A9 復活ライブ! Re:birth-飛翔- at 豊洲PIT
“必ずココ(=ステージ)に戻ってくるから”――将 という言葉を残し、2014年8月23日、富士急ハイランドコニファーフォレストのライヴ以降、我々の前から姿を消したA9。 いや、正確にいえば去る8月5日に行われた“V-NATION”のトリを務める形で5人揃ってステージに立ってはいた。しかしそれは本格的な再始動というより、あくまでも序章だったのかもしれない。というのはバンド沈黙後、ネットで公開されてる新曲がメニューに組み込まれることはなかったからだ。そう考えると今夜のステージがA9にとって新たなスタート地点といえるだろう。 『PRAY』(2015年8月23日発売、START-UP EP『銀河ノヲト』収録曲)がSEで流れる中、ステージを覆う白い幕に沙我、Nao、虎、ヒロト、将の順でシルエットが映し出される。その度に“ワーッ!”と会場から沸き上がる歓声と拍手。そして『Phoenix』のイントロの攻撃的なリフが流れると同時にプロジェクションマッピングでメラメラと燃えさかる真っ赤な炎が幕に映し出され、まるで焼け落ちるかのように幕が落ちる。すると、そこに現れたのは純白の衣装に身を包んだ5人。その瞬間、沸き上がる歓声、再会の喜びが一気に吹き出す。音源リリースは本ライヴと同日、当然のことながらライヴでは初披露になるのだが、今春、活動再開の狼煙(のろし)を上げるようにネットに公開されていただけに、ファンの身体にもすっかり染みついているのだろう。新曲かつライヴ初っ端にもかかわらず、さながらライヴ定番曲のような盛り上がりに。「準備はいいかい?」と将が一言煽って『RUMWOLF』『Daybreak』と人気ナンバーをたたみかければ1年間の空白は埋まったも同然。 “まずはキミたちに、ずっと言いたかった言葉を言っていいですか? ……ただいま”(将) 間髪入れず“おかえり!”の声と拍手が会場から沸き起こる。中には泣いているファンの姿も。 “いろんなことがあったけど、会いたかったぜ! もう今日は俺たちの身体がぶっ壊れるまですべてを解放していくから、お前らもすべてを俺らにぶつけてくれ! いいか?”という将の煽りに続いて『百花繚乱』『道化師』(『銀河ノヲト』収録)、『闇ニ散ル桜』と新旧織り交ぜたメニューで中盤戦を展開――と記すと、ここまではメニューに新曲があること以外、通常ライヴとさほど変わらないかもしれない。ところが『ハイカラなる輪舞曲』の途中、メンバー紹介を折り込むセクションの後、ステージが暗転したかと思ったら再び明るくなったステージにはDJブースに立つ将の姿が! ターンテーブルを巧みに操りEDM(=Electronic Dance Music)で観客を踊らせる将。そこへ虎を呼び込みバトンタッチ、打ち込みのトラックに合わせてエッヂの効いたギター・プレイを存分に披露、続いてバトンはヒロトへと渡され、往年のELP(=エマーソン・レイク・アンド・パーマー)を彷彿させるようなサイケデリックで幻想的な世界観をギターで表現。新曲『フリージアの咲く場所』の演奏を挟んでの沙我とNaoはリズム・セッションでは沙我がフロアタム、スネア、シンバルの3点セットでラテン風リズムを叩き…とソロ・コーナーで魅せる。こういった新たな試み、メンバーそれぞれの進化は沈黙の1年間、彼らが音楽と向き合い挑戦し続けてきた証ではなかろうか。 後半戦は『銀河ノヲト』から『流星群』『Spiegel』『銃弾』、ライヴ定番曲『RAINBOWS』などを演奏。本編最後の『開戦前夜』の歌詞にある♪情熱を燃やしている花 冷静を装いながら~♪の一節は今のA9の心境とリンクして…いや、彼らは冷静を装い切れてなはいなかった。ステージに立てる喜び、感情の高ぶり、熱き情熱は歌声、音、動きの1つ1つから溢れ出してしまっていた。 “アンコールどうもありがとう。今の最高のお前らにピッタリな曲をやっていいですか?”と将が言って演奏したのは『Heart of Gold』。自然と手拍子が沸き起こりビートに合わせて拳を振り上げジャンプ。このハッピーな空気感もA9らしいライヴの特徴の1つ。 “本当にありがとう。【今日】っていう日を待ち望んでくれていた気持ちが、みんなからスゴく届いていて俺らは本当に宇宙一幸せだなって思います。なんか…ここには何も無駄なものなんてなくて、みんなが1人1人がいてれたからこそ、俺たちはこれからも歩いて行けます。たくさん心配かけちゃったけど、これまでありがとう。これからも付いてきてください。言葉で語り尽くせないんで今の気持ちにふさわしいこの曲を”(将) そう言ってオーラスに演奏した『すべてへ』。将の呼びかけで、会場にいるみんなが一斉に歌い出す。最後のフレーズ♪ずっとそばにいるよ♪は今の彼らの気持ち、1年間の空白に対する償い、未来への誓い…そんなふうにも受け取れ、ずっしりと心に響く。演奏の余韻の中、歌い終えた将も神妙な面持ちで手で顔を覆い、しばらくうつむいていたが、最後は笑顔でステージを後にした。 こうして1年越しの再会を果たしたA9と九組(=ファン)。今宵、ステージに舞い降りたA9という名の不死鳥は再び大空へ優雅に翔び立った、彼らを応援するファンのみんなと夢と希望を翼に乗せ、もう羽を休めはしないという誓いを胸に。 <文・増渕公子>