L'Arc-en-Ciel 大阪・夢舞大橋が虹色に染まった伝説のライヴ(Day 1)
2015年9月21日、22日、大阪の湾岸部にある人口島、夢洲(ゆめしま)での初めてのライヴとなる「L’Arc-en-Ciel LIVE 2015 L’ArCASINO」が開催された。 2日間合わせて10万人を動員し、両日ともに3時間、23曲が演奏された。L’Arc-en-Cielのワンマンのステージは2014年3月の東京 国立競技場公演以来1年半ぶり、大阪では2012年5月のUSJ公演以来3年4か月ぶり。 夢洲は大阪府と大阪市が誘致を進めているカジノを含む統合型リゾートの建設候補地なのだが、その近未来を先取りするかのように、この2日間、ライヴとアミューズメントとが融合したスリリングな空間が出現した。ともかく会場が広い。何から何までスケールがでかい。ライヴ会場の敷地面積は東京ドームの約5倍で、会場内のテントの数は400。 ライヴエリアの他に、カジノ、メリーゴーランド、逆バンジージャンプ、ドリームキャッチャー、ネイルアート、など、ゲームやアトラクションが楽しめるエリアが併設されていて、開演前からお楽しみもたくさん用意されていた。ステージセットも巨大で、ルーレット、ダイス、トランプ、バニーガールなど、カジノにちなんだモチーフのオブジェが使用されていて、遊び心たっぷりで楽しい。 yukihiro、ken、tetsuya、hydeと順に4人のキャラクターがカジノで活躍するアニメが流れて、ステージからメンバーが登場するのかと思いきや、客席の後方からリムジンに乗って、約300メートルある花道を走行しての登場。しかも24万枚のL’ArCASINO仕様の紙幣 ラル札をバラ撒きながら、ステージに乗り付けた。会場が広いということは、ステージから遠い席がたくさんあるということだが、どんな場所からでも楽しめるように、演出も工夫されていた。 1曲目に演奏されたのは『SEVENTH HEAVEN』だった。スケールの大きなこの曲は野外の広大な空間にぴったりだ。この曲でもカジノチップ型特効L’ArCHIP 1万枚が降り注ぐ演出があり。2曲目の『Link』では観客がハンドクラップしたり、シンガロングしたり、早くもステージと客席とが濃密にリンクしていく。『Pretty girl』ではバニーガール姿のダンサーも登場。ダンサーの横で一緒になって腰を振っているのはもちろんkenだった。 「ようこそ、 L’ArCASINOへ! やっと日本に合法的なカジノが上陸した。君たちが最初のゲストだ。いいなあ。夢と欲望の街、夢洲で一攫千金を狙おうぜ!」とhydeが叫ぶと、大歓声が返ってきた。『Blurry Eyes』はトランプやダイスが描かれた巨大風船が舞う中での演奏。『flower』では“空は今にも降りそそぐような青さで”というフレーズのところで、hydeが空を見上げて歌っていた。頭上に広がる空とのコラボレーションと言いたくなるような瞬間がいくつもあった。久々に演奏された初期の曲、『and She Said』は歌詞の中に“道化師”という言葉が登場するのだが、今回はピエロとジョーカーがピアノとティンパニーを演奏するという演出で、ポップでマジカルな空気が漂う世界が出現した。バンドの表現力がこうした曲で際立っていく。tetsuyaのハモりがこの曲に独特の哀愁を与えていた。 「どうなん? もうかってまっか? ラル札拾えた人? いつも自分のためにギター弾いてるんですけど、みんなのために弾いたらどうなるやろうなって。次の曲はみんなのために弾いてみます」とken。その曲、『HEAVEN’S DRIVE』はhydeもギターを持って、バンドサウンド全開。kenのギターソロではいとしさまでもが伝わってくるようだった。この曲が終了したところで、カジノを連想させる音を使った幻想的なSEが流れる中、4人が天井が開きオープンカーとなったリムジンで花道を走行して、客席後方のサブステージへ移動。ここから数曲はサブステージで演奏されたのだが、メンバーと空をとらえた映像も実に絵になっていた。 tetsuyaとkenはリムジンに腰を掛け、青空にオレンジ色が混ざって、夕焼け空へと変わりつつある中での「Wind of Gold」はあたりが夕陽で輝いていて、まさに風も金色といった感じ。hydeの深みのある歌もニュアンスに富んだ演奏もともに見事だった。「夕暮れが似合う曲を聴いてください」という言葉に続いての「ALONE EN LA VIDA」では無常感漂う演奏が風に乗って深く染みこんできた。yukihiroの表情豊かなドラムも体の奥深くを揺らしていく。「tetsuyaさん、気持ちいいですか?」とhydeが聞くと、「気持ちいいですね」とtetsuya。さらに「ユッキー、気持ちいいですか?」と聞くとyukihiroがお辞儀で表現。hydeがサブステージに連れてきた白いオウムの人形に話しかけたり、腹話術風なやりとりで笑いを誘ったり。リラックスしたなごやかな空気が漂っていた。しかも空は絶景。4人ともこの特別なシチュエーションの中で演奏することを楽しんでいるようだった。5万人が一緒になって夢洲で“夢を描くよ”と歌った『MY HEART DRAWS A DREAM』は格別な体験となった。 ピエロたちのパフォーマンスによって、会場内にウェイヴが起こる。ピエロが大きなバーを引くと、ステージ上のLED画面に映し出されたスロットが回り出して、図柄が揃うと、後半がスタートするという趣向の演出もあった。その後半の最初の曲「trick」ではポップアップで4人が宙に跳びながらの登場。マジックショーを彷彿させる演出だ。しかも4人全員がギターを激しく弾いている。音楽的な遊び心があるところはL’Arc-en-Cielならではだ。『REVELATION』はhyde以外の3人がパーカッションを演奏している。ピエロたちが担いでいる輿の上でのhydeのコールに観客も応えていく。この曲が終了すると、ステージの左右のルーレットのセットが開いて、ステージ後方のスクリーンがワイドになっていく。そのスクリーン全面にビル群が映し出されて、「CHASE」へ。日も暮れてきて、照明を使った演出も全面的に展開されて、ダンサーも登場。ライヴはさらに加速していく。 『X X X』ではhydeの妖しい歌声が会場内を酔わせていく。夢洲は人工島だが、会場内から海は見えない。が、『TRUST』ではスクリーンの全面に海が広がる中での演奏。tetsuyaの深みのあるベースが海の青に映える。「夏っぽいシングルをリリースして、本番に挑みたいと思っていたんですけどね。せめてですね、今日になってしまったとしても、新曲を聴かせてあげられないものかと。L’Arc-en-Ciel、頑張りました」というhydeの言葉に歓声と拍手。 この夢州で初披露された新曲『Wings Flap』は力強さとせつなさとが共存するエモーショナルなナンバー。ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムが存在感を放ちながらも、絶妙のバランスのバンドサウンドを形成している。“I wanna fly high”と歌われるように、アグレッシヴな意志も伝わってくる。終演後にはこの曲がニューシングルとして12月23日にシングルリリースされることも発表になった。 後半は『Caress of Venus』『Driver’s High』など、たたみかけていく展開。メンバー4人の思いがダイレクトに伝わってくるような白熱の演奏に会場中が熱狂していく。tetsuyaのベースソロで始まった『STAY AWAY』ではマスクのダンサーも登場して、にぎやかに派手に盛りあがっていく。ステージの上部に設置された“ L’ArCASINO ”の電飾も点滅している。高精度のLED画面もいいけれど、カジノと言えば、やはり電飾がギラギラ光り輝くイメージがある。『READY STEADY GO』では躍動感あふれるワイルドな演奏に会場が激しく揺れた。kenとtetsuyaがyukihiroを見ながらのフィニッシュ。花道の先まで行っていたhydeは曲が終わった瞬間に、ステージまでたどりつけず、花道の途中にいた。300メートルの花道はやはりかなり長い。yukihiroとkenが即興でセッションを始めて、hydeに戻るように促している。「走れって?」と言いつつ、走って戻って倒れ込むhyde。「みんなの声がないと、立ち上がれない」と言うと、すかさず観客の大声援が後押ししていく。印象的だったのはhydeのこんな言葉だ。 「こんなとこ来たら、一生忘れへんよな。これからこの場所がどうなっていくのか、僕は知らんけど、きっと素敵な街になって、みんな、遊びに来ると思うんですよ、その時、友達に自慢してください。“まだここ更地やったんやけど、すげえ伝説のライヴがあったんだよ”って」 その“伝説のライヴ”の最後を飾るのは『あなた』だった。イントロでステージ背後に見えていた夢洲と舞州を結ぶ夢舞大橋が虹色にライトアップされると、「えー! うそでしょ!」という声があがって、会場内が一瞬、ざわめきに包まれた。最後の最後にもマジックがあったのだ。全員がひとつになってシンガロング。終演と同時に夜空を花火も彩っていく。青空や夕焼け空や夜空とともに、とびきりの歌と演奏があった。この夢洲で一攫千金以上に未来への糧となるもの、かけがえのない思い出を手にした夜となった。 カメラ:今元秀明、緒車寿一、加藤千絵、河本悠貴、田中和子、三吉ツカサ