乃木坂46が暴力、性描写ありの過激舞台に挑戦した理由
乃木坂46の新作舞台「すべての犬は天国へ行く」で、「脚本=ケラリーノ・サンドロヴィッチ」の文字を見て驚いたファンも多かっただろう。 ケラリーノ・サンドロヴィッチはインディーズレーベル「ナゴムレコード」を主宰しバンド「有頂天」で有名に。音楽業界に革新を起こしただけではなく、劇団「ナイロン100℃」主宰で演劇でも絶大な人気を得た。 誰もが知るメジャーな仕事をしながら、どこかサブカルチャー文脈の匂いのする彼の作品に、「アイドルの王道」を行く乃木坂46が挑戦をしたのだから驚く。 今回、乃木坂46から参加したのは生駒里奈、伊藤万理華、井上小百合、斉藤優里、桜井玲香、新内眞衣、松村沙友理、若月佑美。全員が乃木坂46の中で演技が得意なメンバーたち。 舞台を見た感想としては、率直に「乃木坂46ってここまで演技ができるんだ」と驚いた。当然、「16人のプリンシパル」や「じょしらく」とアイドルとしては実験的な舞台をこなし演技ができるメンバーが多いことは認識していた。 しかし、今回の「すべての犬は天国へ行く」については、「アイドル乃木坂46の舞台」を楽しむというよりも、それぞれのメンバーが女優としての力をしっかりと見せつけお互い高め合っている姿を見たほうがより楽しめるものとなっている。 特に今回の舞台で目を引いたのが、生駒、伊藤、井上、若月。それぞれが癖のある役柄でありながら、高い水準での演技を披露。特に、生駒は難しい設定の役だが鬼気迫るものを感じる迫真の演技だった。 加え、東風万智子、猫背椿、柿丸美智恵、ニーコ、山下裕子、鳥居みゆきの超個性派女優と共演しながらも、食われることなく全メンバーがしっかりと自分の役をこなし、時には個性派女優たちを食う勢いまで見せた。もはやアイドルの顔ではなく全員がしっかりと女優の顔をしていたのも印象的だった。今回の舞台に関しては、もはや乃木坂46を前面に押し出さなくてもいいのではないかと思えるくらいに、迫真の演技を連発していた。それぐらいに、演技が見所となっている。 今回、ここまで難しい舞台を乃木坂46が選んだ理由は、演技力のあるメンバー達を次の段階に引き上げるために無理をしたように思える。そして、その期待に十二分なほどに答えた…しかも、取材班が訪れたのは初日のゲネプロなので、今後更に良くなるだろうから末恐ろしい。 舞台・演劇を専門的に見ているファンや関係者から見たら、至らないところもあるのかもしれない。しかし、トップアイドルとして様々な活動をしている乃木坂46メンバーが見せる舞台上の演技は、「女優」として活動をしている演者とは違うごちゃ混ぜな魅力の詰まった新しい何かを予感させるものだった。 いままで、トップアイドルグループの一員でありながらしっかりと女優としても評価を受けるアイドルは数少なかったが、乃木坂46からは女優としての評価を上げられるメンバーが、今後続出してきそうなそんな予感がする舞台となっている。 (武田瑠羽)