家入レオ「やっぱり音楽好きだわ」ファンと一つになれたツアー初日
昨年発売したシングル『君がくれた夏』が大ヒットを飛ばし、勢いに乗り続けているシンガーソングライター・家入レオ。今月15日で5周年という節目を迎える彼女は、昨年夏以来となる、ライブツアー「LIVE at Zepp 2016 ~two colours~」を2月2日より開催。東名阪の3か所を巡るツアーの初日を飾るステージはZepp DiverCity。平日火曜にもかかわらずチケットは完売。彼女の今の勢いを象徴している。 男女共に幅広い年代のファンでぎっしりと埋まった場内には、期待と熱気が充満。開演時間を迎えると、ゆっくりと暗転。BGMのエルヴィス・プレスリー『ハートブレイク・ホテル』の音が消えた瞬間、空気を切り裂くアコースティックギターの音。ギタリスト一人ずつにスポットが当たっていき、最後真ん中に光が当たるとそこにはギターを掻き鳴らす家入の姿が。デビュー作『サブリナ』をギタートリオで展開するというまさかの形での幕開け。「いい意味での、驚きをお届けしたいと思ってます」と、ブログで今ツアーについて並々ならぬ想いを綴っていたが、まさしくその言葉通りわずか1曲で会場の空気を支配してしまった。その後も間髪入れずに2曲連続で披露。硬軟自在の声を響かせ、であっという間に会場の空気を支配してしまう。 2016年に入ってから初のライブということで、ファンに向けて遅ればせながらの新年の挨拶を行うなど、先ほどのタイトなライブから一転温かい空気が流れるMC。今回のツアーは今までのツアーとは違った雰囲気で届けていくと話す家入。「面白いなぁと思ったのは、自分が作った曲が一人立ちして、みんなの元に届いたら例えば十人の人が聴いたら十通りの解釈があるんだなぁということを、ライブを通して分かった」と語る。そして「真実は一つだけじゃなくて、色んな角度から見たら同じ曲でも変化していくから、音楽っていいなと思います。だから今日は自由にいろんな角度で楽しんでください」とこの日のライブの楽しみ方を彼女自身がレクチャーした。 早春という、物事の終わりと始まりが交差する季節とそこでふと立ち止まってしまう人に向けてと前置きし、『Time after Time』を披露。「繰り返すだけじゃ 明日は変わらない。ここから 踏み出してみる」という優しくも力強いメッセージが届けられた。 その後も緩急織り交ぜて楽曲をノンストップで披露していく家入。中でも、中盤に差し掛かったタイミングで披露した『miss you』『Still』のメドレーは白眉。揺れ動き続ける心の痛みを“僕”の目線で歌う『miss you』で家入は、ステージ上手で仄かに光る青色のスポットライトの下で声を振り絞るように歌い上げる。時折ステージ下手に灯された赤いスポットライトの方を真っ直ぐ見つめ、誰かに届けるかのように歌う仕草を見せる。そして歌い終えると今度は下手の赤いライトの下へと導かれるように移動し、“私”の視点で歌われるラブソング『Still』を披露。この時も家入は青いライトが点る上手に向かい歌う仕草を見せた。ステージの両翼を通じて別々の物語を紡ぐ歌の主人公同士が曲を通じて会話している、そんな一つの物語を観ているかのような世界を展開。今ツアータイトル「two colours」の通り、“2つの色”が混ざり合い一つになった瞬間だ。この瞬間、ファンは微動だにせず、ただひたすら身をゆだねた。曲が開けてのMCで「やっぱり音楽好きだわ」と一言。この一言に彼女の伝えたいことの全てが詰まっていたかのように感じた。 「昨年成人を迎え、まだまだだけど守る側の立場になったわけです。これから大人になっていく子たちに何かメッセージを残したいなと思い、この曲を作りました」と、彼女から新曲『オバケのなみだ』を共に歩むファンへ向けてプレゼント。先ほどまで力強い声を響かせていた家入は、この時まるで子供に物語を読み聞かせるかのような穏やかかつドラマティックな歌声を聞かせ、優しい歌詞の物語へとファンを引き込んでいった。 一足早いバレンタインプレゼントをはさみ、衣装チェンジした家入。バイオリンを迎えての編成で、繊細さとダイナミズムが同居する展開を見せていく。狂おしいまでのセンチメンタルぶりが炸裂した『Silly』では、暗がりの会場に家入の情感豊かな声がスッと溶けていく。昨年21歳を迎え、少し大人になった彼女の姿が垣間見えたような気がした。 ただ、このままシットリとは終われないとばかりに、エモーショナルかつアッパーなナンバーで会場を沸かしていく。手を叩き、時にはクルリと舞ってみせるなど楽しさをこれでもかと体で表現していく。『純情』ではエレキギターを取り出しガムシャラにかき鳴らしまくる。最後は舞台上段からの大ジャンプまで見せた。ファンはもちろん、彼女の姿に煽られるように拳を高々と掲げ、彼女と共にラストまで駆け抜けた。 「レオ!」というコールに導かれ再登場した家入。「なんか出席確認されてるみたい」と彼女らしい返答でスタートしたアンコール。ツアーTシャツを着ているファンを指しては「君はいい子だねぇ」とまるで先生のような彼女の口ぶりに、会場は笑いに包まれる。 この日のラストナンバーは新曲『Hello To The World』。エモーショナルさが炸裂した、アッパーなロックナンバーだ。今楽曲制作にあたり、家入は真っ先に思い浮かべたイメージはライブでファンと一体になる姿だったという。その想像通り、宇宙初披露にもかかわらずファンは力強く飛び跳ね、両手を大きく広げ盛り上げるという最高の形でこの新曲を迎え入れた。家入も応える様にこの日一番力強い声を轟かせ、見事ステージとフロアがとなった。 最高のツアーの幕開けは、最高の2016年の滑り出しとなったはず。この先に控える公演、そして秋に始まる5度目のツアーも全力の歌を持って駆け抜けていくことだろう。 (レポ/田口俊輔、カメラ/田中聖太郎)