時をかける透明感に心酔 原田知世『恋愛小説』ツアー・ファイナル
今年3月にリリースした洋楽カヴァー・アルバム『恋愛小説』が好評の原田知世。富山・名古屋・大阪・東京の全国4か所で開催されたアルバム発売記念ツアー「原田知世 LIVE TOUR 2015 “恋愛小説”」も、全公演がソールドアウトとなった。 そのツアー・ファイナルが、6月6日(土)に東京:EXシアター六本木にて行われた。 開演時間を少しまわったタイミングで、バンマスを務めるギタリストの伊藤ゴローとともにバンド・メンバーがステージに登場。今回のバンドは、SOIL&”PIMP”SESSIONSのみどりん(ds)や東京ザヴィヌルバッハ/dCprGの坪口昌恭(key)、TRI4THの織田祐亮(tp)や藤田淳之介(sax)など、ジャズ系ミュージシャン中心の7人の強力なメンバーで構成されている。 1曲目の『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』のイントロがはじめると、白のワンピースに身を包んだ原田知世がステージに登場。場内から大きな拍手が巻き起こった。つづくレナード・コーエンのカヴァー「イン・マイ・シークレット・ライフ」では、ソプラノ・サックスの美しいソロをバックに情感漂うしっとりとしたヴォーカルを披露し、観客を魅了した。 ステージでは、新作『恋愛小説』収録の英語曲以外にも、『ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ』や『くちなしの丘』といった代表曲、学生時代に地元・長崎で愛聴していたという原田真二『キャンディ』のカヴァー、そして昨年リリースのオリジナル・アルバム『noon moon』からも披露。 MCでは、「昨年のnoon moonのツアーでは素晴らしいバンド・メンバーとも巡り合えて本当に楽しかったのですが、その直後に『恋愛小説』のお話しをいただきました。まさかこんなに早く皆さんにお会いできるとは思っていなかったので、とても嬉しいです」と観客に語った。 中盤、バンドのインスト・ナンバーをはさんで、今度は赤と黒のシックなワンピース姿で再びステージに登場。東京公演のみのスペシャル・ゲストである伊藤彩率いるストリングス・カルテットも加わって、新作から『イフ・ユー・ウェント・アウェイ』『恋の面影』『夢の人』の3曲を歌った。豪華な演奏をバックに、歌詞の世界に入り込んでその主人公を演じるように歌う姿は、まるで映画のワンシーンのようで、間違いなく本公演のハイライトであった。 アンコールでは、もう一人のスペシャル・ゲストであるtico moonの吉野友加のアイリッシュ・ハープと伊藤ゴローのギターとの3人で、エルヴィス・プレスリーのカヴァー「ラヴ・ミー・テンダー」を披露。場内が心地良さ100%の空気に包まれた。再びバンド・メンバーがステージに戻り、「ドント・ノー・ホワイ」。新作では作者のジェシー・ハリスとのデュエットだったが、ここでは原田知世のソロ・ヴァージョンで聴かせた。またMCでは、今回のツアーの追加公演を9月27日(日)にブルーノート東京で行うことが発表された。 ダブルアンコールでは、伊藤ゴローとふたりでボサ・ノヴァ・アレンジによる代表曲『時をかける少女』を披露。いつまでも変わらない、透き通るようなやさしい歌声に会場全体が酔いしれた。 Photo by Kentaro Minami