V系音楽の原点EX-ANSとは?
その人が触れた時代と熱狂したバンドによって、そのジャンルを好きになった印象が植えつけられ、その人の「ルーツ」になっていくのは、何時の時代も変わらないこと。 そのときに熱狂したバンドのことを深く探ることで見えてくる、それぞれのアーティストの音楽的なルーツ。その音楽にも触れることで、初めて好きになったバンドの音楽性の源を知れる。それを知ることが、そのバンド自体を深く理解出来たことにも繋がるように、そこが楽しかったりもする。 あなたはヴィジュアル系という言葉のルーツを探ったことがあるだろうか??。きっと、諸説いろいろ出てくれば、いろんなバンド名がそこに連ねられることだろう。ヴィジュアル系には…いや、このジャンルの雛型が登場した90年代前の時期には、まだ「ヴィジュアル系」という言葉さえ存在していなかった。当時は、「黒服系」「お化粧系」と呼ばれていたことを記憶している。その当時まで遡ると出てくるであろうバンド名が、今に繋がるヴィジュアル系のルーツになっているとは想像がつく。 “様式美を掲げたハードロック/ヘヴィメタル”などの音楽性から派生したX(後のX JAPAN)。”メロディックなパンク色”を色濃く押し出したCOLOR。そして、この2バンドに続く、”耽美で激しい音楽性”を描いたLUNA SEA。もちろん、彼らがヴィジュアル系というルーツの礎を作ってきたのは間違いない。ただし、そこにはヴィジュアル系を語る上で必要な要素が欠けている。それが「耽美/妖艶/ゴシック/メロウ」(耽美ゴス)というスタイルだ。先の要素を失くして、ヴィジュアル系の美学を語るなかれ。今で言う「病んでいる」要素の源泉は、そこにある。 LUNA SEAの登場以降、流れは大きく変わったが、その前までのヴィジュアルシーンと言えば、ハードロック/ヘヴィメタルシーンからの流れが主流であり、パンク色を押し出していた勢力が台頭していた。そんな中、当時で言うポジティブパンクシーンの流れ(このシーンこそヴィジュアル系の根源となるところ)を受け止めながらも、「耽美/妖艶/ゴシック/メロウ」を独特の美学を持って昇華したバンドが、このシーンに姿を現した。それがEX-ANSだ。 ヴィジュアル系を語る上で必要不可欠である、日本人の琴線を嬉しく揺さぶる「耽美」という音楽的な美学。むしろ、この「耽美」を描けないバンドは、ヴィジュアル系というレールに乗れてないと断言しても、あながち間違いではない。 先に上げた「耽美/妖艶/ゴシック/メロウ」な要素を形作ったのがEX-ANS…と、ここまでの流れを読んだ方は思うだろう。そうではない。EX-ANSが、自身の中に描き出した「耽美/妖艶/ゴシック/メロウ(耽美ゴス)」な音楽性が、結果的にヴィジュアル系の雛型になったのが正解だ。 そのEX-ANSが、10月10日に20数年ぶりの沈黙を破り、最盛期のメンバーで一夜限りの復活を果たす。それは、どういう意味を持つのか?!。そう、ヴィジュアル系の原点というスタイルが、現代に甦るということだ。俄かでも、根っからのでも、理由は何でもいい。あなた方が熱狂しているヴィジュアル系という音楽の原点を、一夜とはいえ、体感出来る機会が生まれたのだ。理屈や屁理屈をこなす知ったかぶりのヴィジュアル系好きな人らよ、まずは、原点を知りなさい。それを体感したうえで、みずからの理屈を論じなさい。 チケットは、8月8日より発売。理屈をこねくりまわす前に、まずは「君たちの好きになった音楽」の源流を体現しようではないか。それを味わったうえで、あとは、ふたたび自由に諸説を語り尽くせばいい。 伝説の扉の鍵は解かれた。その扉も、間もなく開こうとしている。あとは君らが、用意された宴の場へ乗り込むだけ。そこできっと知るだろう。ヴィジュアル系という音楽の美学がどういう意味を持っていたのかを…。(TEXT/長澤智典)