GRAPEVINEデビュー16周年、バンド結成20周年で渋谷公会堂
「今日はほんまにナンも記念するものないんです」。ライブ冒頭、田中和将(Vo, G)はそう語って苦笑いしていた。 「あえて言えばデビュー16周年記念(笑)。あと、バンド結成20周年らしいですけど」。でも、どちらのカウントも、実はどうでもいいかも…。演る方にも観る方にもそんな平熱感が漂う、グレイプバインらしい良いライブだった。 本編は5年前の『Sing』から最新作『愚かな者の語ること』までの曲が中心で、個人的なハイライトは中盤。「Sing」「411」「Neo Burlesque」「なしくずしの愛」の4曲で、直近の5年を20分前後に凝縮したくだりだ。今回のライブを象徴するようなひとときで、ネ オ・バインが大好きな筆者にとってはたまらない。静かに打ちのめされてしまった。…と、わざわざ個人的な感想を書いたのは、「今回はここで大盛り上がりでしたよね!」という合意をとりつけにくいほど、観客が余裕の構えだっ たからだ。たとえば「This town」。田中と西川弘剛(G)がツインリードを弾くためにステージ前に出てきても、キャーッ!と両手が伸びたりしない。「ポートレート」やアンコール の「君を待つ間」「手のひらの上」など、懐かしい曲が始まってもキターッ!というリアクションはない。もう、こっちはすでに楽しんでるのでな んでもどうぞ、という感じなのだ。アンコールの手拍子も、しっかり叩いてはいるがテンポが走らない。なんだこの平熱感。そこで思うのだ。デビューして16年、観客とこういうライブを作れるロックバンドが他にいるだろうか、と。解散や活動休止、または長いブラン クを強いられるバンドを横目に、グレイプバインは2年と空けずにメジャールートで新作を出し、ツアーを続けてきた。カラオケで誰もが盛り上が るようなヒット曲はないが(ごめんなさい)、必ず前作を超える作品のクオリティが、ファンの信頼を担保してきた。だからノンテーマのライブで も渋谷公会堂が埋まるし、「なんでも演ってちょーだい」という雰囲気が生まれる。ほんと、奇跡のような空間だった。ツアーも毎回惹き込まれる けど、グレイプバインを味わうなら、むしろこういう“季節はずれ”がいいかもしれない。(ライター 大津輝章) GRAPEVINE名曲揃い!あこの曲も一挙に聞こう9/26@渋谷公会堂 セットリスト1 真昼の子供たち2 Glare3 シスター4 スレドニ・ヴァシュター5 This town6 コヨーテ7 ポートレート8 Afterwards9 Sing10 41111 Neo Burlesque 12 なしくずしの愛13 197714 Darlin’ from hell15 ミスフライハイ16 MISOGI17 片側一車線の夢18 無心の歌EN119 うわばみ20 君を待つ間21 豚の皿EN222 手のひらの上