NMB48が悩み葛藤する、「道頓堀よ、泣かせてくれ!」で衝撃を受ける

これまでに、AKB48、SKE48、乃木坂46が発表してきた「DOCUMENTARY of」シリーズ。各グループにカメラが密着し、普段見られない裏側までしっかりと見せてくれる映像作品となっている。

今回、NMB48が「道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48」として発表する作品は、いままでにない視点で描かれた傑作だ。

「道頓堀よ、泣かせてくれ!」は、まずその強烈なタイトルが気になり、また発表されているビジュアルイメージが山本彩が一人で佇んでいるものと、作品イメージが湧かない状況だった。

今回、我々が試写会を通して目にした映像は、「葛藤するNMB48のメンバー」の姿。

ベルリン国際映画祭5作連続招待の舩橋淳監督が初めてアイドルをテーマに手がける作品として話題を呼んでいたが、噂以上の出来に驚きを隠せなかった。

がむしゃらに上り詰めるために、己を犠牲にしながらも突き進むAKB48メンバーの姿が感動を呼んだ「DOCUMENTARY OF AKB48」。そこには、もはやアイドルとは呼べないほどに傷つき、苦悩しながら、それでもAKB48のために、自分のためにもがく姿が描かれていた。

今作のNMB48メンバーが魅せる苦悩は、同じがむしゃらでも、AKB48、SKE48という国民的アイドルグループとすでになっている先輩たちの背中を追いながらも、グループ内での格差、自分の未来に悩む姿だった。
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今回の紅白でも48グループで最もスポットライトを浴びた一人と言っても過言ではない「全国区」となった山本彩と、「劇場職人」と呼ばれ地道な活動をしている初期メンバーの沖田彩華。この二人の光と影をきちんと説明し、その上で沖田にしっかりと視点を合わせたことで、アイドルの本質をしっかりと描いた。頑張ればいいわけじゃない、努力だけが全てではない、そんな残酷な世界を見せつけた。沖田以外にも選抜に入れないままに卒業していったメンバーなど、いままでスポットライトが当たらずにいたメンバーを映し出すことで、NMB48というグループの魅力を引き出した。

また、次世代エースと呼ばれる白間美瑠、矢倉楓子という、私生活から考え方から間逆な二人のライバル関係をピックアップした部分では、母子家庭に育った矢倉が有名になることで、母親を楽させてあげたい、家族を大きな家に住ませてあげたいと話すシーンは涙無くしては見られない。そんな彼女を、「人気」というプレッシャーが次々と押し寄せる。選抜に選ばれなかったら?総選挙でランクインしなかったら?様々な不安の中で、矢倉は白間と次世代エースとしてライバル扱いされることにも戸惑い葛藤する。

総選挙の裏側や、キャプテンとしてAKB48でも活躍する山本彩の苦悩など、明るく元気で楽しいイメージのNMB48からは考えられないような場面が続く。

今回の「道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48」が素晴らしいのは、アイドルの葛藤を通して、現代社会の問題点までしっかりと映し出していることで、たとえNMB48ファンでなくても…もっと言えばNMB48の事を全く知らなくても作品として楽しめるところにある。もしかしたら「アイドル」という特殊な職業の彼女たちを通じて、その問題点を解く鍵が各々見つかるのかもしれない。考えさせられながらも、見終わった後にどこか救われた気分になる良作だ。

早くも、アイドル映画ながら今年度最高傑作の呼び声も高い作品となることを確信した、試写会だった。

 

道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48
公開日:2016 年1 月29 日(金)
監督:舩橋 淳 企画:秋元康 出演:NMB48
(C)2016「DOCUMENTARY of NMB48」製作委員会