AKB48で異質な存在!田名部生来の魅力とは
今年も大盛況で終了した西日本最大級の音楽フェス、イナズマロック フェス 2015。 19、20日の二日間に渡り開催され、ロックバンドにお笑い芸人、アイドルと、ジャンルの垣根を超えて熱いライヴが展開された。 そんな中でもAKB48ファンの間で話題となったのが田名部生来の参加。開催地が滋賀県ということもあり、AKB48グループの滋賀出身メンバーであるAKB48濱咲友菜やNMB48上西恵、近藤里奈、内木志などが選抜メンバーに選ばれたが、誰よりも驚きの選抜は田名部生来だったのではないだろうか? 7月にAKB48の出演がアナウンスされると田名部はGoogle+に、「ど、ど、どうせわたしは出れないんでしょおおおおおお!」コメント。こう投稿するのはムリもない。AKB48の3期生メンバーとしてデビューして今年で9年目。そのうち、選抜経験は片手で数えられるほど。 だが彼女は今年、地元での大舞台に立つことが出来た。これにはファンが大きな声を上げた。果ては「ぜひ彼女をセンターに!」との声を西川貴教氏に届ける輩も現れたほどだった。大舞台でなかなかスポットが当たってこなかった彼女だが、決して不満をもらすことなくノビノビ……いや、自由気ままな活動で熱烈なファンを増やし続けて来た。 年々新たなメンバーが加入しては、超加速的に新陳代謝を行い続けるAKB48グループにおいて、田名部ほど特異な存在はいないだろう。 164cmという身長、手足がスラリと伸びたモデル体型の持ち主である田名部。しかし、そんな見た目とは裏腹に、強烈なまでのオタクとして知られている。そのヲタぶりはと言えばアニメ、マンガとテッパンどころを押さえつつ、特撮、コスプレ、ギター、乗馬…と数え上げればキリがないほどの守備範囲ぶり。しかもどれもが付け焼刃の知識ではなく、全て愛あるところから裏打ちされているのだ。 カルチャーの伝道、別冊宝島から【「別冊タナブ島」田名部生来のオタクカルチャー大全】なる本を責任編集として上梓。内容は39年という長い時間に渡る日本のアニメ、特撮史を彼女のコスプレと共に追うというもの。しかし、その中のコスプレ写真もただの「衣装を着てみました」というシロウト感は皆無。徹底した細部への拘りを見せた。プライベートでもコスプレに励む彼女は、ウルトラ警備隊からラーメン屋の店員(!?)と、色気なしのガチコスプレを着こなす。しかもモデル体型の彼女が切るから見栄えもバッチリなのが恐ろしい。 先日には日テレ系「有吉反省会」に相撲好きアイドルとして単独で出演。メンバーの生誕祭を横目に観戦しにいき、果てはその姿がテレビに映されたことを終始ツッコまれることに。しかも、好きが高じて九重部屋の打ち上げに招待されるなど、よりディープな方向へと向かっている。反省どころか最後には有吉弘行に「相撲で売ろうよ」と言われ、活かす方向にまで持って行かせるほどの本気度を見せつけた。 こうした好きを武器に仕事を獲得できるのは、ひとえに愛濃き故。 強烈なオタクぶりもあくまで、彼女にとって一部に過ぎない。その他の部分でも田名部は、らしさを発揮している。根っからの酒好きであることも公言。Google+の投稿では度々愛飲する日本酒と共にほろ酔いの彼女が登場する。現在のチームBメンバー紹介曲である『Bガーデン』での、彼女の紹介パートは「酒を飲ませてくれ ヲタ話でもしようぜ」。アイドルにあるまじき歌詞。アルコール関連のイメージやCM等の仕事をさせないAKB48グループ(SKE48斉藤真木子は例外)において、ここまで潔いほどのオヤジぶりが許されているのは彼女ぐらいだろう。 AKB48 CAFE&SHOP で開催された公式オフ会では、ビールを飲みながらDJをプレイするなど、とにかく自分の好きなことをトコトンやりまくるフリーダムぶり。アイドルに定型があるとすれば、完全にアウトロー。秋元康氏をして「いい加減の極み」と言わしめる。総選挙ポスターには「真面目に、不真面目」、この言葉が彼女の全てを物語っている。 だが決して、ただの自由人というわけではない。劇場での彼女はノホホンとした普段の姿から想像できないほどの姿を見せる。ダンスも長年培ってきた成果を常にはキレがあり、『愛しきナターシャ』のようにハンサムな楽曲でのクールさにはドキリとしてしまうほど。メタルバンド・Galneryusボーカルの小野正利氏に教え込まれたボーカルレッスン以降、声の幅も広がった。こうした劇場にかける真摯な想いもまた彼女の魅力の一つだ。だが田名部は「努力してる姿とか、頑張ってますアピールしてるとことか、他人には見せたくない」と語る。あくまでも自然体に、という彼女らしいスタンスが表れている。 選抜されることが一つの重要な指標となるAKB48の中において、結果が中々ついてこず苦労を強いられるメンバーは多い。田名部も何度も苦い想いを味わったことだろう。それでも自らの“好き”を活用しながらマイペースに満喫すれば、強力な光が当たらずともアイドル人生を楽しむことができるのだと田名部は体現している。 疲弊し消耗されていくことが、ある種運命づけられたアイドル界。その中において、長くアイドルという青春を謳歌していくために、彼女のような生き方は、一つのあるべき形と希望を示しているのではないだろうか。 (田口俊輔)