バニラビーンズ解散危機は誰が救うのか?
バニラビーンズのニューシングル『女はそれを我慢しない/ビーニアス/lonsome X』が11月18日にリリースされた。今年10月にデビュー8周年を迎えたばかりのバニビがエイベックスから再メジャーデビュー、その第1弾シングルということで鳴り物入りのリリースになることは発売前からわかりきっていたことなのだが、そう喜んでばかりいられない状況に陥っている。そう、ご存知のとおりこのシングルと来年発売予定のアルバムの合計出荷枚数が1万5000枚を超えないと解散させられるというノルマのことだ。 バニビは昨今の「アイドル戦国時代」と呼ばれるムーブメントに突入する前から地道に活動し、現在までのアイドルシーンの変遷を目撃してきた貴重な存在だ。「北欧の風に乗って〜」という初期設定も、最近の頼もしい姉御肌的立ち位置も、レナとリサという組み合わせだったからこそ成立したと言っても過言ではない。これまでに大きなヒットは生み出していないし、一時期は「ロート メンソレータム リフレア D&D」のCMを通じて地上波で目にする機会もあったが、テレビ露出が多かったわけでもない。しかし、数々のアイドルイベントやWEBメディアでの活躍により(またその際に大きな爪痕を残し続けたことにより)、多くのアイドルファンから認知。その結果、いつしか彼女たちに「バニビがいれば安心」「バニビなら間違いない」という妙な安心感を感じるようになっていた。そしてそれが「バニビはずっと続く」という変な自信につながっていたのかもしれない。 バニビにとって解散という言葉は無縁なものだったはずだ。これまで数々の崖っぷちな状況にぶつかってきたにも関わらず……先の8周年の際に「あと2年で10周年か。あっという間だったなあ……」と感慨深く思ったファンも少なくないだろう。それくらい、我々アイドルファンにとってバニビは当たり前のように続く存在になっていたのだ。 もちろん、アイドルにとって加齢という現実は常に付きまとうものであり、同じメンバーで長きにわたり活動を続けることには困難も伴う。そういう壁にぶつかり消えていったグループ、そしてグループから去っていったメンバーもこれまでたくさん目にしてきてきたが、それでもバニビは終わらないと確信していた。メンバーもライブの際に「いつか結婚して子供が生まれても、託児所を作ってバニビをやり続けたい」と言っていたのも大きいし、「バニビがなくなったら、バニビの曲を歌う人がいなくなってしまう」というレナの言葉から感じられた意志の強さもそれに輪をかけていたのだろう。 大袈裟な表現かもしれないが、あえて言わせてほしい。バニビを失うといことは、今のアイドルシーンにとって大きな損失であり、「シーンの終焉」のはじまりを意味するものになるだろう。バニビが存続できないアイドルシーンなんて間違っている、彼女たちの灯す炎を消してはいけない。 そして解散してほしくないという強い思いと同時に、この騒動のせいでニューシングル『女はそれを我慢しない/ビーニアス/lonsome X』が正当な評価を受けないのではないかという懸念もある。改めて言うが、今回のシングルはバニビにしては攻めまくりだ。東京女子流でおなじみの松井寛プロデュースによるダンスチューン『女はそれを我慢しない』、ロックテイストでクールな『ビーニアス』、そして従来のバニビらしさを漂わせるクリスマスソング『lonsome X』とクセの強い楽曲が並ぶ。正直、どれがリードトラックになってもおかしくない仕上がりだ。そんな意欲作がノルマというノイズのためにちゃんと聴いてもらえない、手にとってもらえないのは悲しすぎる。 悪いことは言わない。もしあなたがアイドルソングを好きというならば、ぜひこのシングル『女はそれを我慢しない/ビーニアス/lonsome X』を1枚だけ手にしてほしい。そして楽曲の魅力に、バニビの魅力に浸ってほしい。さらにこの良さを周りの友人知人に広めてほしい。その人がもし興味を持ってまた1枚、このシングルを手にすればいいのだ。そうやって、バニビというアイドルの存在をもっと世間に広めてほしいのだ。 なお、シングルの出荷枚数集計期間は11月末までとなっている。我々が思っている以上に時間がないのだ。この数字はエイベックスのバニビオフィシャルサイトにて随時確認することができる。 (文=西廣智一)