東京女子流「アーティスト宣言」の本音を仕掛け人に聞いた
東京女子流が1月5日発表した「アーティスト宣言」は様々な憶測と波紋を呼んだ。急遽、生放送でメンバーも同席の上で説明がされたが、全貌は明らかになっていない。 そこで担当A&Rであり東京女子流の仕掛け人である佐竹義康氏に、あの日語りきれなかった言葉の真意、そしてアーティストとして姿勢を整えた東京女子流のこれから目指す未来について、1時間にも及ぶインタビューをお願いした。 ―1月5日のアーティスト宣言から2週間経ちました(1月19日取材)。現在までにどういった反響が届きましたか? 佐竹昔から応援していただいているファンの方々は「特に変わらないよね」という声を届けてくれました。少しでも女子流を応援してくださる方々からも「状況的にこの発言もあり」という声が多かった気がします。ただ「強いて言うなら、握手会がなくなるのは寂しいです」という声はありました(笑)。一番ザワザワしていただいたのは、東京女子流を知ってはいるものの、そこまで興味がない方々のような気がします。例えば「もっとやることあるだろ!」「そもそもアイドルだってちゃんとできてないだろ!」という反応が多かったですね(苦笑)。予想していなかったところでは、周りの業界の人もあの放送を見ていたようで、私の昔の上司には「放送見ちゃったよ。大変な決断だっただろうけど頑張ってくれ」なんて言ってもらったり。イベント等でお付き合いのある方々からは、アイドルイベントに出ないのであれば、こういったイベントはどうですか?と提案してくださったり、というありがたい反応もいただきました。まとめてしまえば賛否両論です(笑)。 ―あの時の放送では「ライヴの本数が減ってしまうかもしれません」とも発言しましたが、結果違った形で、今まで通りライヴができる環境になりそうだと? 佐竹ライヴを沢山やりたいな、と思ったら出れる環境がありそうです。実際、アイドルイベントは毎週の様にいろいろありますので、同じようなペースではライヴができないことを考えると、以前よりは少なめににはなるかなと。 ―今回の発表は、「アーティスト宣言」という言葉にして所信表明したことからみんな驚いたと思います。過去にこのように宣言したアイドルは、殆んどいませんでした。 佐竹確かにいなかったですね。実際に言ってる中身はそこまで大々的なことではなく、むしろ女子流がこれから向かう未来のための、戦略的な区切りつけをわざわざ「アーティスト宣言」という大それた名前を付けて説明しただけですからね。別に、アーティストになるという宣言をしなきゃ!というわけではなくて、戦略を説明するにあたってちょっと刺激的な言葉を選んだだけで して(笑)。 ―例えば、アイドルフェス等に出演しないというお話は、徐々に減らしながらスライドしていく方法もあったかとは思うんです。 佐竹何も言わずに移行していくより、あらかじめ言ってしまった方が色々と話が早いなと思って。女子流がアーティストを目指すという意識の表れを、今のファンの方にはもちろん、これから彼女たちを知る方々に伝えなければいけないので、移り変わったという過程があった方が歴史を遡った時にわかりやすいと思ったんですよ。「あっ、女子流はここで切り替えたんだ」というのを将来のファンに気づいてもらえる、ターニングポイントを作ってしまおうと。誰かのブログを探らないと分からないよりかはいいじゃないですか(笑)。 ―なるほど(笑)。当面の「楽曲封印」に関して伺います。あえて『おんなじキモチ』『頑張って いつだって 信じてる』の2曲のタイトルを掲げた理由はなんでしょう?他にも女子流さんにはアイドルらしい楽曲があります。 佐竹こう宣言することで、これから女子流のステージでの姿勢やセットリストに対して注目度が高くなると思うんです。歌い続けることで、その変化を見せる方法もあるんじゃないの?とは言われたことはあります。でもそこで『おんなじキモチ』『頑張って いつだって 信じてる』を続けて披露していたら「まだこの曲を歌っているのかよ」と叩かれるのは目に見えてますし、またそこで披露したことについて、説明をしなければならなくなるなと思ったんです。なので、1回切り替えてしまおうとスタッフで話し合いました。昨年冬の渋谷公会堂ワンマンでは匂わせたんです、夜の部で披露しなかったりと。 ―それでも、ちゃんと女子流としての世界観を提示できたわけですから、必須というわけでもないんですよね。 佐竹ワンマンではそこまで披露してませんでしたからね。でも最初から10年後も歌い続ける楽曲制作を目指していると言った通り、完全に封印するというわけではないです。また、彼女達が目指すべき自分たちのライヴが出来たという自信を持てるようになった時には、きっと披露すると思います。それに放送でも言いましたが『A New Deperture』のような楽曲もあります。新曲や今までの楽曲で新たな盛り上がりを作り出すことが、今は大切だと思います。 ―今後リリースイベントがシンプルになると仰っていたので、具体的に佐竹さんの考えるシンプルな形とは言葉にするならばどういったことでしょう? 佐竹CD売り上げの数字を増やすための、事前販売での握手会といった積み上げ施策は止めようと考えています。つまりは、数か月後に控えるまだ見ぬ握手会のために、今のCDを買ってもらうというパターンは止めます。でも、発売記念のリリースイベントをオープンペースで開催する時には、何らかの形で交流の場を設けようとは考えています。 ―楽曲に関して、3月発売のシングルから山邊未夢さんが作詞に挑戦されたりと、本格的にメンバーが制作に入られますね。たぶん、今まで以上にファンからのメンバーに対するハードルが上がっていくような気がします。プレッシャーも相当なものかと。 佐竹そういう状況はいいと思うんです。過去の作品と比較されるのはアーティストとしては当たり前ですからね。ただメンバー自身はプレッシャーはあまり感じてないようです。山邊さんは「期日までに書きあげる」ということでプレッシャーはあったと思いますが(笑)。それに楽曲制作に関わっていくと言っても、いきなり「はい、曲作って」という話ではないですから。楽曲の作り方を変えていこうよ、と自分からは言ってます。今までは曲を決めて、そこから松井寛さんがアレンジをして、歌詞を書いて、パパッ!とメンバーの元に届く。みんなプロフェッショナルなので、2週間くらいで曲は完成させることもできたんです。メンバーとしては気が付いたら楽曲ができていた、という状況だったんですよ。そうなると、5人は曲制作の外にいてしまうので、どうしても楽曲についての愛着や意識が浅くなってしまうんです。アーティストは、自分が歌う曲について思い入れが深くあり、その曲について説明ができるということが一番大切だと思うんです。それは彼女達にとってもそうです。そうでなければ、これから曲を歌って踊って届けていく際に、気持ちを伝えきることはできないだろうと思います。今後、メンバーと共に、このスタッフにする、こういうアレンジになった、もう少し手直しする?というのを話し合いながら、ゼロから曲が作られていく過程を経験してもらおうかなと思って。ちゃんと自分たちの手で作っているんだよ、という意識を持たせることから始まると思うんです。 ―今までレコーディング等の現場で、メンバーの方々から意見が挙がったということはありましたか? 佐竹私が、観てきた限りではなかったです。なんせ、小学生の頃からのスタートですから…。はい『キラリ☆』、次は『おんなじキモチ』と、用意されたものを歌っていくことに手いっぱいでしたから。 ―今までは1年に1枚のアルバムリリースペースでしたが、メンバーを交えて曲作りに熟考を重ねるとなると、今後作品の発表はゆっくりになるのでしょうか。 佐竹まだまだ走り出した状況なので、これから分かってくることかな。とりあえず3月発売のシングルとベストアルバムで一区切りになります。その先のリリースはどうしても時間は空くと思います。やはり2、3週間で曲を作ろう!という形ではなくなりますからね。なので、半年間くらいはかかるかな…。どうしても曲が完成しないことには、リリースの編成が組めないですから。今までは発売日を決めて、そこに向けて楽曲をバッと作れてましたが、それはさすがに今後は難しくなるでしょうね。 ―よくある「待望の1年半ぶりのリリース!」という形もありうると。 佐竹さすがにそこまでは(笑)。バリバリ作っていきますよ。ただ、制作期間からリリースまで時間を有してしまうことになるのは、ご了承していただければ。 ―楽曲に関しては180度変わってしまうのでは?という危機感がファンにとっても不安な部分だと思うんです。 佐竹ガラッ!とは変わらないですね。制作陣もメンバーも、同じ一点を見てやってきたわけですから。もしかしたら、メンバーから「こういう曲を作りたい」という要望が来た時に、松井さんじゃない方に頼もうか?みたいな形があるかもしれないです。でもメンバーたちも「松井さんあっての女子流」だと思ってるので。たぶん自分以上に、思っているかもしれません(笑)。 ―「BoAが5人いるようなグループ」と仰っていたのは、どういった意図でしょう? イメージとして女子流とBoAが結びつきにくいことで、混乱をしたファンもいたようです。 佐竹あれはスキル面に関しての話として受け取っていただければ。パフォーマンススキルに関して、BoAは完成形みたいな人ですから。なのでサウンド面や、彼女の姿勢、というわけではないです。技術が全然追いついてないぞ!という声も届きましたが、色々言ってくださる方々に、最終的には認めてもらえるようなグループになっていけばいいんじゃないかと思うんです。そこがBoAを目指す、という部分に表れたんだと思います。高みを目指さないことにはアーティストと呼べないですから。 ―メンバーの方々から、今後のヴィジョンについての意見などは、上がっていますか? 佐竹ライヴ作りに関しては本人たちもヴィジョンがあるみたいです。先日開催した川崎CLUB CITTA’公演でのノンストップライヴに関しては、私はただただ話し合っている状況を聞くだけで、メンバーが自主的にやってました。手ごたえを感じたのか、その日のMCで「またノンストップでやっていいですか?」と言ったぐらいですからね。今は、その意識を持続してもらいたいです。 ―これからはいわゆる“アーティスト”と呼ばれるミュージシャンと鎬を削っていかなければいけなくなるわけです。数多の中で、埋もれていかないように、女子流が差別化しなければいけない部分はどこだと考えてますか? 佐竹たぶん、楽曲を発表する戦術や打ち出し方を、これからはもっと深く考えていくことになると思います。ミュージシャン、アーティストと呼ばれる方たちが、その確固たる世界観を築いた曲や、あえて世界観から外れた曲を出すときは、その曲の説明をしっかりと打ち出して世に届けていると思うんです。なので、女子流がどういうアーティストグループなのか?というのをもっと言葉にして伝えていけるようにしていかないといけないです。今までならば“ダンス&ボーカルグループ”という非常にザックリした説明のグループ説明でした。アイドルファンの方々は懐が広いですし、耳が肥えているのでその限定した世界にすんなりと届けることができました。しかし、実際は音楽に興味のない方もいますし、“ダンス&ボーカルグループ”と言っても、非常にたくさんライバルもいる。もっと具体的に発表していかないといけない。ならばこれからは、東京女子流とはこういう子たちが、こういうサウンドを歌うグループなんだ、というのを毎回明確に打ち出していかないといけないと思うんです。だから、中身がというよりは外へ向けた戦略をより繊細にやっていこうかなと思います。そのためには先ほど話したように、メンバーと楽曲の一貫性がないといけないので、これからメンバーと共に制作していかなければなりません。 ―今までの5年間は、これから始まる東京女子流の準備期間だった感じですね。 佐竹やっとメンバーも考えられるようになり、スタッフと対等に話せるようになってきたわけです。これからは、その考え方を教えていくとか、これから先の展開を相談しあったり積極的にメンバーへ働きかけます。なるほど!とメンバーが納得し、そこから5人が試行錯誤していくことをやっていきたいです。 ―例えば、海外のアイドルと言われるグループ…ワン・ダイレクションや古いところではスパイス・ガールズなどは、グループでありながら個々での技術を高め、そこからソロ等での活動を繰り広げ大活躍しています。ゆくゆくは個々の活動を展開していくのもありだな、とは思いますか? 佐竹そうですね。「アーティスト、と言うよりはミュージックスター」という言葉を使ったかと思いますが、それは海外のアイドルと呼ばれる人たちをイメージしての発言です。アイドル?アーティスト?という議論をするのは、日本だけなのかなと思うんですよ。海外は境目がすごくいい意味でユルくて、本人たちは個々で、本格的に音楽に向き合っていたり、演技に向き合ったりとしている中で、たまたま強いアイドル性があったという話じゃないですか。根本的には彼女たちには、技量を持ちながらも華やかであり、夢を持ったそういう個人でいてもらいたいし、その子たちが集まることでさらに輝くグループになってほしいです。 ―アーティストが上、アイドルが下、という風に捉えたファンもいたと思いますが、そうではないんですよね。ただ、このままでは「アイドル」としての要望には応えることができそうにないと。 佐竹はい、もっとこれから自分たちがやらなければいけないことに、時間をかけよう!ということです。求められることはもちろんありますが、私たちが発信したいこともあります。要望ばかり聞いてしまうと、また同じ1年を繰り返してしまうと思ったので、覚悟を決めたならしっかりと貫こう!という話なんです。今はただただ、昔から言っていたことの先々の時間をちゃんと整理していこうというだけです。5年後、10年後を見据えるなら今のうちに作り上げなければ間に合わないですから。 ―例えば、以前は武道館といった目標を見据えての活動が展開されていたかと思います。今、その先々を見据えるにあたり、女子流の目指す未来のあるべき姿はなんだと思います? 佐竹う~ん…ないです!(笑)。2015年はとにかく、今を整えることに手いっぱいになってしまうでしょうしね。今言える近々の未来としては、次どういう作品を世に送り出して、その世界観を見せていけるか…それを楽しみに待ってもらうということになるのでしょうか。少なく見積もっても半年は時間がかかってしまうと思うので。 ―そうなると、かかる期待はとてつもなく大きいものになりそうですね。 佐竹もしかしたら、その期待を跳ね除けることができる曲じゃなければ、妥協はしたくないので半年が1年に延びる可能性もあるわけです。なので、ちょっとファンの方は寂しいと思ってしまう時間が続くかもしれません。忘れ去られないようには手を打ってはいきますけど(笑)。 ―3月のシングルで新しい世界を提示し、その先に立つ新たな姿の女子流の姿に期待ですね。 佐竹山邊さんに歌詞を書いてもらうことを試金石にして、メンバーそれぞれの様子をみながら、メンバー全員がどう楽曲に携わっていくかを考えていきたいです。なんか山邊さんには申し訳ないけど、テストケースみたいになっちゃってます(笑)。でも、いい作品ですので期待してもらいたいです。 東京女子流関連ニュース写真はクリック☆東京女子流ラインナップ!クリック!