李香蘭“幻の音源”2曲収録アルバム発売
戦後70年である今年、李香蘭(山口淑子)が吹き込み、お蔵入りとなっていた『雲のふるさと』『月のしづく』の2曲の音源が、古賀政男音楽文化振興財団所有の古賀政男の遺品SPの中にあることが確認され、4月29日(水)発売となる『伝説の歌姫 李香蘭の世界』に収録される。 また、本作品は初のCD化となる李海燕と共演の『迎春花』のほか、多くの曲を最新技術で音質改良して収録し、大女優であり大歌手、李香蘭(山口淑子)の代表曲・貴重作品47曲を収録した、2枚組の永久保存盤となる。 『雲のふるさと』『月のしづく』の2曲の存在はオフィシャルな記録から抜けていて、確認した当事者の方も亡くなり、発見時に同席した音楽史研究家郡修彦氏の記憶の中だけに埋もれていた。このたび山口淑子さんの逝去により、その歌の記録が企画編集されることになり、あらためて確認され日の目を見ることとなった。 録音は昭和19年11月10日で、これが戦時中、李の日本での最後の吹き込みとなった。この時期、レコード原材料も不足で、軍部の意向にそった作品でさえ、レコードが発売されたか否か判らないものがある。 ただこの曲の記録欄には、他にほとんど例の無い、発売しない理由が『作詩不良のため発売不能』と特記されている。この1年前に映画『あの旗を撃て』主題歌として伊藤久男が歌い発売されているはずの曲であり、同じ歌詩であることから何故の感もあるが、伊藤盤がさほど普及していなく、検閲する軍部からなにがしかの注意があったのか、コロムビア自体が自粛したのかは不明。 この作品のような覚悟の抒情歌も厭戦的な情を喚起する面もあり、それを否定的に捉えたか3番(このバージョンでは2番の)『すめらぎに 捧げたる身の 死にてよと 汝は言わずや』1番の『ますらおの われというとも 故しらず 涙落つるを』は表現として許容範囲外となっていたことなのだろうか。多くの青年の心をつかんだが故、時代を代表する詩人だった大木惇夫の作品といえども、“不良”と認定せざるを得なかった、そんな戦局が背景にあったのだろう。 『伝説の歌姫 李香蘭の世界』は 4月29日(水)発売。 日本コロムビアのオフィシャルページでは、『雲のふるさと』『月のしづく』の試聴もスタートしている。