SKY-HI「生きている価値を音楽で証明」最高の一夜を魅せる
今年発売されたシングル『アイリスライト』がオリコンウィークリーランキング2位、iTunesでは総合1位を獲得、“喪失”“生と死”というヘヴィなテーマを掲げつつ、非常にバラエティ豊かな内容となった大傑作アルバム『カタルシス』をウィークリー5位へと送り込むなど、今や日本の音楽シーン最大級の期待の星となったSKY-HI。 そのアルバムを引っさげて2月よりスタートしたライブツアー「SKY-HI HALL TOUR 2016 ~Ms. Libertyを探せ~」。その最終日3月13日、TOKYO DOME CITY HALLでファイナルを迎えた。 開演前、ツアータイトルにちなんで場内にはBGMではなく、探偵ドラマの傑作「探偵物語」の劇中で繰り返される軽妙洒脱なやりとりが流れる。こうした細かい演出からSKY-HIの世界観へと一気に引き込んでいく。 ストリングスの流麗な音が流れ場内は暗転。ステージに垂れ下がった紗幕には『カタルシス』のジャケットとなった都市の映像が映し出される。その奥、一点の光に映されて黒いスーツに身を包んだSKY-HIが登場。OPナンバー『フリージア-Prologue-』が始まると、重厚なサウンドと共に“愛なき時代”に生きることとは、幸福とは何か?というヘヴィな謎かけを投げかける。煌びやかなホーンが鳴り響くと、「君の人生をひっくり返しにきた!」と、フライヤーズ(ファンの総称)にとって馴染みが深い宣誓で『トリックスター』が始まる。総勢10名からなるバンド・スーパーフライヤーズの豪奢なサウンドに乗り、SKY-HIもスタートから爆発的な歌声を響かす。『愛ブルーム』ではSKY-HI DANCERSを呼び寄せ、『スマイルドロップ』では共に華麗なダンスを披露。ラップして歌って踊って、魅せることにこだわったかのような見栄を切る姿、全てが絵になる。まさしくエンターテイナーと呼ぶに相応しい姿をたった20分で魅せつけた。 MCでもSKY-HIは「(端の方が)見えづらいかもしれないけど、君たちの心は俺に届いているから」とサラリとハンサムな言葉を述べれば「見えづらい人は心の中で俺を想像してくれ…だけど、実物はその想像はさらにその上でカッコいい!」との殺し文句も飛び出す。常人ならばただの己惚れにしか聞こえないような言葉も、彼が発すると全く嫌味に聴こえない。先ほどまでの舞台を観ていれば全員が納得せざるを得ない説得力を誇っていたからだろう。 その後も手を緩めることなく『Limo』から始まるダンサンブルな楽曲で構成されたPNZ(Party Night Zone:SKY-HI命名。「ネーミングがダサい!」と本人談)で、飛んで跳ねて叫ぶステージとフロア。息つく暇もなく畳み込まれるパーティーチューンと、今ツアーを持って解禁したコール&レスポンスで、一気に高まっていく場内。気が付けば10曲、約42分はあっという間に過ぎ去っていった。 中盤、「楽しいという感情は尊いし大切にしたい。だってそれは、いつ消えて無くなるかもわからないから」という一言で始まった『LUCE』で、この日のハイライトの一つを迎える。『カタルシス』の核となった、自死という最大の喪失を歌った楽曲をエモーショナルに歌い上げていく。プロジェクションマッピングで映されたシャボンの中にくるまれながら歌う演出が、一層、命の儚さと強さを際立たせていく。先ほどまでの賑やかさがまるでウソだったかのように、静寂が空間を支配した。その後も『Young,Gifted and Yellow』『As a Sugar』とコンシャスな言葉が綴られた楽曲を立て続けに披露。先ほどまでの身体的に楽しい時間とは逆のベクトルである、ジックリとメッセージを届け耳と思考を楽しませるという変幻自在の演出を提供した。まさに圧巻の一言。 探偵事務所を舞台にしたコミカルなダンスパートを経て『Ms. Liberty』で始まった後半戦。彼のフェイバリットであるマーク・ロンソンの『Uptown Funk』に盟友・FIRE HORNSの『VERY BERRY』を織り交ぜた特別ミックス曲『VERY BERRY town Funk』、女性はおろか男もため息をもらすほどの色気を発したスウィート極まりない『朝が来るまで』『Blanket』を立て続けに披露。盛り上がりは加速度を増していくと、丹念に熱を高めていくコール&レスポンスを経て『逆転ファンファーレ』『Seaside Bound』で空気が爆発。左右へと煽りに向かうSKY-HI。ただ、どんなに暴れ倒してもその目はフライヤーズだけを凝視していたのが印象的であった。 「愛と感謝とリスペクトを込めて、錆び付かないメッセージを送ろう。錆び付かないメロディに乗せて」との一言の後に『フリージア-Epilogue-』が始まる。歌い終える直前、「俺はどこまでも全ての君、一人一人に命をかけて向き合うぜ!約束しよう、俺はSKY-HI…君が生きているその価値を、この音楽で証明しよう!」と力強く語り掛ける。SKY-HIはこの瞬間、会場、生放送を観ていた全員に自らがオープニングでの問いかけの答えになるという宣言をした。これほど力強い言葉はない。その覚悟の証明として『アイリスライト』へと繋げる、SKY-HIをSKY-HIたらしめるのは“君”であると。 MCを挟み、5月11日発売の最新曲『クロノグラフ』を披露。「よく生きるとは?」をテーマに別れを愛することを綴った優しさあふれる言葉が印象的な楽曲だ。この日ラストナンバーとなったのは『カミツレベルベット』、「Everything’s gonna be alright(すべては大丈夫になるさ)」という言葉を届け、この素晴らしい舞台に幕を閉じた。 この日、しきりにSKY-HIは「今日が最高の日になれば」と語っていた。その言葉通り、笑って泣けて熱くなれる最高の一夜となった。 夏から冬にかけての全国ライブツアーも決定し、さらには新曲も続々と完成させているという。今年は昨年以上の勢いで駆け抜けていくであろうSKY-HI。 これからも最高の幸せと楽しみを届けてくれることだろう。何よりこの日最後の彼の言葉が全て物語っている。 「これからも応援してくれ。君の選択は絶対に正解させるから、命を懸けて」 (ライブレポ/田口俊輔) SKY-HI ライブ独占生中継『SKY-HI HALL TOUR 2016 ~Ms. Libertyを探せ~』ツアーファイナル