少女』『走れ!』のようなアイドルらしい楽曲も違った聞こえ方をしてくる。自分たちの楽曲が常に化学反応を起こし、ライブごとに違った聞こえ方をしてくるので楽しみが何重にも増え、開場に足を運びたくなる。 また、その楽曲を5人が生歌で全力パフォーマンスする姿も美しい。ここまで国民的な人気を得ても今なお、進化を続けているももクロには、一筋縄ではいかない楽曲が次々と発表され、時にはLIVEで歌い踊りこなすのは不可能ではないか?と心配してしまうこともある。勿論、LIVEでうまくパフォーマンス出来ないことも見かける。しかし、その後にメンバーがしっかりと楽曲を歌いこなせるようになっている、なんて場面にも出会えてしまうから癖になる。今回の「MOMOIRO CLOVER Z DOME TREK 2016 “AMARANTHUS/白金の夜明け”」でも、上記2枚のアルバムパフォーマンスを終えた後に、一度インターバルVTRを挟んで『OVERTURE』が鳴り響き第二部がスタートする構成となっていた。第二部では、アイドルソングからロック楽曲まで超弩級の盛り上がりソングを連発。この演出でも見られたとおりに、アーティストの側面とアイドルとしての側面を浮き彫りにして、一度で二度も三度もおいしいLIVEにしようとする考えが見て取れる。 楽曲だけでなく、アイドルとしてのももクロメンバーの能力の高さも勿論、魅力の一つだ。今回は、それぞれがピアノ演奏、ギター演奏、タップダンス、フラフープ、ドラムを個人ソロとして披露。こういった挑戦モノ的な「アイドルらしい」演出がしっかりと入ることで、「誰でも楽しめる」度がぐっと上がる。パフォーマンス面でも、ダンス、歌ともにしっかりと成長。サポートする面々はいても、数万人を5人で相手にしているのだから、とてつもないプレッシャーや圧を感じることだろう。しかし、5人の元気いっぱいで大きなダンスは、見るたびに迫力を増している。 かと思えば、MCでは仲の良い5人がまったりとしたトークでなごませてくれる。ビジュアルもぐっと大人っぽさを増し、アイドルとしてのレベルアップも日々進化。そんな彼女たちの姿に、いつしか「親目線」「親戚目線」という特別な感情が自然と湧き、成長を見守らずにはいられなくなってしまうのだ。これも、彼女たちの真摯な気持ちと、真っ直ぐな心がしっかりとLIVEを通じてファンへ届いている証拠だろう。LIVE終了後に、バンドメンバーや様々な参加者を紹介しながら、ももクロファンの愛称である「モノノフ」たちをしっかりと、LIVEを盛り上げてくれた「メンバー」として紹介をした。勿論、メンバーには「言わされてる感」は全く無く、本心からモノノフたちに敬意を表しているのがわかる。こういった言動もファンを掴んで離さない最大の魅力だ。 ここまで、ドームクラスを埋められるアイドルで、様々な「エンタメ」を見せてくれるアイドルも珍しく、その可能性を日々広げている恐ろしい存在が、ももクロだ。 すでに彼女たちは、国内では超大箱と言われる数万人クラスの会場は殆んど制覇し、ファンで埋め尽くしてきた。アメリカツアー「アメリカ横断ウルトラライブ」も発表されたいま、アイドルとしての限界は超えている中でも、アイドルとしての活動に誇りを持ち続けるももクロ。まだ誰も見たことのないような領域へと歩み始めている彼女たちの、今後から目が離せない。 (Photo by HAJIME KAMIIISAKA+Z)